野菜を作るアナウンサー「ベジアナ」として、日本全国の農業や食の取材をする一方、介護番組司会の経験から、地域福祉や介護の講演でも全国を飛び回る小谷あゆみさん。そのかたわら、家庭菜園歴は17年。仕事もプライベートも、いつも野菜とともにあるようです。
野菜を愛し、「都市生活者こそ“農ある暮らし”」と提唱している小谷さんに、野菜作りに対する熱い思いとともに、農ある暮らしの魅力やすばらしさ、生活のリズムの作り方などについて、お聞きしました。
第1回目は、一日のスイッチを入れるための、野菜の水やりと朝のランニングについてです。
──フリーアナウンサーや農業ジャーナリストとして、あるいは介護に関する講演などで全国を飛び回って、忙しい日々を送っていらっしゃるようですが、普段の生活のリズムの作り方について、ご自身がこだわっていらっしゃることはありますか?
取材も講演会も、地方、特に農村が多いんですよね。だいたい、月の3分の1くらいは、どこかに出張しているといった感じだと思います。
そんなワケで、生活のリズムはけっこうメチャクチャかもしれないです。自分でマネジメントしながら仕事をしているのですが、毎日、行き先も仕事の内容も違うんですよね。だから、朝4時起きで早朝の新幹線に乗ることもあれば、夜遅くまで自宅で缶詰になって原稿の〆切に追われるとこともありますし……。私ってどうやってリズムを作ってるのかなあ、と(笑)。
──朝起きてから、一日のペース作りになっているようなことは、何かありませんか?
朝、家にいる時は、ベランダ菜園の水やりをしていますね。夏でしたら、ゴーヤ、オクラ、ツルムラサキ、ミニトマト……、あとはバジルくらいですかね?けっこういろんな種類の野菜を育てています。とは言っても、ベランダはそんなに広くないんですよ。
写真:植え付け前には、ベランダで新聞紙に土を拡げて、石灰をまいて土壌を改良する
──家庭菜園歴は15年で、ベランダ菜園でも市民農園でも野菜を作っておられるわけですが、やっぱり水やりっていうのは、ずっと続けるものなんですね。
そうですね。
朝、起きたら、まず水やりをするのが、私にとっての一日のスイッチをオンにする瞬間なのかもしれないですね。水やりをして、シャワーを浴びてから、コーヒーを飲む。家で仕事をこなす日は、だいたいそうやっています。
ただ、朝ご飯はいい加減ですね(笑)。夜遅くまで、仲間と飲むといったことも多いので、朝食ではなくブランチにして、1日2食というパターンが多いです。
──ベランダ菜園の水やりというのは、どれくらいの時間をかけて行うんですか?
今は収穫物もそんなにないので、ささっと手早くやるだけです。朝、起きたら、まず窓を開けてベランダに出ます。やっぱり、ベランダ仕事が好きなんですよね。
先日、高知の知り合いから、「ぶなしめじ」が段ボール1箱分、ドーンと送られて来たので、ベランダに新聞紙を広げて、30袋分の干ししめじを作っています。足の踏み場もないほど大量なので、ちょっと洗濯物は、しばらく干せないかなあっていうほど、しめじがわが家のベランダを占拠してますが……(笑)。
野菜を育てるために、今の場所に引っ越すときも、絶対に日当たりのよい南向きのベランダのある部屋にしよう、と決めていたほど、私にとってベランダというのは特別な場所なんです。一日のスイッチの入れ方として、朝のベランダ活動はぜひ、みなさんにオススメしたいですね!
──アナウンサーの友人の方たちと、楽しく走る「ランラン部」という、オトナの部活動もやっていらっしゃいますよね?
アナウンサー友達と一緒に、Facebookページで「ランラン部」を作って、みんなで大会に出るなどして、活動しています。フリーアナウンサーの関谷亜矢子さん、藪本雅子さん(ともに元・日本テレビアナウンサー)と、私と石川テレビ時代に同僚だった斉藤和美さんの4人が中心になって活動しています。
そのほかにも、走ることが好きな友達に声をかけて、とにかく走る人を応援し合う部活といった感じですね。
写真:ベジタブルマラソンの公式サポーターを務める小谷さんとランラン部
──ランニングは毎朝やっているのですか?
今年の夏は猛暑続きだったので、あまり走れませんでしたが、ようやく涼しくなってきてからは週2〜3回程度、走り始めたところです。
実は、学生時代は水泳部だったので、スイミングも好きです。なので、猛暑続きの頃は、週に1回程度、プールにも通っていました。
写真:雑草あるし、虫食いだらけですみません〜!」と言いながら、世田谷区の農園でナスを収穫する小谷さん
もともと、なぜランニングを始めたのかというと、区民農園の期限が切れたことが、きっかけだったんですよ。
2011年3月まで、ずっと区民農園を借りて野菜を作っていたのですが、都内の区民農園は抽選倍率がかなり高いんですよね。
毎年、更新するたびに抽選になるのですが、残念なことに外れてしまいました。それで2011年の4月以降、趣味と実益、そして、私にとってストレス解消にもなる、“最大の癒しの場”であった区民農園を奪われてしまい、ついに野菜作りができなくなってしまったんですよ。
震災の影響で、仕事も減りましたし、いろいろと気持ち的にもナーバスになるじゃないですか。
「ヤバい、今日も明日も何の予定もない!私は世の中に必要とされていないかも!?」って(笑)。このままではいけないと思っていても、ヒマ過ぎると、どうしても思考もネガティブになってしまいますし、何か身体を動かさないとマズい、と。
そもそも、私は自然が大好きなので、公園まで走っていって運動して、植物にも触れ合うような生活にすれば、心身ともにイイんじゃないかと思った。
それで、ちょうどその頃、走っているアナウンサー友達に声をかけてみることにしました。
──運動はもともとお好きだったんですか?
実は、スポーツはまったく得意ではありません(笑)。足も遅いです。たぶん、区民農園の抽選に外れなければ、走っていなかったんじゃないかと思います。友達の中には子育て中のママもいますが、それぞれが自分らしく生きる場を作るための一つの手段として、走り出していたんですね。
自宅はお互いに離れているので、走ったときの風景とシューズの写真を撮って、Facebookにアップしようと、ランラン部を始めました。お互いに励まし合うことが、かなりモチベーションアップになったようですね。走るのがとても楽しくなりました。
——確かに、励まし合いながら走るというのは、楽しさ倍増でいいかもしれませんね。私ももっと楽しく走れるように、何か工夫してみたいと思います。
次回は、ランニングを長続きさせるためのコツなどについてお伺いします。
取材・文:國尾一樹
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