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トライアスロン旅の醍醐味が味わえるレース開催地 ~土地力とトライアスリート独自のアプローチ~【特集:トライアスロンと旅】

トライアスロン旅の醍醐味が味わえるレース開催地 ~土地力とトライアスリート独自のアプローチ~【特集:トライアスロンと旅】

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トライアスロン旅の醍醐味が味わえるレース開催地 ~土地力とトライアスリート独自のアプローチ~【特集:トライアスロンと旅】

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全5回の特集企画「トライアスロンと旅」。第4回は、世界各地を巡りながらレースに出場してきたライター/作家の謝孝浩さんが、「トライアスロン旅」だからこその経験ができるさまざまなレース開催地をご紹介します。

■特集「トライアスロンと旅」全5回
1. 対談:謝孝浩×酒井絵美 トライアスロン旅の楽しさを語ろう
2. インタビュー:村山彩 旅先で何を食べる? トライアスリートの体を作る食事
3. 対談:宮塚英也×角田尚子 ハワイ島がトライアスロンの“聖地”と呼ばれる理由
4. トライアスロン旅の醍醐味が味わえるレース開催地 ~土地力とトライアスリート独自のアプローチ~
5. 『最高の睡眠』のスタンフォード大学教授 西野精治インタビュー トライアスリートはいかにして時差と付き合うべきか

旅行の最大の目的はレースであっても、その前後に、開催地の魅力を満喫するトライアスリートは多い。このプラスαの過ごし方が、普通の旅では味わえないトライアスロン旅の醍醐味に通じる。

自然を満喫する

トライアスロンのレースありきという切り口で、旅のディスティネーションを選ぶと、その土地のもつパワーにあらためて気づかされる。
この土地力こそ、トライアスロン旅の醍醐味のひとつだろう。

トライアスロンが開催される土地は、南国の海の美しい場所が多い。おのずとマリンスポーツが楽しめるというわけだ。特にダイビングに関しては、アフターレースのアクティビティとしてトライアスリートダイバーの間でも注目を集めている。学術的に証明されたわけではないとは思うのだが、潜った後は、レースの筋肉疲労が抜けるような気がするというのだ。私も実感しているひとりである。
いくつか紹介してみよう。

写真提供:Blue Palms Dive Service ROTA

太平洋とフィリピン海と接する北マリアナ連邦のロタ島には、トライアスリートならば一度は泳いでみたいという透明度抜群の海がある。50mほどの白砂の海底へと続くオーシャンブルーは、太陽の光に包まれて独特に輝き「ロタブルー」と呼ばれている。

写真提供:小野口健太

レース中はもちろんのこと、その海を満喫できるダイビングは宇宙遊泳している感じである。沈潜スポットやロタホールなどロタならではのダイビングスポットが楽しめる。

太平洋に浮かぶパラオ諸島も、世界遺産に登録されるほど自然豊かな土地である。ロックアイランドと呼ばれる緑豊かな小島がコバルトブルーの海に点在する絶景を上空から見た時は、その自然のダイナミックさに驚いたものだ。レースは、土曜日に51.5kmタイプの競技があり、日曜日には、パラオ諸島最大の島を一周する自転車イベントも開催している。両方参加することもできるので、初心者からベテランまで、自分のレベルにあわせて選択できる。

私はどちらも参加したのだが、ギュッと詰まった日程なのにトライアスロンもロングライドも楽しむことができ、欲張りなパラオ滞在になった。もちろんパラオも屈指のダイビングのメッカなので、ダイビングも外せない。ブルーコーナーやブルーホール、ペリリューコーナーなど回遊魚の多さでは、群を抜いている。点在しているダイビングスポットを巡るダイビング船も数多く就航していて、私も利用した。
オーストラリアの北西部に位置するケアンズのアイアンマンレースは、日本人も多く参加するレースだが、こじんまりとした街の佇まいがいい。海沿いには遊歩道や公園が整備されている。公園の外れには、誰でも無料で入ることができる屋外プールまである。そしてその沖合いには、世界最大のサンゴ礁地帯のグレートバリアリーフがある。世界自然遺産にも登録され、ダイビングポイントが数多く点在している。ケアンズは、グレートバリアリーフへの玄関口にもなっているので、多くのダイビング船が就航している。ここでもレース後にダイビング船を利用して、世界遺産の海でのダイビングを楽しんだ。

文化的遺産に触れる

その土地のもつ自然のパワーだけでなく、そこに住む人たちが生み出した文化的な魅力ももうひとつの土地力だといえるだろう。
ベトナムの中央部のダナンで開催されるアイアンマン70.3。レースはホテルが立ち並ぶリゾート地で開催されるのだが、車で40分ほどの場所に、ホイアンという世界文化遺産がある。ベトナム戦争時代にも破壊されなかった古い街並みが連なり、16世紀以降、国際貿易港として栄えた面影を残している。
レースの翌日、ホイアンを散策していると、タイムスリップしたかのような錯覚に襲われた。風雨に晒された壁や瓦屋根、煙に燻された柱や天井、生活の余韻の残る細い路地……。目に入ってくる街の佇まいひとつひとつに積み上げられた時の軌跡が醸し出されていた。日が暮れると、あちこちにランタンが灯って、街の前を流れる川面にその仄かな光が映って、それは幻想的だった。
スペインのバルセロナの51.5kmのレースは街中の海岸線で開催されるのだが、レース中、泳いでいると街全体が海の向こうに浮かんでいるように見えた。世界的に有名な観光地の街を海の中から見上げるなんて、トライアスロン競技中でもない限りできない経験だ。

バルセロナはまた多くの世界文化遺産がある都市である。サグラダ・ファミリアやグエル公園などのアントニ・ガウディの作品群もレース前後に観ることができた。いつかは観たいと思ってはいたが、トライアスロンのレースがなければ、実現したかどうか。

地中海に浮かぶマルタ共和国でも世界文化遺産を堪能した。51.5kmのレースはマルタ島の北西部で開催されたのだが、世界遺産があるのは、そこから南に行った首都のヴァレッタの街。要塞都市でもあるこの古い街がまるごと世界文化遺産なのだ。たまたま滞在中に、年に一度の「ノッテビィアンカ」という夜通し行われるお祭りが開催されていて、メインストリートでは、民族衣裳に身を纏った人たちのパレードが通過したり、華やかに彩られた歴史ある古い街のあちこちで芸術的なパフォーマンスや音楽が演奏され、地元の人たちが祭りを心から楽しんでいる雰囲気を味わうことができた。

日常を楽しむ

地中海に浮かぶマヨルカ島でのアイアンマンレースに参加した時のことだ。レース前日に、レースコースを試走していると、いつの間にか道に迷ってしまった。迷いながらも進んでいると、突然、小さな古い石造りの教会に遭遇したり、細い路地の奥によく整備された小さな庭があったり、街の佇まいの美しさに何度も自転車を停めて写真を撮りたくなった。島にはごく普通にある街並みなのだろうが、どこを切り取っても絵になった。それでいて無機質な感じではなく、洗濯物が干してあったりして、そこに生活している人の温もりがある。大いにこの迷子を楽しんだ。

写真提供:小野口健太

レース開催地で、トライアスリートがいつもしているように泳いで漕いで走っていると、それぞれのスピードで垣間見ることのできる特別の視線が生まれるような気がする。そこに生活している人たちの日常がダイレクトに記憶となって、心に焼き付いていく。その土地のもつパワーに加えて、トライアスリートならではのこの旅のアプローチの方法が、トライアスロン旅の醍醐味の大きな要素になっていると思う。

世界的に有名な場所ではなくても、その土地ならではのかけがえのない魅力がある。その知られざる魅力を発見するきっかけが、トライアスロン旅なのかもしれない。 

文・写真(クレジット記載のものを除く)/謝孝浩

謝孝浩 Profile
ライター、小説家。標高6千メートルから海面下40メートルまでのフィールドを飛び回る。2000年よりトライアスロンを始め「トライアスロン旅烏」としてトライアスロン旅のレポート記事をトライアスロン誌に数多く寄稿。トライアスロンを題材にした小説『ヌーが見た空』がスマートフォン版で発売中。
https://triathlon-lumina.com/lumina/books/PRM027.html


■特集「トライアスロンと旅」は全5回の連載企画です。次回は、世界の睡眠研究をリードするスタンフォード大学医学部教授、西野精治さんが、海外のレースに出る際の睡眠管理をレクチャーします。

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