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【特集/“痩せ”と“脂肪”の関係】太る・痩せるのメカニズム

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【特集/“痩せ”と“脂肪”の関係】太る・痩せるのメカニズム

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—-男女問わず、多くの人が「脂肪=美と健康の大敵」だと思っているのではないでしょうか。過剰摂取は生活習慣病の発症リスクを高めますが、必要以上に落とすのも実はNGなのです。効率的に落とすためにも、まずは脂肪の特徴や性質を知っておきたいところ。遺伝子レベルで脂質代謝の研究をしている京都大学の河田照雄先生に伺いました。

飢餓に備え、脂肪を
溜め込むのが生物の特徴

私たち人間は自らエネルギーをつくり出すことができないため、食事で動植物に蓄積されたエネルギーを摂取し、栄養源にしています。タンパク質を利用することもありますが、デンプンなどの糖質(炭水化物)と脂肪からがほとんど。小腸に吸収された糖質の一部は血糖となり、脳や赤血球にエネルギーを供給。肝臓と骨格筋に取り込まれた糖質は、グリコーゲンとして貯蔵されるのですが、余った糖質は脂肪細胞や肝臓で中性脂肪に変換され、体内に蓄積されます。甘い物(糖質)をとりすぎると太るのはこのため。骨格筋に貯蔵されたグリコーゲンは、自らの組織のためだけに使われるのに対し、肝臓や脂肪組織に貯蔵されたグリコーゲンや脂肪は、全身のエネルギー源として利用されます。このように、蓄えられた脂肪を必要なときにエネルギーへと変える中性脂肪を、白色脂肪細胞と呼びます。

白色脂肪細胞の平均サイズは90~100ミクロンで、大きくても120~130ミクロン。無限に大きくなることはなく、キャパシティがいっぱいになると新たな脂肪細胞をつくります。グリコーゲンはキャパシティが小さいうえ、半日ほどしか貯蔵できないのに対し、体脂肪にはたくさん溜め込める。なぜ、脂肪細胞は増殖することができるのかというと、飢餓状態になったときのために、エネルギー源である脂肪を溜め込む節約遺伝子があるからなのです。キャパシティに制限があると、生き延びることができないため、逃さず全て脂肪にする。これが生物の最大の特徴なのです。

ところが、ありがたいことに今は飽食の時代。食べすぎや脂肪燃焼力の低下などによって蓄積量が増えれば、当然肥満になります。でも、脂肪は少なければ少ないほどいいのかというと、答えはNO。日本人の理想的な脂肪の摂取量は1日50~70gで、1日の総カロリーに対する比率は20~25%。平成23年の国民健康・栄養調査調べでは約28%とやや高めですが、15%以下だと脳出血が増加するという研究結果が出ています。また、白色脂肪細胞は女性ホルモンであるエストロゲンの前駆体をエストロゲンに変換する、女性にとって重要な働きも担っています。脂肪を取り込んでいない白色脂肪細胞はエストロゲンに変換できないため、痩せすぎると女性ホルモンの分泌が減り、生理不順になってしまうのです。

脂肪を消費する褐色脂肪細胞の
減少が中年太りの原因

脂肪細胞は白色脂肪細胞のほかに、蓄えた脂肪を分解して熱に変える褐色脂肪細胞があります。裸で生まれてくる赤ちゃんは、胎内よりも温度の低い外気から身を守るために、自分で熱をつくり出さなければなりません。だから、褐色脂肪細胞は赤ちゃんが最も多いのです。ところが、成長すると骨格筋が基礎代謝の役割を担うようになるため、褐色脂肪細胞は年齢とともにどんどん減少。特に40歳以降は減少が顕著というデータは、中年太りとの関係を裏付けています。ひと昔前は、成人するころにはほとんどないか、あっても生理的な意義はないとされていましたが、最近成人にも褐色脂肪は少量ながら存在し、寒さを感じると活発に働くことが証明されています。

また、褐色脂肪細胞の一種、ベージュ脂肪細胞の存在も最近明らかになっています。褐色脂肪細胞同様、活性化することで脂肪を分解し、熱を発生させるのですが、加齢による減少が緩やかなのが特徴。運動すると筋肉から分泌されるirisinという特殊なペプチドが白色脂肪細胞をベージュ細胞化し、エネルギー消費を増やすという報告があるものの、irisinの作用機構についてはまだ十分には解明されていません。ベージュ脂肪細胞を活性させるメカニズムがわかれば、褐色脂肪細胞との相乗効果で簡単に美と健康が手に入るかもしれませんね。

—-「痩せる=脂肪細胞の数が減る」ものだと考えがちですが、「脂肪細胞のサイズが小さくなる」が正解でした。エネルギーが余れば、すぐに脂肪を取り込むという節約遺伝子の力ってすごいですね。ちなみに、脂肪細胞の寿命は10年。これは肥満の人も、そうでない人も同じなのだとか。次回は、効率的に脂肪のサイズを小さくする方法をご紹介します。

先生/河田照雄(京都大学大学院 農学研究科 教授)

京都大学大学院 農学研究科 食品分子機能学分野 教授。農学博士。健康維持や肥満・メタボの予防・改善に役立つ食品の働きを、遺伝子やたんぱく質の働きと関連づけて系統的、論理的に研究している。2001年から、京都大学学際融合教育研究推進センター生理化学研究ユニット教授を兼任。2013年日本栄養・食糧学会賞受賞。2015年日本農芸化学会賞受賞。

取材・文/山崎潤子(ライター)
イラスト/はまだなぎさ

※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
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