「すっきりと目覚めるためには、睡眠時間を90分単位にすると良い」という説をよく耳にしますが、果たしてこの説、本当に有効なのでしょうか?
そもそもこの説には、「ノンレム睡眠とレム睡眠」のメカニズムが大きく関係しています。
・深い眠り
・身体も脳も休んでいる
・心拍数が減り、血圧も下がる
・居眠りのほとんどはこのノンレム睡眠
・浅い眠り
・身体は休んでいるが、脳は活発に動いている
・心拍数は不規則で、血圧も変動する
・金縛りにあうのはこのレム睡眠のとき
ノンレム睡眠から眠りに入り、次にレム睡眠に移るという、この二つの睡眠のサイクルは約90分とされていて、一晩にこれを3〜5回繰り返すことにより睡眠が成り立っています。レム睡眠に入っている眠りの浅い時間、つまり入眠後、90分の倍数の時間で起きることにより、すっきりと目覚めることができるといわれています。
しかし実際、この90分周期というのはあくまでも平均値であり、80分の人もいれば110分の人もいます。仮にちょうど平均値である90分周期で眠る人であったとしても、そのほかのさまざまな要因によって、その日の睡眠周期は変わってしまうのです。
早朝は低く、夕方に高くなる一日の体温リズムや、生体ホルモン分泌リズムを「概日リズム」と呼びますが、この概日リズムも睡眠周期に影響を与えています。
概日リズムはとくにレム睡眠と関係していて、例えば、いつもより遅い時間に入眠すると、直後にまず出現するはずのノンレム睡眠(深い眠り)ではなく、レム睡眠(浅い眠り)に入ってしまう場合もあるのです。するとこの時点で、90分周期の法則はあっけなく破られてしまいます。
また睡眠周期は、睡眠不足、飲酒などにも大きく影響を受けます。
飲酒後は一時的に深い眠りに落ちますが、数時間後にはアルコールを分解するために発生するアセトアルデヒドという物質により、レム睡眠(眠りが浅く、脳は休んでいない状態)を誘発します。眠りが浅い上に、尿意や喉の渇きで覚醒してしまう場合もあります。
「なにがなんでも90分単位で目覚めなくては!」と意気込んでいた人も多いかもしれませんが、実際には個人差や生活習慣によって違うんですね。良い目覚めには、90分という枠にとらわれないリラックスした状態と、まずは規則正しい生活習慣が大切なようです。
文:リズム編集部
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