こんにちは。滝ガールの坂崎絢子です。
滝ガールは、全国各地、滝を求めて旅しているわけですが、新しい滝に出会いたい、いろんな滝を見てみたいと思う一方で、実はけっこう、同じ滝に繰り返し出没していたりもします。
バーや居酒屋などの「行きつけ」みたいなものでしょうか。好きな雰囲気で、思い立った時にフラリと立ち寄れて、なんとなくほっと安心できる場所。これを私は「ホーム滝」と呼んでいます。滝愛好家の仲間たちにも聞いてみたら、みんなもそれぞれに自分が思い入れのあるホーム滝があるようです。
さて、私にとってのホーム滝がどこなのかというと…
こちら。
東京都檜原村の払沢の滝(ほっさわのたき)です。
東京都で唯一、日本の滝百選にも選ばれています。滝自体もちろん名瀑なのですが、それに加えて、都心からのアクセスがいいし、それでいて「山感」もちゃんとあるし、アクセスもウッドチップで整備された遊歩道を駐車場から15分ほど歩くだけ…と諸々の条件がいずれもちょうどいい滝なのです。
そんなわけで訪問回数はダントツで最多になっています。2017年も10回近く訪ねていますし、今年もすでに2回。フラリと一人で行くこともあれば、最近は滝初心者のお友達を連れてよく出かけています。
お気に入りだからって、さすがに何度も繰り返し訪ねるのってどうなの?と思うかもしれませんね。いやいや、それが滝の面白いところです。繰り返し訪ねることでこそ、魅力が広がっていくんです。
今回はその理由をお伝えしようと思います。
ひとつ目の理由は、これは以前もこちらのコラムで書いたことですが「同じ滝でも同じ滝ではない」、つまり変化する滝を楽しむことができる、ということです。
季節、水量、お天気、時間。それぞれの条件によって、滝はかなり大きく姿を変えます。むしろ「変化がわかりやすい滝」ほど、リピートしがいのある魅力的な滝ですし、その「変化」こそが、滝の魅力だと思っています。
それでは、私のホーム滝、払沢の滝の変化ぶりもご紹介しましょう。
まずは新緑の滝。滝からの爽やかな風が運ばれてきて、黄色いヤマブキが揺れています。
こちらは夏、台風の後の滝です。「うわあ、怒ってる〜!」という感じ。命の危険を感じるくらいの迫力になります。
そして冬。払沢の滝は氷結する滝(氷瀑・ひょうばく)としても有名です。
季節だけでなくて、時間によっても表情を変えます。日差しの角度によって、滝壺に虹がかかることもあるんですよ。
私は滝を「地球が作り出す芸術作品」だと思っているんですが、まさにホーム滝を通じて、折々で異なる作風を堪能させてもらっている感じなのです。
ホーム滝をオススメするもう一つの理由が、これはなかなか言葉では説明しにくいところですが、やっぱり「癒し」なのだと思います。
新しい滝に出会うと、まずは滝を知るところから始まります。新鮮な驚きや感動が味わえる「はじめまして」の状態です。
一方、再訪問する滝は、眺め方が少し変わってくるのです。「はじめまして」ではなく「また来たよ、ただいま!」の状態になります。お友達でも何度か会っていくうちに心を開けるようになるように、滝も何度か訪ねていくとだんだん安心感が出てくるのです。リラックスできることで、滝による癒し効果がより一層期待できるというわけですね。
実際、私が一人でホーム滝を訪れるのがどんな時かというと、何か悩み事があるだとか、ちょっと疲れたなというときです。馴染みの滝だからこそ、はしゃぎすぎずにシンプルに「ただ眺める」ことができる。そこで瞑想のような効果が発揮され、心身のリフレッシュ効果があるようなのです。私にとっては、かかりつけのお医者さんのような存在でもあるのかもしれません。
皆さんもお気に入りの滝を見つけたら、ぜひもう一度、時間をおいて再訪してみてくださいね。「変化」と「癒し」に注目することで、滝の魅力をより深く味わうことができますよ!
文・写真:坂崎絢子