こんにちは。オーガニック農家の吉岡龍一です。
「耕す 木更津農場」には、野菜栽培のためのビニールハウスが10棟ほどあります。
田舎に行くと、こういったビニールハウスが何棟も並んでいる光景を目にすることがありますが、このハウスは、温度や水分をコントロールすることができるので、繊細な野菜を栽培するには必ず必要になってきます。トマトやピーマンやキュウリのように、木に実がなるような果菜類と呼ばれている野菜はその代表例です。
また、ハウス内に暖房設備を入れたりすることで、冬でも夏の野菜を栽培する環境を作ることができます!そのため、冬でもスーパーにトマトやキュウリが並んでいるんですね。
「耕す 木更津農場」では、この夏、ナスとミニトマトの栽培をしています。
ナスは、一般的に2月頃に種を蒔きます。
2週間くらいで芽が出て、そこから、畑に植えられるような苗になるまで1か月ほど。
植えるのは4月頃です。
畑に植えてからの成長は早く、2週間もすれば最初の花が咲き、実がなり始めます。
そこからきちんと管理をすれば、霜が降りる前、10月末頃まで収穫ができます。
文章にするとなんだか簡単そうですが、管理の作業がとても大変で、怠ると木がすぐダメになってしまいます。
いま農場では、収穫の最盛期を迎え始めています。朝は2、3cmだったナスが、夕方にはもう立派なナスに!!
しかし、このナスをよーく見てみると、表面が少しポコポコしています。
断面を見てみると、
ところどころ、実に隙間ができてしまっているのがわかります。これは、水分が不足している証拠で、水分を多く必要とするナスにとっては、致命的な畑の状態になってしまっています。
水分が不足したナスは、食感もフカフカでおいしくないですし、実が十分に養分を吸うことができず、栄養も劣ってしまいます。
ですので、残念ながら出荷することはできず、一度、全て実を取って廃棄します。
水分をしっかりあげてから、次のナスができるのを待ちます。
日々、畑のチェックをしてあげないと、こういうほころびが出てしまうんですね。反省!
水分が不足してしまうと、影響が出てくるのは実だけではありません。乾燥した畑では、そこに植わっている野菜の匂いがあたりに漂ってしまうので、匂いを嗅いだ虫たちが寄ってきてしまうのです。ナスのハウスでも、アブラムシが大量に飛散してきてしまいました。
新芽をアブラムシが覆ってしまうので、葉が光合成できず、その結果、木が死んでしまうこともあります。一度、虫が大量に飛散してしまうとそれを取り除くことは本当に難しく、葉っぱについた虫を手で潰していくという終わりのない作業をするしかありません。農薬を使えば一発で解決するのですが(笑)。
オーガニックな野菜作りへの挑戦は続きます。
困難なことの多い有機農業ですが、きちんと植物が育つ仕組みを理解することで、農薬を使う農業よりも、もっと簡単においしい野菜を育てることができます。
水分のコントロールだけではなくて、野菜自体の力を強くすることで、虫がつかない元気なナスを育てられるのです。
その説明は、また次回で!キーワードは、「繊維」です。
夏本番に入り、スイカを食べながら毎日元気に作業しています!
農場の空はこんなにも広い!!
文・写真提供:リズムアンバサダー 吉岡龍一