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早稲田ラグビー・元監督、意外な青春時代【中竹竜二さんインタビュー前編】

早稲田ラグビー・元監督、意外な青春時代【中竹竜二さんインタビュー前編】

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早稲田ラグビー・元監督、意外な青春時代【中竹竜二さんインタビュー前編】

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サラリーマンから、名門ラグビー部の監督に。今回は、早稲田大学ラグビー部を2年連続で全国大学選手権連覇に導きながらも、自らを“日本一オーラのない監督”と称する中竹竜二さんにお話を伺いました。今、「組織」や「リーダー」に悩むすべての人に知っていただきたい人物。前編ではこれまでの歩みについて伺います。

中竹竜二(なかたけりゅうじ)
日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター、株式会社チームボックス代表取締役CEO、一般社団法人ウェルチュアラグビー連盟副理事長。2006年早稲田大学ラグビー蹴球部で監督を務め、全国大学選手権を2年連続で優勝へと導く。2010年に監督を退任後、同年、日本ラグビーフットボール協会にてコーチングディレクターに就任。現在は、組織マネジメントのメソッドをビジネス界にも広めるなど、活躍の場はスポーツ界にとどまらない。

コーチをコーチする仕事

——中竹さんは、現在どんなお仕事をされているのですか?

私の仕事は大きくは2つに分かれます。ひとつは、日本ラグビーフットボール協会で、ラグビーという競技の統括をしています。コーチングディレクターという肩書きですが、これは簡単にいうと“コーチのコーチ”をする仕事です。

これまでは海外の有名コーチを招致して指導を依頼することが一般的でしたが、今後は、日本国内でも指導できる人材を育成したいというのがラグビー界の方向性です。その中では、全国どこでも同じ標準のコーチングができるよう、一貫性のあるコーチ指導が必要になります。

もう一つは、株式会社チームボックスの運営です。こちらではラグビーではなく、例えば企業における部長や課長など、次世代のリーダーとなる人をトレーニングして育成するサービスを提供しています。

オリジナルで開発したツールやアプリケーションを使用して人の育成をデータ化しているので、トレーニングを受けたリーダーたちは、そのデータを目で確認し、自分の成長と向き合えるという仕組みになっています。

——人の育成をデータ化できるんですね。興味深いです。まず、ラグビーとの関わりについてお聞ききしたいのですが、いつごろから始められたのですか?

私は福岡県で生まれたんですが、福岡県って、実はラグビースクールが全国的にも多い地域なんです。たまたま家の前にラグビースクールがあったので、サッカーでもなく、野球でもなく、ラグビーを習うことになったんですね。始めたのは小学校1年生の頃でした。

——最初はいわゆる習い事の一貫だったんですね。

そうです。結局、小中高とラグビーをやって、それから大学で早稲田大学に入ってラグビー部に入部するのですが、実は、私自身はまったくラグビーが上手くなくて…。

当時は部員が150人ほど、1〜9軍くらいまでありました。私はどれだけ頑張っても2〜3軍がいいところだったんですが、それがなぜか、大学4年生で1軍のキャプテンになるという前代未聞の事態に。

同期が引き起こす、ボイコット事件

——2〜3軍の選手が突然キャプテンをすることになったのですか?

100年近い伝統のあるクラブなので、キャプテンも適当に選ばれるわけではありません。多くは1軍に在籍する能力のある選手が選ばれます。手順としては、前年度の監督やキャプテンなどが後任を指名して、それをOB会が承認することで決まるという流れですね。

実は私の代は、監督や先輩方がすでに別の人物を選出していました。しかし、なぜが私の同期はそれを受け入れず、「中竹がキャプテンじゃないなら、練習をしない」と、ボイコットするという事件が勃発したんです。

——ボイコット!? それって結構な事件じゃないですか?

私は当時、公式戦にも出たことがない選手ですから。監督の私に対しての評価は高くありません。それでも”中竹をキャプテンに”という動きが弱まらないので、ついに監督は辞任。空前絶後のちょっとしたクーデターでした。しばらくすると、先輩たちが卒業する時期になってしまって。それで、大学もOB会も渋々受け入れざるをえず、私がキャプテンになったんですね。

当時はメディアも私のことを知らなかったので、「早稲田、素人のキャプテンで大丈夫か」と、すごい波乱のスタートでした。結局、決勝まではコマを進めたのですが、結果は準優勝。大学卒業後はイギリスへ留学して、そこで人類学や社会学などを学んで帰国した後、三菱総合研究所という企業に就職しました。

ラグビー界に本格的に復帰したのは社会人として働きはじめて5年が経った頃。母校の早稲田大学で監督をやらないかと打診を受けたことがきっかけです。

ラグビーとの決別、異国でのターニングポイント

——卒業後、イギリスへ社会学を学びに留学されたとのことですが、どういう経緯だったのでしょうか?

あたかも目指していたように思われたかもしれないですけど、実は行き当たりばったりで…。キャプテンという重責から就職活動をする余裕はないし、どうせそのまま日本で就職しても、「早稲田ラグビー部の元キャプテン」という期待の眼差しが注がれることは分かりきってました。

そこで、「留学する」といえば、すべてが丸く収まるんです。就職活動をしなくてもいいし、就職を勧める先輩方にも言い訳が立ちますから。また、「イギリスに留学する」といえば、「ラグビーの本場へ留学するのか!」と、思ってもらえますしね。

そうして留学宣言をしてしまったので、「とりあえず3ヶ月」と、まずは語学学校に入学して英語を勉強することになりました。でも、よく調べずに学校を決めてしまったので、中学英語がメインの学校に入ってしまって…。

——せっかく留学したのに…。

そうです。結局その学校は1週間で辞めて、2つの語学学校を渡り歩き、ロンドン大学が運営するディプロマ(大学と大学院の中間に値するコース)に入学しました。

そこで人類学に出会ったんですが、教授から「就職もできないし、君の語学力では難しいよ」と、言われてしまって。どうしたらいいかって相談したら、「社会学ならまだいいんじゃない?」ってアドバイスを受けて、そこから、レスター大学の大学院で社会学を学ぶことになりました。思い返してみると、何のあてもなく、フラフラとしていてたどり着いたのが社会学だったんです。

——海外に出たものの、紆余曲折を経てだったんですね。この時学ばれた社会学は、どんなところで生きていますか?

今やっていることの、いちばん大事な考え方のベースになっていますね。社会学との出会いは、私にとっての転機とも言えます。日本でも学べないようなことが学べて、研究者を目指したいと思うくらいどっぷりハマりました。社会学って、一言でいうと“物事をいかに俯瞰して見るか”ということなので。

選手からの文句にも、“ありがとう”

——組織全体を考えるお仕事なので、その俯瞰する視点は役立ちそうですね。

そうですね。あと、私の場合は普段からあらゆることを想定して。相手にこう言ったら、どう反発するかとか、意外と納得するのかとか。


例えば、基本的には、人ってネガティブなことを言われると嫌じゃないですか。部員に「練習がつまらない」とか言われると、コーチとしてはムカッとするんです。一般的にはそこで部員に対して怒ってしまったりするんですが、でも、冷静に考えると、本当につまらない練習だったりするんですね。

私が見ても普通につまらないと思う。どうせなら「つまらないって言ってくれてありがとう」って考えられる思考回路にしようと私は考えています。

——なかなかできないことかもしれません。つい、怒ってしまうかも。実際、中竹さんはイラッとすることはないんですか?

もちろん、イラッとすることはあります。でも、それによって物事はいい方向へは進まないですからね。周りの人はこの状態を、“よく怒らずにいられるね”というような意味で「タフだね」っていうんですが、それは違う。同じ立場で考えれば、普通な私だって同じことを思うわけだから、今の若い選手は生意気だとか、そういうことでもないんです。


後編では、中竹さんの考えるリーダー、組織に対する考えをさらに掘り下げていきます。いわゆる「部長」や「課長」とはひと味違う、新しいリーダーの定義は、知ればハッとさせられること間違いなし。ご自身について“普通な私”とおっしゃる中竹さんの真意にも迫ります。

部下からは呼び捨て!? リーダーの新たな定義【中竹竜二さんインタビュー後編】へ続く)

書籍紹介


「日本一オーラのない監督」と呼ばれながら、常勝早稲田のプレッシャーを背負いつつ大学選手権2連覇を果たした組織づくりの秘密を明かした2009年の著書『リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』に、「これからのフォロワーシップ」について論じた章を新たに加えてリニューアル。1月18日に発売予定。

写真:たつろう
文:杉浦優子

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