あなたにちょうどいい、リズム|Rhythm

対談:謝孝浩×酒井絵美 トライアスロン旅の楽しさを語ろう【特集:トライアスロンと旅】

対談:謝孝浩×酒井絵美 トライアスロン旅の楽しさを語ろう【特集:トライアスロンと旅】

  • Special

<SPECIAL>
対談:謝孝浩×酒井絵美 トライアスロン旅の楽しさを語ろう【特集:トライアスロンと旅】

更新日:

| Rhythm Ultra | トライアスロン | トライアスロンと旅 | |

“過酷”というイメージがつきまとうトライアスロンですが、実は世界各国で楽しまれているライフスタイルスポーツでもあります。もともとは70年代にアメリカで生まれた競技で、今では開催地はアジア、オセアニア、ヨーロッパ、そして中東やアフリカにまで広がっています。そんな、世界各国のトライアスロン大会を目指して世界中を旅するトライアスリートも多数。スイム、バイク、ランの3種目に加えて旅まで楽しんでしまおうという欲張りな大人の遊び、それが「トライアスロン旅」。今回の特集ではその魅力を5回に渡ってご紹介します。

■特集「トライアスロンと旅」全5回
1. 対談:謝孝浩×酒井絵美 トライアスロン旅の楽しさを語ろう
2. インタビュー:村山彩 旅先で何を食べる? トライアスリートの体を作る食事
3. 対談:角田尚子×宮塚英也 ハワイとトライアスロン――その深い関係
4. トライアスロン旅の醍醐味が味わえるレース開催地 ~土地力とトライアスリート独自のアプローチ~
5. 『最高の睡眠』のスタンフォード大学教授 西野精治インタビュー トライアスリートはいかにして時差と付き合うべきか

自らを「トライアスロン旅烏」と称するライターの謝孝浩さんは、トライアスロン歴18年。これまでに日本はもちろん、世界各国で数々のトライアスロン旅をしてきた第一人者です。一方、昨年までプロトライアスリートとして第一線で活躍してきた酒井絵美さんは、真剣勝負の場として海外レースを多数経験してきた人。お二人それぞれの「トラ旅」体験を語っていただきました。

――さっそくですが、お二人の海外トラ旅暦をざっと教えてください。

酒井 アイアンマン※1の世界選手権が行われるハワイ島はもちろんですが、他にもイタリア、韓国、ニュージーランド、オーストラリア、台湾、ベトナムなど、珍しいところでは南アフリカやアラブ首長国連邦にも行きました。
※1アイアンマン:「鉄人」レースと呼ばれるロングディスタンスのトライアスロン。スイム3.8km、バイク180km、ラン42.2kmで構成される。毎年10月にハワイ島コナで世界選手権「アイアンマンハワイ」が開催される。

謝 アラブ! それは何の大会?

酒井 2012年に行った、アブダビインターナショナルトライアスロンという大会です。今はもうないんですけど。

謝 ああ、賞金がすごくて、世界の有名選手がたくさん出ていた大会ですね。

酒井 はい。この2012年は、世界選手権に出るためのポイントを獲得するために半端ない数の海外レースをこなした年です。ハワイを含め5カ国転戦しました。

謝 全部本気レース?

酒井 そう、全部本気です。だから観光とか遊びはほとんどしてなくて、正直そのあたりの話は謝さんにおまかせしたい(笑)。

写真提供:小野口健太

謝 はい、それは僕の担当ね(笑)。僕はトライアスロンデビューが2000年のロタ島だったんです。機内誌の仕事として行ったんだけど。他にはパラオ、中国の海南島、地中海のマルタ島、バルセロナ、フィリピン、絵美さんも行ったベトナムのダナン、ニューカレドニア、マヨルカ島などなど。

――お二人とも本当に世界各国回ってますねー。しかもなかなかマニアックな場所というか、普通あまり行かないところばかり。

謝 トライアスロンがあったから行ったっていうケースがほとんどですね。

――なかでも旅として印象に残っているところはどこですか?

写真提供:酒井絵美

酒井 私は南アフリカ。普段、私はレース後はすぐに帰っちゃうんです。日曜日にレースして、月曜日に表彰式とパーティーがあって、火曜日には飛行機に乗るというのが普通のスケジュール。でもその時は政府観光局のはからいでサファリで有名なクルーガー国立公園というところに2泊させてもらったんです。

謝 いいねーそれ。ホテルもすごかったんでしょ。

写真提供:酒井絵美

酒井 超豪華なバンガローっていう感じ。朝、昼、夜と3回車に乗って野生動物を見に連れて行ってもらうんです。あの時はレースを忘れて楽しめました。世界一高いバンジージャンプにも連れて行ってもらったんです。私は怖くて飛びませんでしたけど。

――スウェーデンのレースではホームステイもしたそうですね。

酒井 大会主催者に「ホームステイしたい」ってお願いしたら知り合いを紹介してくれて。ホストが国会議員をやっているパワフルな女性で、その方が出るラジオ番組に突然一緒に出演することになったり(笑)。レース前日にはスウェーデン名物のミートボールを作ってくれて「がんばってね」と。今でもSNSで連絡取り合ったりしてます。またいつか行きたいところのひとつですね。

写真提供:謝孝浩

謝 貴重な体験をしたね。僕の場合は、なんといってもデビュー戦のロタ。ここには特別の思いがあります。あの海の透明度と青さっていうのは、筆舌に尽くしがたいものがある。僕がトライアスロンを好きになったきっかけはあのロタブルー。それくらいインパクトがあった。仕事もそこからトライアスロンにどんどんシフトしていったし。ロタは自分を変えてくれた場所であり、僕のトライアスロンの原点。

――謝さんの人生を変えた海の色、見てみたくなりました。他にもありますか?

謝 中国の海南島の情景もすごく印象に残ってます。10年ぐらい前で、まだ中国も開発が始まったばかりの頃。バイクコースでは古き良き中国という感じの瓦屋根の街並みの中を通って、それも風情があるんだけど、特に印象的だったのが街なかのランコース。街は近代化されてはいるんだけど、まだしっくりきてない不思議な感じなんですよ。街なのに遊園地みたいで、それもディズニーランドじゃなくて花やしき。まるでおとぎの国でレースしてるみたいだった。僕なんかは遅いのでランになるまでに日が暮れて真っ暗な中を走るんだけど、とってつけたような電飾がキラキラしててね。おもちゃ箱の中を走ってるみたいだった。

――今行ったらもう違う風景になっているかもしれませんよね。その時そこにいたから変わりゆく中国のその瞬間を見れたという。

謝 そう、今だったらもっと洗練されちゃってると思うな。絵美さんはレース中景色とかは見てました?

写真提供:酒井絵美

酒井 いやー、景色はほとんど見てないですね。そういう意味では損してましたね。謝さんのこういう話をきくとなおさら思います。でもバイクコースでところどころ印象に残っているのは2013年に行ったオーストリアですね。

謝 コースは街なかなの?

酒井 街と山と両方。街もきれいだし、山の方は「アルプスの少女ハイジ」みたいな風景が広がってるんです。クラーゲンフルトっていう街なんですけど。

謝 それ、すっごい行きたくなった! これから行きたいところのリストに入れよう(笑)。

酒井 あとは、アブダビのバイクコースがそれとは真逆である意味すごかったですよ。スタート地点から50km走ってサーキット1周して戻って来るっていうのを2周回。50kmずっと直線なんです。両側はただ砂漠が広がってるだけで景色も全然変わらない。砂漠地帯ならではのコースでしたね。

――ただの旅とは違う、トライアスロン旅ならではのよさって何でしょう?

酒井 朝ジョグで開催地の街を走ると、普段なかなか見れない庶民の生活が垣間見れたりして、そこが面白い。普通の旅行では絶対行かないだろうなっていうところまで走ったりして。

写真提供:謝孝浩

謝 そう、朝ジョグはいいよね! ベトナムのダナンでは、開催場所はリゾート地なんだけど、そこからちょっと離れたところまで走ると漁村があったりして、すごく面白かった。朝、漁師たちが漁から帰ってきたところで、船や漁具が浜辺に置いてあるんですよ。普通見れない風景を見れるのが魅力ですね。あと、レース中でしたけど、マヨルカ島では土砂降りの中、人っ子一人いない街をバイクで走った時の光景もよく覚えてます。

酒井 他の選手たちとの交流も、普通の旅とは違うところですね。ベトナムでは子供の病院を訪問したり、レース後に主催者とプロ選手が集まるパーティーがあったり。そうやって海外の選手とも顔見知りになっていく。また別のレースで再会することもよくありました。

謝 他の選手との交流があるのは楽しいよね。僕なんかだと同じホテルに泊まってる人と、朝ごはんの時に話をして仲良くなったりする。そうやって知り合った人とレース中エールを送り合ったりね。日本人だけじゃなくて、違う国の人たちともトライアスロンを通してつながることができる。

――レースじゃなかったら行かなかった場所は?

酒井 南アフリカかな、やっぱり。移動だけでも40時間ぐらいかかってますから。日本から香港経由でヨハネスブルグに行って、そこからさらに飛行機を乗り継いでレース開催地のポートエリザベスまで行くので。でも、行ってみたら思っていたイメージと違ってて、すごくいいところでした。また行きたいと思う国ですね。

謝 僕はもともと秘境専門で旅してきたので、トライアスロンじゃなくても人があまり行かないところへは行ってたんです。で、逆にトライアスロンをやるようになって、メジャーな観光地にも行くようになった。ハワイなんて絶対行かないって思ってたから(笑)。

――今後行ってみたい場所やレースを挙げるとしたら?

酒井 ドイツのチャレンジロート※2。プロの頃からずっと行きたいと思ってたんですけど、スケジュール的に合わなくていけなかったんです。観衆が選手に触れられるぐらいの距離で応援してくれる名物ソーラーバーグの坂の光景を動画で見て鳥肌が立って。あんな熱狂的な声援の中で走れたらいいだろうなって思いました。
※2チャレンジロート:ドイツ南部の町ロートで開催されるアイアンマンと同じ距離のレース。欧州最大規模を誇る超人気イベント。

写真提供:謝孝浩

謝 僕はメキシコのコズメルとか、カナリア諸島のランザローテ。バイクコースが相当きつそうだけど。さっき絵美さんが言ってたオーストリアにも行ってみたいし、東欧にも。アイスランドにも行きたいんだけど、何か大会あるのかな?

酒井 アイスランドじゃなくてノルウエーなんですけど、ノースマンっていう、ものすごく冷たい海で泳ぐレースがありますよ。

謝 僕寒いのはちょっとなあ(笑)。でもトライアスリートって、普通に旅行ができないおかしな人種だよね。ただの旅はしたくなくて、なんとかしてトライアスロンとからめたくなる。

写真提供:酒井絵美

酒井 トライアスリートあるあるですよね。でも旅を楽しむならハーフアイアンマン※3ぐらいまでの距離がいいと思います。身体の負担が少ないからちゃんと楽しめるし。ロングに出ちゃうとダメージが大きいので。
※3ハーフアイアンマン:アイアンマンの半分の距離(スイム1.9km、バイク90km、ラン21.1km)のレースで、アイアンマン70.3とも呼ばれる。

――最後に、これから海外トラ旅デビューしたいと思っている人へ、アドバイスをお願いします。

酒井 一人で行くんだったら最初は日本人がたくさん出てるレース、オーストラリアのケアンズとか、台湾、韓国、マレーシア。

謝 今挙げてくれたところは日本語の説明会があるから安心だよね。1回やって慣れちゃえばもう大丈夫になるんだけど。あとは制限時間が長い大会。制限時間って結構ストレスになるから。あとはロタみたいな競技性があまりないのんびりしてるところ。そして、水温が高いところね。

酒井 そうですね。冷たい海は辛いですからね。スウェーデンで冷たい海に入ったまま、スタート前に30分も待たされた時はどうなるかと思いましたから(笑)。

謝 まずはあったかくてきれいな海のレースへ行くべし。そうしたら「トライアスロンは過酷」なんていうイメージは吹き飛んじゃいますよ。

謝孝浩 Profile
ライター、小説家。標高6千メートルから海面下40メートルまでのフィールドを飛び回る。2000年よりトライアスロンを始め「トライアスロン旅烏」としてトライアスロン旅のレポート記事をトライアスロン誌に数多く寄稿。トライアスロンを題材にした小説『ヌーが見た空』がスマートフォン版で発売中。
https://triathlon-lumina.com/lumina/books/PRM027.html

酒井絵美 Profile
大学時代にトライアスロンを始め、2005年にプロに。日本を代表するロングディスタンストライアスリートとして活躍。全日本トライアスロン宮古島大会3度優勝、アイアンマン世界選手権には7度出場を果たす。2017年の宮古島大会を最後に引退し、現在は企業に勤めながらトライアスロンの普及と指導に尽力中。

取材協力:アスロニア
トライアスロンのコンセプトショップ。トライアスロンバイクをはじめ、トライアスロンのためのギアを豊富に取り揃えた専門店であり、バイクトレーニング専用スタジオ、ロッ
カー、シャワーなどを備えた総合的なクラブハウスとして、トライアスリートをサポートする。
http://athlonia.com/

取材・文/東海林美佳 撮影/後藤秀二


■特集「トライアスロンと旅」は全5回の連載企画です。次回は、アスリート・フードマイスターの村山彩さんが、海外レースに出場する際にどんな食事を採るべきかをレクチャーします。

1. 対談:謝孝浩×酒井絵美 トライアスロン旅の楽しさを語ろう
2. インタビュー:村山彩 旅先で何を食べる? トライアスリートの体を作る食事
3. 対談:角田尚子×宮塚英也 ハワイとトライアスロン――その深い関係
4. トライアスロン旅の醍醐味が味わえるレース開催地 ~土地力とトライアスリート独自のアプローチ~
5. 『最高の睡眠』のスタンフォード大学教授 西野精治インタビュー トライアスリートはいかにして時差と付き合うべきか

この記事をシェア

  • Twitter
  • Facebook
  • Line
  • Hatena
  • Pocket

関連記事

『いくつになっても、心地良く生きていなければ意味がない』 日本語ラップ界のレジェンド、「RHYMESTER」宇多丸さんインタビュー Vol.3(前編)

対談:宮塚英也×角田尚子 ハワイ島がトライアスロンの“聖地”と呼ばれる理由【特集:トライアスロンと旅】

  • Special

もっと自然と一体化するなら 「滝ヨガ」が効果抜群!

  • Exercise
  • Relaxation
  • Special

もっと自然と一体化するなら 「滝ヨガ」が効果抜群!

プロが伝授! コミュニケーション力をアップさせるコツとは⁉︎【魚住りえさんインタビュー前編】

  • INTERVIEW
  • Special

プロが伝授! コミュニケーション力をアップさせるコツとは⁉︎【 ...

血圧計測を習慣化しよう。銭湯で血圧を知る・学ぶ〈BP銭湯WEEK〉イベントレポート

  • Event
  • Relaxation
  • Special

血圧計測を習慣化しよう。銭湯で血圧を知る・学ぶ〈BP銭湯WEEK ...



新着記事

小さな不調も吹き飛ばす!話題の「瞑想を上手くする」コツ

  • Relaxation

小さな不調も吹き飛ばす!話題の「瞑想を上手くする」コツ

緊張性頭痛とは?ストレス解消効果のあるマッサージを紹介

  • Relaxation

緊張性頭痛とは?ストレス解消効果のあるマッサージを紹介

イヤージュエルセラピー(新・耳ツボ療法)で更年期障害対策を!

  • Beauty

イヤージュエルセラピー(新・耳ツボ療法)で更年期障害対策を!

~堀 知佐子の「美をつくる食卓」~ 貧血対策! あさりとブロッコリーのアンチョビ炒め

  • Beauty
  • Food
  • 提携メディア

~堀 知佐子の「美をつくる食卓」~ 貧血対策! あさりとブロッコリーのアンチョビ炒め

リフレクソロジーとは?足裏を刺激して不調知らずの体に!

  • Relaxation

リフレクソロジーとは?足裏を刺激して不調知らずの体に!

人気記事

インタビュー:村山彩 旅先で何を食べる? トライアスリートの体を作る食事【特集:トライアスロンと旅】

  • Special

インタビュー:村山彩 旅先で何を食べる? トライアスリートの体を作る食事【特集:トライアスロンと旅】

筋肉の疲労回復におすすめのマッサージ4選:筋肉痛になる前に対処できる!

  • Relaxation

筋肉の疲労回復におすすめのマッサージ4選:筋肉痛になる前に対処できる!

疲労回復やダイエットにも!水泳の驚きの健康効果

  • Exercise

疲労回復やダイエットにも!水泳の驚きの健康効果

疲労回復レシピ!野菜煮込み料理「ラタトゥイユ」の作り方

  • Food

疲労回復レシピ!野菜煮込み料理「ラタトゥイユ」の作り方

ロンドンの男女は自転車ライフで輝いている!

  • Beauty
  • Column
  • Exercise

ロンドンの男女は自転車ライフで輝いている!

PAGE TOP

PAGE TOP