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【教えて、ドクター!】う~寒ッ、もう一枚”空気”着ようっと!

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【教えて、ドクター!】う~寒ッ、もう一枚”空気”着ようっと!

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静止した空気を「着る」ことが防寒の鍵

寒さからからだを守るためには、体幹部、そして首を重点的に温めることが効果的だとわかりました。引き続き、文化学園大学教授の田村照子先生にご登場いただき、からだを温かく保つための衣服について、素材や着方のポイントなどを詳しくお伺いしました。

「モノに触ったときに、自分の体温よりもモノの温度のほうが低ければ熱をもって行かれるので、そのぶん冷たいと感じます。では、同じ温度の金属と木を触った場合はどうでしょう。みなさん金属のほうを冷たいと感じますよね。これには熱伝導率が関係しているのです。

熱伝導率とは、熱の伝えやすさのこと。金属は熱伝導率が高く、熱を速く伝えるため、触ったとたんに「冷たい」と感じられるわけです。熱伝導率が高く、熱が移動する熱流量が大きいほど「冷たさ」を強く感じるのです。

逆にすべての物質のなかで、熱をもっとも伝えにくいのは、「空気」です。空気のかたまりのような発泡スチロールに囲まれると、温かいのもそのためですね。

では、衣服の素材である繊維を見てみましょう。布地を拡大してみてみると、繊維と繊維の間には多くの空気があります。空気には粘性があるため、静止した空気が水あめのように繊維に絡みついているのがわかります。布地をぎゅっと押しつぶしてなかの空気の量を測ってみると、一般的な布で体積の約7割が「空気」なんですよ。つまり私たちは、繊維という名の空気を着ているようなもの(笑)。衣服を着るとからだが温まる理由がわかりますね。

同じ気温でも、室内では温かく感じられるのに、風が吹く室外では寒さを感じるのも、からだの表面にある空気が動いてしまうから。風が吹くと、せっかくからだの熱で温められた空気が離れて、その代わりに冷たい空気がからだのまわりに入ってくるので、「寒い」と感じられるのです。

このことからも、寒さ対策の基本は「静止した空気をなるべくたくさんからだにくっつけておく」ことだと言えるでしょう。表面積の大きい繊維、細い繊維ほど、空気をたくさんくっつけておけるので、温かく感じます。

ざっくりしたニットなどは、繊維の表面積が小さく繊維の間を空気が抜けて行ってしまうので、空気を静止させておくことができません。室内では温かく感じても、外に出て自転車に乗ったら、あっという間にぞぞぞっと寒さを感じます。

カシミアなどの高級繊維は、ふつうの羊毛繊維の約半分の細さ。からだのまわりに空気をたくさん止めておけるのであんなにも温かいのです。

外に出かけるときの衣服のポイントは、中をフワフワにして、温かい空気をたくさん身に着けておいて、アウターに目の詰まった空気を通さないものを一枚着ること。ダウンのジャンパーやコートなどはからだの表面の温かい空気を逃がさず温め効果抜群です。

いかに上手にたくさん空気を着るか…言葉にするとちょっとおかしな感じがしますが(笑)、これこそがポイントなのです。ひざ掛けにしても、布を置くんのではなく「空気を置いている」んですよ。一枚布を置けば、布と布に空気はサンドイッチされて動きづらくなり、温かくなるのです。

「空気」を意識すると衣服への考え方が一変!

下着もそう。からだにきちんとフィットする下着は、布がからだと一緒に動くので、からだの表面に動かない空気の層をつくってくれるのです。これがダボダボだと空気も一緒に動いてしまいますから、下着には適度なフィット感が大事です。

マフラーやストールも同じ。シルクなどの弾力性のあるものは、ギュッと巻くのではなくて、なるべくフワフワッと巻いて、空気をたくさん含ませるのです。ここでも「動かない空気」を意識してみてくださいね。温かさは全然違いますよ。夏は逆。なるべく空気を動かすような着方が快適な衣服なのです。

手足の冷えは、血管が閉じて熱を逃がさないようにしていると前回お伝えしましたが、これは同時に「これ以上熱を出さないで」というからだからのサインでもあります。手足の冷えを感じたら体幹部にもう一枚「空気」を着よう、とショールを羽織ったり、フィット感のいいアンダーパンツをもう一枚はいて、空気の層をつくったり、工夫してみてください」

今まで考えてもいなかった「空気を着る」という発想に目からウロコ、防寒の神髄に触れた気がします! 取材中、田村先生が「空気を置こっと」とひざ掛けを手にしたチャーミングな姿は、今でも目に焼き付いています(笑)。この冬は、寒さを防ぐひと工夫も楽しくなりそうですね。

 

※今記事は、文章・写真ともWacoal Body Bookより転載し、「Rhythm」にあわせ体裁を整えたものです。

先生/田村照子(文化学園大学名誉教授同大学院特任教授)
取材・文/大庭典子(ライター)

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