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【番外編/学びと美を考える】人でつながり、伝えていく技術と伝統

【番外編/学びと美を考える】人でつながり、伝えていく技術と伝統

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【番外編/学びと美を考える】人でつながり、伝えていく技術と伝統

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「美」をコンセプトにした学びの場、ワコールスタディホール京都と連動した美の流儀【番外編】。今回は、京都で酒蔵を営む佐々木 晃さんが登場。「学び」続けながら新しい日本酒の世界を切り拓く、その活動をお聞きしました。

――佐々木さんにご登場いただいたワコールスタディホール京都の講座は、『京のえぇもん おすそわけ』というシリーズで、京都でしか見えないもの、残せないものを「おすそわけ」していただこうという講座でした。佐々木さんが手がける”京ならでは”の日本酒は、どんなところに特徴があるのでしょうか。

酒蔵のある上京は、地下水の良さから、日本酒をはじめ茶道の家元、豆腐や湯葉、生麩などの産業が集まり、発展した場所です。私どもの蔵が創業した明治26年には、洛中(旧市内)だけでも131軒もの蔵元があったそうです。

洛中に残ったうちの蔵は、創業120年になりますが、それでも歴史ある京都の文化の中ではまだまだです。よく「300年続いてやっと一人前」と言われるくらいですから。そんな土地であり、料理も和菓子も文化も、レベルの高いものを提供し続けているのが”京都ブランド”。日本酒もその中にあって、ブランドを傷つけるわけにはいきません。そのためにいいものをつくろう、という気概のある土地であり、そこで生まれたお酒だと言えます。

――その中で、佐々木さんの役割はどんなところにあるとお考えですか。

まず、継承が難しかった酒蔵の技術を、しっかり残していくことです。かつて酒蔵の職人は、労働力の必要な秋冬だけ雇われ、オフシーズンの春夏は農業に戻ってしまうのが、普通でした。それでは技術が蔵に残らない上、今は職人も減ってしまったことから、自社で職人を”育てる”ということを始めました。秋冬だけではなく年間で職人を雇用して、オフシーズンには日本酒以外のもの、地ビールや米のノンアルコール飲料をつくるようになったのです。

商品化されたお米のノンアルコール飲料は、京都市産業技術研究所を中心に、京都大学や京都府立大学、京都府農林水産センターなどの研究チームで開発したものです。私がプロジェクトマネージャーをしていたのですが、この販売をいずれ海外にも広めていきたいと思っています。

――日常ではどのような活動をされているのですか。

うちの酒蔵での仕事のほかに、料理人など京都のいろいろな人が集まる研究会があり、特に酒づくりのオフシーンである春夏は、毎週のように勉強会をやります。みんなで技術を共有して、京都の酒をよくしていこう、盛り上げていこうと。技術や人材を自分のところだけで囲うのではなく、自然と交流ができるのは、昔から”人でつながっている”といわれる京都だからなのでしょう。気に入ったものは人にも伝え、一生つきあう。それが現代も受け継がれています。


佐々木酒造は明治26年(1893年)創業で、晃さんは4代目社長。すべての酒を洛中伝承の技法で製造している。


佐々木酒造の看板商品『聚楽第』(左)。京都産米を原料にした自然流の純米吟醸酒でやや辛口。右の『白い銀明水』は米と米麹が原料のノンアルコール飲料。梅エキスが調和し、甘く爽やかな飲み口。4月から9月の期間限定販売。

――学ぶこと、新たに生み出すこと、広げていくこと。伝統的な日本酒づくりの世界で、オープン・イノベーションの技術が実践されているとは、驚きました。学ぶことの大切さを実感します。

安定してよいものをつくるには、製造技術を確立しておくことが必要です。だから技術指導の先生(杜氏を指導する先生)にも入っていただき、研究や指導を続けています。そうやってきたことが、日本酒の鑑評会での4年連続金賞受賞につながっていると思います。3年連続で取ったときは、もうえぇかなとも思いましたが、やればやるほど、また他社の技術者の話を聞けば聞くほど、まだまだやと感じます。

――一般の方、特に女性の方の、学びへの意識も、高まっているとお感じになることはありますか?

かつては、ワインのことは勉強しても、日本酒となるとマニアックだという印象があったのではないでしょうか。それが最近は、カルチャースクールなどで日本酒講座をやると、たくさんの方が熱心に聞きに来てくださいます。女性もずいぶん増えました。

その背景には、お米を変えてみたり、精米を工夫したりするのはもちろん、さまざまな技術革新がありました。そのお陰で、幅広い味のお酒がつくれるようになって、飲みやすいものも増えたのです。

――最後に佐々木さんご自身の夢をお聞かせください。

私は先祖から酒蔵を預かっているだけですから、これをつぶさずに、いい形で発展させ、次の代に受け継いでいく。それが私の仕事なのだと思っています。また、こうした流れを国内外にも広めていきたい。その一端を担うことができたら。それが、私の夢です。

語り/佐々木 晃(佐々木酒造(株) 代表取締役)

佐々木酒造(株) 代表取締役
1970年京都生まれ。大学卒業後、産業機械販売会社(現・関西日立(株))に就職するものの、本来の予定であった兄(俳優・佐々木蔵之介)に代わり家業を継ぐことに。1995年入社。2020-21年近畿経済産業局地域イノベーション開発事業・産学公連携による「米と米麹を使った食品原料」の研究開発事業でプロジェクトマネージャーを務める。2012年4月よりノンアルコール飲料「白い銀明水」を販売。新しい酵母の開発や各種タイアップ・コラボ商品など、時代のニーズに合わせた商品づくりに努めるとともに、日本酒講座や京都の食文化についての講演、各種イベント企画を通じて新たな日本酒ファンを増やすことに注力している。
佐々木酒造ホームページ http://jurakudai.com/

※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
※この記事に含まれる情報の利用は、お客様の判断と責任において行なってください。

※今記事は、文章・写真ともWacoal Body Bookより転載し、「Rhythm」にあわせ体裁を整えたものです。

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