家庭菜園歴17年という、野菜を作るアナウンサー、小谷あゆみさん。自らを「ベジアナ」と称して、日本全国の農業や食の取材をする一方、介護番組司会の経験から、地域福祉や介護の講演でも全国を飛び回っていらっしゃいます。
その小谷さんが野菜作り同様、ハマっているのがランニング。前回もご紹介したように、「ランラン部」という、アナウンサー仲間と結成した部活も行っているそうです。
2回目となる今回は、朝のランニングを長続きさせるための秘訣について伺いました。
──1人で走るときは、どのあたりを走っているんですか?
始めた当時の2011年の頃は、自宅から近かった都立の「林試の森公園」ですね。
あの頃は、いちばんよく走っていました。なぜかというと、お互いに応援し合うオトナの部活「ランラン部」の薮本雅子さんが「一緒にハーフマラソンに出ようよ」と、誘ってくれたからです。
まだジョギング自体、始めたばかりでしたから、「これは本気で練習しなくては完走できないぞ」と、かなり真剣になりました(笑)。
その誘っていただいた大会というのが、福島県の「猪苗代湖ハーフマラソン」だったんですよ。何しろ東日本大震災があった2011年ですから、雅子さんも私も、福島を応援したいという気持ちが心のどこかにあったんでしょうね。
私たちが走ったからどうなるというわけでもないのですが、大会のパンフレットには、「走ることがエールになる」というキャッチコピーが書かれていました。それを見た瞬間、とにかく福島を知る、感じるきっかけとして、自分の目で見てみたい、と。そして、この足で、その地を走ってみたかった。
そんな経緯でハーフマラソンに参加することになったのですが、さらに、Facebookやブログでも出場すると宣言してしまった手前、何が何でも「完走しなくては」と、さらにマジメに走るようになったと記憶しています(笑)。毎日ちょっとずつ、3〜4km程度から走り始めましたね。
──目標を持って走ってみて、どうでしたか?
猪苗代湖のハーフマラソンは、本当にすばらしい体験でした。ランナーズハイというものを初めて味わって、脳内が活性化する感覚というのにビックリしました。
初めてのハーフマラソンでしたが、不思議なことに、まったく一度も、歩こうと思うようなことがありませんでした。地元のみなさんや子供たちの応援はもちろんのこと、磐梯山の景色にも心を動かされ続けました。結局、止まったのは、写メを撮るときの2〜3秒だけでした。
写真:初めての大会出場「猪苗代湖ハーフマラソン」。アナウンサーの薮本雅子さんと共に参加
沿道で応援してくれる町の人たちの姿がうれしくて、気づけば2時間半の間、ほぼ全員に手を振り返しつつ、声をかけていました。
福島を応援するなんてとんでもない。逆に、どれほど地元の皆さんに、私が応援していただいてパワーをもらったことか……、と今、振り返って思うのと同時に、感謝したいですね。
磐梯山の景色も含め、まるごとその地域が好きになりましたし、私にとってすごく意味のある大会でした。自分の足で走ると、その地域に対する見方や感じ方が変わります。実際に走ってみて、いい経験になりました。
写真:磐梯山を眺めながら、人生初ハーフマラソンでランナーズハイを体験!
──やはり、走るというのは、精神的にもいいのでしょうか?
それだけは、間違いなく言えますね。その後、ラッキーなことに、東京マラソンに当選して、2013年に初めてのフルマラソンも体験しました。5時間もかかったのですけれど、走り終えたとき、初めて「自分にOKを出してあげられる!」と思いました。
それなりに練習をしてきたけれど、やはりフルマラソンはとても厳しい。でも、どんなに辛くて歩きたいと思っても、歩かないで完走できたというのは、今までに経験したことがないくらいの達成感でした。
走っている間、「がんばれ〜!」と応援をもらうのもうれしいのですが、ようやく完走できたところで、「おめでとう!」と、祝福される側の人間になることができるんです。この自己実現といいますか、自己肯定感というのは、なかなか他では得がたいことではないかと思います。
だから、気分転換でもなんでもいいんですよ。走るっていう行為は、心身ともにとてもいいことだと思います。今はありがたいことに、仕事も忙しくさせていただいていますが、仕事が落ち込んでいたときも、とにかく「朝起きたら走る」という、ささやかな私なりのルールが、私自身の救いになっていたと思います。
走って汗をかけば、気持ちはスッキリ晴れますし、写真を撮ってそれをブログやFacebookにアップして、「私はきょうも元気に生きているぞ!」と。自分という存在の確認みたいなものでしょうか!?(笑)。
あと、スマホには何キロをどれくらいで走ったかを記録できるアプリもあるので、そういうゲーム性も取り入れて楽しむのが、走るモチベーションにつながります。
──緑を眺めながら、公園をランニングというのもいいんでしょうね。
品川区在住の頃によく走った林試の森公園は、もともと林業試験場だったところなので、植生も豊かで面白いんですよ。他では見られないような木々や植物があるし、走るコースも変化に富んでいて、湧き水が流れる小川があったり、その上にアーチ状の橋が架かっていたりもする。深い森なので、日陰をずっと走れるっていうのも気持ちいいですね。
写真:珍しい草木が多い林試の森公園でランニング
現在は、駒沢公園や砧公園に近いところに引っ越しました。
この2つの公園は、広さもありますし、特に駒沢公園はランナーの聖地とも呼ばれていますよね。とにかく、走っている人の数が多いですから、いつも、「私もがんばろう!」と思えます。一方、砧公園は、自然がとにかくすばらしいので、大好きです。
公園や緑道など、自分が気持ちよく走れるような、お気に入りのコースを見つけることが、長続きのコツの一つなのかもしれないですね。これからランニングを始めようと思っている方も、ぜひ、お気に入りのコースをいくつか見つけることをオススメしたいですね!
──次回は、野菜作りにハマった理由ついてお伺いします。
取材・文:國尾一樹
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