日焼け止めの効果の高さを数値で表す指標に、「SPF」と「PA」があります。「SPF」はSun Protection Factorといって、UVBを防ぐ効果を示し、1〜50+までの数値で表示されます。数字が大きいほど、何も塗らなかった場合と比較した際に、紫外線を浴びてから肌が赤くなる=炎症を起こすまでの時間が長くなります。海やスキーといった屋外のレジャーで起こるような急激な表皮の日焼けから肌を守ってくれる指標になるのが「SPF」です。
「PA」はProtection Grade for UVAの略で、UVAを防ぐ効果を表します。「+」から「++++」まで4段階の表記があり、「+」が多いほど効果が高くなります。
つまり、SPF50+でPA++++のものが、もっとも日焼け止め効果が高いということになります。ふたつの数値は比例することが多く、一般的には、日常生活レベルならSPF15〜20でPA++〜+++程度でよいとも言われています。しかし、前回もお話しましたが、紫外線を浴びる量は人それぞれ、お住まいの地域やライフスタイルによって千差万別。ご自身に合った数値の日焼け止めをお選びになるとよいでしょう。
効果が高いからといって、「SPF50でPA++++だからどんなに紫外線を浴びても大丈夫!」というわけではありません。日焼け止めの効果を十分に得るためにはいくつか注意点があります。まずは、1回の使用量。実は、SPFやPAの数値は、皮膚1平方センチメートルあたりに2ミリグラムを塗って計測したもの。これは、顔全体にすると500円玉大くらいの量。かなり多く感じると思います。だからといって、たとえば使用量を半分にすればSPF値も単純に半分になるかというとそうではなく、もっと低くなってしまうのです。ですから、日焼け止めは量をしっかり塗ることが大前提。私は患者さんに「パール2個分」とお伝えしています。一度で塗るのは無理なので、2回に分けて塗り重ねています。おでこや鼻、頬骨など日焼けしやすい部分に重ねるのもよいでしょう。
そして、日焼け止めはシーズンを超えないように!「去年のものがまだ余ってるから」なんて、古いものを使っていてはダメです。
薬もそうですが、日焼け止めも、開けて使い始めたら少しずつ劣化していきます。「高かったから」と少しずつ何年も使っていては、せっかくの効果が台無し。今は、日焼け止めも年々進化していますから、ぜひ今シーズンは最新のものを使ってみていただきたいですね。
院長/深野祐子
「めぐろ皮膚科クリニック」院長。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。医学博士。1995年川崎医科大学卒業。米国ワシントン大学でも学び、2007年から「六本木ヒルズクリニック」皮膚科に医長として、2012年から「肌クリニック表参道皮膚科」院長として勤務。2014年に東京都品川区に皮膚科・小児皮膚科・美容皮膚科を標榜する「めぐろ皮膚科クリニック」を開設。
文/剣持亜弥
イラスト/吉岡ゆうこ
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※今記事は、文章・写真ともWacoal Body Bookより転載し、「Rhythm」にあわせ体裁を整えたものです。
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