紅茶消費量世界一というと、多くの人がイギリスを思い浮かべるかもしれません。ところが、意外にもアイルランドの方が多いのです。数年前の統計では、イギリスが年間一人当たり1.8キログラム、アイルランドは2.1キログラムという結果になりました。ちなみに私たち日本人は年間80グラムです。
神奈川県に住むアイルランド人の友人から聞いた話があります。彼のお姉さんから届いた一通の手紙です。
あなたが紅茶好きというのはよくわかります。アイルランドの厳しい寒さで冷えた体を温める飲み物、家族の飲み物が紅茶だったからでしょう。
私が十代の頃、思春期でちょっとしたことで悩んだり感傷的になったりすると、私は慰めてもらいたくておばあちゃんの家に行きました。おばあちゃんは私のために紅茶を淹れてくれ、「紅茶は気分を静めるものだよ」と言ったのです。紅茶を飲んで眠り、朝起きると何とも不思議なことにあれほど悲観的で苦しかったことがすべて消え、とても明るい気分になっていたのを覚えています。
紅茶が私の気持ちを静めてくれたのか、おばあちゃんの優しさが私を慰めてくれたのか今でもどちらだったか判断できません。
アイルランド人の彼は日本に住んでもう30年余りですが、気分が落ち込んだり、寂しくなったりすると紅茶を飲みたくなると言います。
九州の佐賀で開業されているお医者さんの話はこうです。インドが大好き、カレーもタンドリーチキンも大好き、特にインド紅茶は必需品で、一日に何度も飲まなくてはいられないほどの愛飲家です。
自分の年齢と共に患者さんたちも年を取られてきました。どこが悪いというわけではなく、病院に通ってくるお年寄りが多いのです。診察して薬を出すこともあるが、温かい紅茶でも飲んで話をしたら元気になります。そこで、午後の3時になったら待合室で紅茶とクッキーを出すことにしました。紅茶を飲みながら手を握ったり、背中をさすったり、それだけで笑顔になり、元気になって帰る患者さんもいます。
「紅茶はいいですよ。体が温かくなって利尿もしっかりできて、なにより話ができるから年配者は喜ぶ。心がほぐれて元気になります。」と、ちょっと太り気味の先生が笑いながら教えてくれました。
紅茶は心にどのように影響するのでしょうか。まだまだ謎が多いと言われている紅茶の成分の中に、心を癒し、ストレスを解消する効果があるのでしょうか。
最近の研究によると、心の鬱やストレスに影響する自律神経機能は、紅茶を飲むことによって悪化を抑制し、緊張や不安などの気分を改善する働きがあると発表しています。紅茶によって副交感神経が優位になることでリラックスし、ストレスが軽減されるのです。
大好きな香りを嗅ぐとつい笑顔になります。心が和らかくなってリラックスモードに入っているのです。紅茶の香りは森の中のような発酵食品の香りです。ハーブや花、木や落ち葉、熟したフルーツなど目に浮かべながら飲んでください。
甘みも大事です。リラックスに役立ちます。そこで、チョコレートシロップを使った甘い紅茶を紹介します。
スリランカ紅茶(ウバ)4g
熱湯(95~98度C) 350cc
牛乳 20cc
チョコレートシロップ 20g
グラニュー糖 5g
1)ティーポットに茶葉を入れ熱湯を注ぐ
2)耐熱グラスにチョコレートシロップと牛乳を入れる
仕事のストレスがなかなか抜けないときには、このチョコレートミルクティーで心にも甘い栄養を与えてあげましょう。紅茶の効能でしっかりリラックスすれば、明日からもまた元気にお仕事できますよ!
文・写真提供:磯淵猛