みなさん、こんにちは。整体師でありプロフェッショナル・ファスティングマイスターの植屋浩幸です。
先日の断食についての記事に出てきた腸内細菌について、今回はもう少し詳しくお話ししたいと思います。
私たちの腸の中には、およそ100種類100兆個の細菌が存在するそうです。この細菌が群れをなして生息する様子が、まるでお花畑のように見えるので、「腸内フローラ」とも呼ばれています。
腸内細菌は、ビフィズス菌や乳酸菌などの「善玉菌」、大腸菌などの「悪玉菌」、そして、その中間に位置する「日和見菌」の3種類に分けることができます。
日和見菌は多い方の菌に味方します。そのため、善玉菌が多いと善玉菌の味方をして腸内環境は良くなり、悪玉菌が多いと悪玉菌の味方をして腸内環境は悪くなります。
とはいえ、最新の研究では、「悪玉菌」に分類されるものにも大切な役割があることが判明してきました。なので、悪玉菌が全くないのもダメなのだそうです。具体的には、「善玉菌2:日和見菌7:悪玉菌1」のバランスが大切だと憶えておきましょう。
標準的な男性の腸内細菌を集めると、その重さはなんと約1Kgもあるそうです。また、腸には免疫システムの70%があるといわれてます。つまり、「腸内環境が整う」⇒「免疫力が高くなる」⇒「病気に抵抗する力がUPする」という効果が期待できるのです。
ある病院では、消化器系の手術を受ける人たちが、術後の早期回復の目的で乳酸菌・ビフィズス菌を2週間前から摂取し続けたところ、合併症の発症率が従前の52.2%から12.2%に減ったそうです。
最新医療では、潰瘍性大腸炎(難病指定になっている病気)の方に健康な方の腸内細菌を移植(便移植)することで、約70%の人が改善したというデータもあるようです。将来的には他の病気にも応用できるように研究が進められています。
また、漢方では昔から「お肌は腸の裏返し」といって、肌荒れの原因は腸内環境の乱れにあるとされていますが、実際に「お肌を綺麗にする菌」も腸内から発見されています。
生活習慣が身体に及ぼす影響は、今さら詳しく語るまでもないことですが、腸内細菌もまた、生活習慣に大きく影響を受けています。
例えば、肉をよく食べる人の腸内細菌には脂質を分解する細菌が多く、野菜中心の食事をしている人の腸内細菌には食物繊維や炭水化物を分解する細菌が多いといったように。
なので、肉だけでなく野菜もしっかり食べてバランスを取るといった工夫はもちろん大切ですが、生活習慣そのものの見直しが、腸内環境を向上させる近道といえるでしょう。なお、腸内細菌のバランスが崩れる主な原因は以下のとおりです。
1.過度なストレスがかかり続けている
2.暴飲暴食
3.肥満、メタボリック
4.慢性的な睡眠不足
5.冷え
生活習慣を見直すことで、腸内環境の改善が期待できます。そして、腸内環境が改善されると、免疫力が向上します。身体が健康になるということは、ダイエットや美肌効果も期待できます。
さらには、腸内細菌による花粉症や鬱病などへの効能も、最近は研究が進められています。腸内細菌の可能性はどんどん広がっているといえるでしょう。
文:植屋浩幸