—-ローカル筋を上手に使えるようになると、アスリートはパフォーマンスが向上し、女性は美と健康を手に入れられるとわかりましたが、トレーニング法は驚くほどシンプル。でも、最初から正しくできる人はほとんどいない、と金岡先生は言います。
もっとも効果的なのが、ローカル筋の中でも脇腹にある腹横筋を使えるようにするトレーニング法「ドローイン」です。仰向けに寝ておなかをへこませる動きは簡単そうに見えますが、最初からうまくできる人はなかなかいません。でも、コツさえつかめば意識しなくてもできるようになるので、安心してください。
仰向けに寝てひざを90度くらいに立てたら、息を吸って下腹部を膨らませます。次に、ゆっくり息を吐きながら10秒間おなかをへこませるのですが、背中と床の隙間がなくなるように意識して行うと、腹横筋が収縮します。
みなさんやりがちなのが、おなかをへこませたときに腹部の前面にあるグローバル筋の腹直筋に力を入れてしまい、おなかの中央部分が盛り上がってしまうパターン。腹横筋がしっかり収縮しているときは、おなか全体が平らになります。ゆっくり咳をしてみてください。咳をしようと身構えると、おなかにギュッと力が入りますよね。これが腹横筋の収縮です。
いきなり筋肉を動かすと外側のグローバル筋が働き、内側のローカル筋は働かないので、ゆっくり行うこともポイント。腹横筋が収縮する感覚がつかめるようになったら、いつでもどこでもドローインができるようにしていきます。
立つ、座る、歩くといった日常生活の中で “ながら”ドローインができれば、習慣にするのは簡単。鏡の前なら姿勢のチェックもできるので、歯磨きしながら行うのがおすすめです。
グローバル筋を鍛えるトレーニングは筋肉痛になりますが、ローカル筋は筋肉痛になりにくいので、腹横筋がしっかり収縮しているかをチェックするためにも、ときどきハンドニーを行ってみてください。変化がなければ、腹横筋ではなく別の筋肉を使ってドローインを行っている可能性大です。
同じくローカル筋を使うヨガやピラティスをやったことのある人は、たった1ポーズでいいの? と物足りなく感じるかもしれませんが、ドローインだけで十分からだの変化を実感できます。ぜひ、続けてみてください。
—-どんなトレーニングも、続けなければ意味がありません。その点ドローインは動きがシンプル。しかも、正しいやり方を身につければいつでもどこでもできるので、習慣にできそうですよね。2〜3か月後の変化が楽しみです。
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先生/金岡恒治
早稲田大学 スポーツ科学学術院 教授。整形外科医。日本水泳連盟医事委員長。ロンドンオリンピックでは、水泳チームのJOC本部ドクターとしてオリンピックに帯同。文部科学省科学研究費の助成を得て体幹トレーニングの研究に従事し、腰痛予防や競技パフォーマンスの向上に応用している。『一生痛まない強い腰をつくる』(高橋書店)など著書多数。
取材・文/山崎潤子(ライター)
イラスト/はまだなぎさ
※今記事は、文章・写真ともWacoal Body Bookより転載し、「Rhythm」にあわせ体裁を整えたものです。