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「しゃがめない」私たちが抱える身体の脆弱さ〜カラダの機嫌をとってみる(姿勢編)〜

「しゃがめない」私たちが抱える身体の脆弱さ〜カラダの機嫌をとってみる(姿勢編)〜

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「しゃがめない」私たちが抱える身体の脆弱さ〜カラダの機嫌をとってみる(姿勢編)〜

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「禁糖断食編」では食べる行為から見えてきた身体に注目しました。今回からは、それとは異なった側面から「身体とは何か?」について考察していきます。題して「姿勢編」です。そのことを語るにあたって、先日香川へ向かう列車の中で起きた出来事をまずは紹介したいと思います。

close up of wheels of train in blurred motion

特急に乗ってしばらく、用を足そうとトイレのドアを開けると和式便器がありました。いつも目にしている洋式便器までの距離からすれば遠く低い位置にあり、それにギョッとし、しかもその自分に驚くという、些(いささ)かややこしい反応をしたのです。

私は1970年生まれです。家のトイレは洋式だったものの、まだまだ和式は一般に使用されていました。たとえば小学校のトイレは和式しかなく、高速道路のサービスエリアをはじめ、公共施設に備え付けられたトイレも概ね和式でした。用を足すにあたり、しゃがむ姿勢をとるのはいたって普通だったのです。

そういう幼年期を過ごしながらも、列車のトイレに驚いたのです。思うに、この20年ほど外出した先で洋式以外のトイレを見かけることはだんだん少なくなり、使用する回数も減ったからでしょう。といっても、女性トイレの事情はまた違うかもしれません。

ともあれ腰高の姿勢をとるのが当たり前と思っていたところに、和式の便器があったからまずはドキリとし、ついでそういう自分に驚いたのは、久しく見なかった代物に「これはどうやって使うものだったか?」と使用法を一瞬思い巡らしたからです。

初めて外国から訪れた人が和式に感じるカルチャーギャップにも似て、そこから妄想したのは、数百年後、和式の便器が土中から発掘されもすれば、未来の人はこれが何かわからず「祭祀目的ではないか?」と推察するのではないかといった益体(やくたい)もないことでした。

またがりしゃがむといった姿勢に、私はそれなりに慣れていたはずです。それにもかかわらず違和感を覚えたことに、ショックを受けました。

最近の子供は、しゃがんだ姿勢をとると不安定になって後ろに転(こ)けたり、腿が張るのできつく感じる、といった話をよく聞きます。「そんなバカな」と一笑に付したり、信じられないと思う人もいるでしょう。

若い人の身体の脆さを嘆くことは簡単です。しかしながら、トイレのドアを開けた瞬間の自分の反応を振り返るにつけ思うのは、若い世代をとやかく言えないくらい、どんどん身体が柔軟ではなくなっているということです。
この問題は、世代は違うにせよ、この社会に共に生きている限り、分かち合っているのではないかと思うのです。つまり同じような身体の脆弱さが私たちに内在している。

きっと時代がくだるにつれ、身体は硬くなる一方で、低い姿勢をとることが次第にできにくくなっているのだと思います。これは「昔は良かった」といった慨嘆ではなく、事実の指摘です。

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私の知人に呉服商を営む人がいます。その方が子供の頃に見ていた台所の風景はといえば、まな板を土間に置いて調理しており、魚や野菜を切るにもしゃがんだ姿勢をとっていたそうです。しかもお母さんは着物をいつも身に着けていたため、裾が乱れないようにまな板には斜交(はすか)いに向かい、踵を少し浮かせていたというのです。

試しに同じ姿勢で調理してみましたが、今の私にとっては非常に不安定でグラグラし、手元がおぼつかなくなります。

彼が言うには、1960年代まで周りもだいたい同じようなものだったそうです。それがリフォームを経て、どの家庭も腹の前あたりの高さで調理する設えのキッチンに変わっていったそうです。

地べたにまな板を置くなど、にわかに信じられない人もいるでしょう。けれども江戸期の調理する様を描いた絵を見ると、確かに床の上にまな板を載せ、胡座(あぐら)や立て膝をついた低い姿勢をとっています。

証となる絵があるからまだしも、身体に関することは大抵の場合、記録に残りません。あまりに当たり前に過ぎることは、わざわざ書き残す必要を覚えないからです。

例えば、雑巾で床を拭くやり方やその際の姿勢について、事細かに書く必然性はないと思うでしょう。

けれども、機械で掃除を行うことが今よりもっと当たり前になれば、床を這って拭く、雑巾を絞るといった、身体を伴う所作の意味も方法もわからなくなっていくでしょう。
 
まな板の置き所も便器の位置も高くなった。こういった現象を見るにつけ明らかなのは、私たちは地面に近づく低い姿勢に不慣れになり、どんどん足元がおぼつかなくなっていることです。

文:尹雄大

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