毎日を頑張って生きていると、何となく心身が怠くやる気が起きないときや、心が落ち着かないというときもあるでしょう。ストレスフルな現代を生きる私たちにとって、こういった心身の問題は切っても切り離せないものかもしれませんね。
ですが、このような心身の重さにも、ヨガは優しくアプローチしてくれます。
今回は、忙しい日々を生きる人たちに行って欲しい、心身のバランスを優しく整えるヨガの腹式呼吸法をご紹介します。
ヨガの基本となる全身を使って行う呼吸法。深い呼吸とともに身体の中にある古い空気を排出し、新鮮なプラーナ(酸素)を全身に巡らせていく、いわゆる体内の換気のような行いともいえるでしょう。
また、呼吸をコントロールすることは、自律神経を意識的に整える唯一の方法でもあります。ですから、ヨガのときだけでなく普段からこの深い呼吸を意識して行うと良いでしょう。
1. あぐらや正座など、落ち着く座位で座ります。仰向けになっても◎。その時のご自分にとって楽な姿勢を取りましょう。
2. まず姿勢を整えます。背骨をスッと伸ばし、肩甲骨を軽く寄せて肩の力を抜きましょう。あごは軽く引き、両手は楽な位置に下ろします。
3. 姿勢が落ち着いたら、ゆっくり目を閉じます。目を閉じるのは不安な人は、軽く薄目を開けていても◎。
4. まずは、今のご自分の自然な呼吸を観察しましょう。深い・浅い、長い・短いなどのジャッジをせず、ただありのままのご自分の呼吸を見つめましょう。
5. 徐々にヨガの呼吸法へ移っていきます。
6. まずは、今身体の中にある空気を鼻から吐き切ります。吐き切ったら、新鮮なプラーナ(酸素)を身体全体に巡らせるイメージで鼻から吸いましょう。
7. 吐く息を4カウント・吸う息を4カウントで、しばらくこの鼻呼吸を繰り返します。慣れてきたら、吐く息を6か8カウントまで伸ばし、さらに深い呼吸を行ってみましょう。
8. もう十分だと感じたら、目を閉じたままヨガの鼻呼吸からご自分の自然な呼吸へと戻ります。しばらくご自分の呼吸を観察し、ご自分の心身に起きた繊細な変化を感じ取ってみましょう。
9. ゆっくりと目を開き、日常へと戻ります。
片鼻呼吸法とは、ヨガで行われる腹式呼吸法の1つ。
左右片方の鼻の穴を交互に使って呼吸を行うことで、陰陽のエネルギーのバランスを整えることができるといわれています。また、自律神経のバランスを整える効果も期待できるので、心の怠さやイライラなどを解消したいときに行うこともおすすめです。
1. 右手を顔の前に上げ、左手で右のひじを支えます。
2. 右手の中指と人差し指を眉間のあたりに置きます。薬指と小指を左の小鼻、親指を右の小鼻に添えましょう。
3. まず、今身体の中にある空気を両方の鼻から吐き切ります。吐き切ったら、次は両方の鼻から息を吸い、新鮮な酸素を身体全体に取り込みましょう。
4. ゆっくりと目を閉じ、右手の親指で右の小鼻を閉じます。左の鼻の穴から細く長く息を吐き、吐き切ったら左の鼻の穴から息を吸いましょう。
5. 吸い切ったら、左の小鼻を右手の薬指と小指で閉じ、少しの間息を止めます。
6. 次に、右の鼻の穴から息を細く長く吐き、吐き切ったら右の鼻の穴から息を吸いましょう。吸い切ったら、右の鼻を右手の親指で閉じ、少しの間息を止めます。
7. 4~6の流れを、8回ほど繰り返します。吐く息を4カウント・吸う息を4カウント・息を止める時間を4カウントで行い、呼吸を意識的にコントロールしてみましょう。
8. 8回ほど行ったら手を解放し、目を閉じたままご自分の自然な呼吸を観察します。
9.ゆっくりと目を開きましょう。
ヨガの呼吸法の中で、最も力強い呼吸法といわれている「火の呼吸」。速い腹式呼吸を繰り返し行うことで、交感神経を刺激し、心身のエネルギーを活性化してくれるといわれています。
ジトジトした梅雨の朝はもちろん、何となくやる気が起きない朝や、元気が欲しいときに行うことで、心身にやる気と情熱を与えてくれますよ。
1. あぐらや正座など座りやすい座法で座ります。余裕があれば、左右の踵がおへその前にくるようなあぐら(安楽座)の姿勢をとりましょう。
2. お尻の左右にあるコリコリとした骨(坐骨)に均等に体重を乗せることを意識しながら、姿勢を整えます。下腹部を軽く引き締め、背骨を自然にまっすぐ保ち、あごを軽く引きましょう。
3. 姿勢が整ったら、左右の手のひらを膝に置き、目を優しく閉じます。まずはご自分の自然な呼吸を感じましょう。
4. 落ち着いてきたら、鼻から吸って鼻から吐くヨガの呼吸法に移っていきます。鼻から大きく吸ってお腹をぷくーっと膨らませ、吸い切ったら、細く長~く鼻から吐いてお腹を凹ませましょう。少しの間、この鼻呼吸を繰り返します。
5. 次に、火の呼吸に移っていきましょう。まずは、今身体の中にある空気をすべて吐き切ります。
6. 吐き切ったら、鼻から大きく吸いましょう。吸い切ったら、息を少し(20秒~60秒)止めます(クンバカ)。
7. 次に、お腹を勢いよく凹ませ、鼻からフンッと勢いよく息を吐きます。そして、凹ませたお腹を緩め、自然に鼻から息を吸いましょう。この吸気と呼気を、20~30回ほど、リズミカルに断続的に行いましょう。
8. 終わったら、自然呼吸で1分ほどお休みしましょう。
9. 5~8の過程を、3回ほど行いましょう。
※1 必ず空腹時(食後3時間はあける)に行いましょう。火の呼吸法は、短時間で腹筋や横隔膜を強く動かすため、食べ物が胃に残っている状態で行うと、消化不良や胃痛の原因となってしまいます。
※2 火の呼吸は、上級者向けの難しい呼吸法です。無理のない範囲で行うことを大切にしてください。はじめは指導者のもとで行うこともおすすめです。
・心臓疾患・高血圧・めまい・てんかん・脳卒中・ヘルニア・胃の疾患を患っている人
・妊娠中・生理中の人
・手術をした後の人
・その他、体調がすぐれないときも避けましょう。また、練習中にめまいや不調を感じたら、速やかに練習を中断してください。
いかがでしたか。ヨガの腹式呼吸法は、毎日忙しく働いてくれている心身を優しく整え、やる気や活力を取り戻すお手伝いをしてくれます。
ご紹介した呼吸法を日々に取り入れ、ご自分の心身の健康に役立てていただけたら幸いです。
文:erica