こんにちは。滝ガールの坂崎絢子です。
リズム読者の皆さまにはこれまで、「滝」は最強のリフレッシュツールである、ということをお伝えしてきていますが、今回は実践編です。
リフレッシュツールとして滝を活用するためには、少しコツがあります。わたしがやっているのは、五感を使って滝を「積極的に鑑賞する」ということ。具体的な滝ヒーリングの方法として、わたしがいつもやっている、滝ガール流の滝鑑賞法をお伝えしたいと思います。
この鑑賞法は、友人と一緒の旅で滝を訪れたときや、あるいは滝のガイドツアーのときなどに、わたしがよくレクチャーしています。もちろん基本的にはそれぞれが思い思いにじっくりと滝を眺めて、感じてもらえばOKです。ただ、参考までに最初に少しだけ鑑賞のヒントをお伝えしておくだけでも、「なるほど、滝ってこうやって楽しむんだ!」と喜んでもらえるので、うれしくなります。
まずは、滝を積極的に「見る」ことです。
滝に出会ったら、最初に「滝のファーストインプレッション」を捉えます。
周囲の景色と一緒に全体の雰囲気を見る。そして、その滝を人に例えたらどんな人かを考えてみるのです。
これが「擬人化」です。勢いや形状、色などを、人に例えてみます。
「乙女のような滝」「懐の深いおじいさんのような滝」「包容力のあるお母さんのような滝」とか……滝ってそれぞれ異なる個性的な「佇まい」が、あるんです。
滝によっては名前がそういうところからつけられている滝もあって、昔から、滝はそのようにして眺められてきたことが分かります。男滝、女滝、というのは特にメジャーな名付け方です。
こちらは「姥ヶ滝」。
有名人に例えたりするのもいいと思います。不思議なことに、擬人化して見ると、滝が、ぐんと身近なものに感じられてくるものなのです。
山の景色の中に落ちる滝の全体像を眺めたあとは、今度は視点をミクロに。近づいてよくみて見ると、滝っていろいろな流れの集合体だということに気づくと思います。
その流れの中で、自分が気になる「部分」を探すのです。上から下に、流れ方は一定ではなく、流れの中にも「個性」がある。ピョンピョン跳ねていたり、くねくね曲がって落ちていたり……。自分はどの部分がお気に入りか、いわゆる「萌えポイント」を探してみます。
モデルさんの魅力的な姿を撮るフォトグラファーになりきったつもりで、いろいろな角度から見て、自分が気に入った萌えポイントを写真で切り取ってみるのもいいですね。
これで、また一段と、滝が身近に感じますよ!
滝は「音が出る」というところが自然の景色のなかでも特別なものです。
滝の轟音は、あれだけの大きな音なのに、不思議と「うるさーい!」って不快になることはありません。それどころか、かなりのリラクゼーション効果があるのです。人間の身体は、水分が60%~70%ともいわれるので、そこに共鳴しているのかもしれません。
わたしの観賞法では、積極的にその音を活用します。
滝の音をよく聞きたいときには、両耳に手を添えて滝の反対側を向いてみるのがコツです。それだけのことですが、集音効果によって、滝の音だけが大きく聞こえて、まるで滝の中に入った気分になるんです。
見るときには「擬人化」をしましたが、ここでは「擬音化」にチャレンジしてみます。
滝の音、と一言でいっても、それぞれの滝で違います。
どどどどど…なのか、しゃしゃしゃ…なのか?
結局、滝の音ってひとつの言葉では表せられないことに気がつくのですが、この試みを通じて、普段やらない「耳を澄ます」ことを意識的にできるようになります。
滝の音が浸透してきた耳には、今度は別の音がよく聞こえてくるようになります。身体の中の音、鳥のさえずり、木々の葉ずれなど……それぞれが聞き分けられるようになってくるので、楽しいですよ。
わたしたちの聴力って、意外と些細なことで目覚めるんだな、と思います。そしてそのことが、普段凝り固まった心をほぐしていくのですね。
滝ガールは心地よく「鑑賞する」というスタイルなので、滝に打たれる「滝行」はしないのですが、水に触れることはしています。滝つぼの水に手で触れたり、水しぶきを浴びたり。水の温度やミストの細かさを肌で感じることで、生き物としての感覚が蘇ってくるようなのです。
冬場はさすがにやりませんが、もし浅い滝壺の場合なら、裸足になって足をつけてみます。
肌触り、ひんやりとした温度を感じます。
滝の姿を眺める、滝の音を聴く、滝の水に触れる……それは単純に心地よい体験であると同時に、水の流れという自然の「動」が、前に立つ人間の五感を刺激してくれるものです。だから、癒しにつながるんですね!
滝は、地球がつくる偉大な芸術作品であり、ありがたいリフレッシュツールです。せっかくなら、感性をフル動員して、味わい尽くしてほしいと思っています。
次回は、より感性を研ぎ澄ますための「滝ヨガ」についてお話します。
文・写真:坂崎絢子