こんにちは。オーガニック農家の吉岡龍一です。
今回は旬の野菜、春人参のお話をしたいと思います。
霜が降りなくなってきた3月頃は、ゆるやかに陽気が良くなってきます。4月に入ると、日差しがとても気持ち良く感じられる日も増え、冬の寒さに耐えた野菜たちの成長が一段と進みます。1月に種を蒔いた人参も、春の風に葉が揺られ、農場全体に香りが漂います。この季節にしか漂わない特別な空気です。
人参は一年に2回、栽培することができます。冬に収穫する人参と、春に収穫する人参です。
春の人参は冬人参の収穫が終わった頃、1月すぎに種を蒔きます。
以前記事(冬人参の収穫と春人参の種まきに関して)でもご紹介しましたが、種を蒔いてからは、温度を上げるためにトンネルを作ったりします。
人参栽培の難しさは、発芽を揃えることで、湿度と温度の管理にかなり気を使いながら作業します。農家の腕が試される作業でもあり、ここに面白さがあります。
発芽したての人参は本当にかわいいんです!
写真:発芽した人参
この小さい小さい芽が、しっかりと根を張り、しっかりした人参になっていきます。
人参の生育はゆっくりです。
発芽から2ヶ月経ってもこのように、まだ芽も細く、風に揺られてしまいます。
写真:栽培して2ヶ月目の人参
この時期も、土を乾燥させないために、しっかりと土中の水分を管理して、必要ならば、水やりもします。
4月に入ると、人参の葉の部分の軸がしっかりしてきて、葉自体も大きくなります。すると春の日差しをたっぷり吸収して、光合成して、さらに根の部分が大きく太くなり始めます。
そもそも、人参は発芽が難しいこともあって、わたしたちの農場では、一つの穴に2粒の種を蒔いています。2粒ともきちんと発芽できたところでは、2本の人参が生育します。
写真:2本出た人参
ただ残念ながら、1つの穴で2本は育てられないので、この時期になると2本のうち元気な方の1本を残して、もう片方の人参を抜く、間引きという作業をします。間引きはすべて手作業です。
写真:人参を手で間引く
間引いた人参は、通常捨てたり、わたしたちの農場では鶏の餌にしてしまっていますが、レストランなどに出荷もしています。
写真:収穫したての間引き人参
間引きをした人参は、洗ってあげると、とても綺麗な色合いになります。
写真:洗うと綺麗
実は、オレンジ色した野菜って、人参以外にはなくて、料理のお皿を華やかにするにはもってこいなのです!友人のアウトドアウエディングにも使ってもらえる予定になっていて、本当にいまから楽しみです!
また、春の人参の特徴は葉っぱです。冬人参だと葉がどうしても硬くなってしまって食べられませんが、春のは柔らかい。てんぷらなどにして食べると本当においしいですよ。
写真:綺麗に生え揃った人参の葉っぱ
そして、わたしは今日も人参の香りにつつまれながら作業しています。
文・写真提供:リズムアンバサダー 吉岡龍一