温活のスペシャリストである川嶋朗先生にインタビューする連載、第4回。本日は、日々の生活の中で、体を冷やさないための温活の方法やおすすめ温活グッズを先生に教えていただきます。
冷え性対策には、日頃のちょっとした工夫や注意の積み重ねが大切です!
内科医・医学博士 川嶋朗
東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授。
東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当医。
近代西洋医学と代替医療、伝統医療をあわせた統合医療の第一人者であり、『冷えとりの教科書』(マイナビ文庫)をはじめ、著書多数。さらにウーマンウェルネス研究会にて、女性に役立つ健康情報を発信中。
—— 前回までに、食事と入浴についての温活を教えていただきましたが、他に毎日の生活の中で、冷えを改善するために気をつけておくことはありますか?
服装もぜひ見直してほしいですね。原則は、「上は薄く、下は厚く」。心臓から遠く、血の巡りが悪い下半身は、なるべく厚着をして、冷やさないよう心がける必要があります。
—— これからの季節、素足にサンダルというスタイルが増えてきますが、「下は厚く」という原則でいくと、やはり靴下をはかないとダメですか?
人によりますね。靴下をはくと、自力で熱をつくりにくくなる、という話もありますが、それは、靴下をはかないことによって体が刺激されて、自ら熱をつくって自分の体を温めることができる人の場合。
もともと体が冷えやすい人は、自分で熱をつくりだす力自体が弱いので、靴下をはいたほうがいいんです。おそらく体が冷えている人は、靴下をはいたほうが気分もいいはずです。
—— なるほど。これからの季節、エアコンで体が冷えやすい人は、やはり靴下をはいたほうがいいわけですね。
また、肩や腰がこる人は、そこの部分が冷えて血流が悪くなっている証拠。ストールなどを巻いて冷やさないようにしましょう。
湯たんぽもオススメですよ。太ももやお腹まわりなど、冷えている部分にポンと置いて、熱くなってきたら動かせますからね。
湯たんぽも最近ではいろいろなタイプのものが販売されていて、電子レンジで温めるタイプもあれば、コンセントやUSBを使えるものもあります。自分が使いやすいものを常備しておくといいでしょう。
もうひとつオススメ温活アイテムは、「ドライヤーお灸」。ドライヤーの熱を、ツボなどに数秒間当てて、お灸のような効果を得ようというのが、「ドライヤーお灸」です。
たとえば、脚の内側のくるぶしの少し上にある三陰交(さんいんこう)というツボや、すねにある足三里(あしさんり)などのツボに、ドライヤーの温風を数秒間、当てます。
アチッとなるまでを1回とカウント。これを4~5回繰り返すと、立派なお灸代わりになるんです。
低温やけどに気をつけながらやってみてください。
—— おもしろい温活ですね。髪を乾かすときにでもやってみますね。
さらに、規則正しい生活も大切ですね。夜更かしばかりしていると、体内時計がどんどん狂ってしまいます。そうなると自律神経が乱れてしまい、体温調節がうまくいかなくなって冷えやすくなるのです。
—— 仕事柄、深夜に原稿を書くことも多いのですが、それはマイナスですね。
そうですね。仕事が忙しい人にとってはハードルが高いと思いますが、ぜひ運動もしてほしいですね。
—— どれくらいの運動がベストですか?
ちょっときついなと感じるぐらいの運動が理想的。そのくらいの運動なら、わざわざジムに行かなくても日常生活の中で取り入れることができます。
たとえば、次のような動作を意識して行うだけでも、十分運動になるんです。
・洗濯物を干すとき、洗濯カゴを下に置き、一枚一枚しゃがんで取る
・歩くときは、大股&早歩きを心がける
・エスカレーターやエレベーターを使わず、階段を使う
・電車に乗ったら、座らずに立つ
こうした運動を心がけるだけで、脂肪の燃焼量は約20%増えて、筋肉もついてきます。
また、つま先立ちで作業をするのもいいですね。以前流行ったダイエットサンダルは、かかと部分がなく、自然とつま先立ちになるよう設計されていました。それを履くことで脂肪の燃焼率が高まりますから、まさに理にかなっているサンダルだったわけです。
—— なるほど、つま先立ちでも温活効果があるなら、忙しくて運動ができないというのは、いいわけになりませんね!
—— 大体、温活の効果はどれくらいで出てきますか?
人によるとは思いますが、1か月ぐらいで自律神経が正常に働くようになって、何かしらの効果を感じられるはずです。体温に反映されるまでには、もう少し時間がかかるとは思いますが、何をどれだけ行うかによっても変わってきますからね。
温活はやればやっただけ効果が出てくるとは思いますが、やはり無理は禁物です。温活することがストレスになっては逆効果ですから。
もちろん、漢方薬に頼る方法もありますが、生活習慣を改善しないかぎり、根本的な解決にはなりません。体の冷えを改善することが大切ですから、冷え性だという自覚がある人は、頑張って生活習慣を変えていく努力をしてください。
—— いろいろ教えていただき、ありがとうございました! 真夏に向けて、温活に励んでみます。
幸い今年は、「サンダル+ソックス」がトレンド。ちょっと若づくりに見えるかも?、とドキドキしながらも実践してみると、毎年、春夏に感じていた下半身のイヤな冷えがないではありませんか!
逆に、素足にパンプスで出かけた日は、足先がキンキンに冷えて、むくみもひどいことに。私には靴下は必需品であることが判明しました。
運動はというと、無意識にエレベ―ターを使いがちで、反省することもしばしば。でも、“電車では座らずに立つ”といったことを、地道にコツコツと続けています。
そして、今、温活を始めてから3週間。体温にいまだ大きな変化はないけれど、自分の体が冷えているということに敏感になり、こうすると冷えないという自分なりの法則がようやく見えてきたところ。
引き続き温活に取り組んで、体が冷えやすくなる秋冬までには、冷えとサヨナラしたいと思っています!
取材・文:楢﨑裕美
*過去の温活バックナンバーはこちらから、ご覧いただけます。
温活連載vol.1: 話題の温活とは!医学博士がポイントをわかりやすく解説
温活連載vol.2: 温活!真っ先に取り組むべきは、食事・飲料の見直し
温活連載vol.3: 半身浴より、全身浴!? 医学博士が教える”芯から温まる入浴法”
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