「お腹のたるみが気になる」「体組成計に乗ったら体脂肪率が思ったより高かった」
体脂肪が体内に蓄積すると、ただ見た目が太った状態になるだけではありません。特に内臓脂肪が増えると、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病を招くといわれています。
脂肪を長い間身体にとどめておくのは健康的に長生きするためによくありません。そこで、運動で脂肪を燃焼させることを考えたいものです。脂肪燃焼効果の高い筋トレとトレーニング方法をご紹介しますので、ぜひ検討してみてください。
(監修・取材協力)
福島吉野スマイル内科・循環器内科
院長 坂口 海雲(さかぐち みくも)先生
平成21年大阪市立大学医学部卒業。大阪市立大学 臨床研修の後、平成23年に大阪市立大学循環器内科入局。ベルランド総合病院、川崎病院 臨床助教、大阪市立大学病院を経て、平成28年10月に福島吉野スマイル内科・循環器内科(http://sakaguchi-smile-clinic.com/)を開院。日本内科学会認定内科医、日本医師会認定産業医、日本循環器内科学会所属医医学博士
脂肪燃焼したいなら、脂肪燃焼を促すための運動、つまり「有酸素運動」が有効だといわれています。有酸素運動は、酸素を取り込みながら、糖と脂肪をエネルギーとする運動です。一方、無酸素運動は酸素を利用せずに、糖をエネルギーとする運動であり、脂肪は使われません。よって、脂肪燃焼のためには、有酸素運動を行う必要があります。
有酸素運動とは、ウォーキングや軽いジョギング、階段の上り下りや踏み台昇降、水泳などのことです。運動量自体というよりは、20分以上長く続けられるかどうかが、脂肪がより多くエネルギーとして使われるかどうかの基準といわれています。
とはいっても、筋トレは無酸素運動だから脂肪燃焼とはまったく関係がない、というわけではありません。筋トレで筋肉量を増やすことで、基礎代謝が上がるため、脂肪燃焼しやすいボディをつくることはできます。
筋トレで筋肉量を増やしつつ、有酸素運動を続けることが、脂肪燃焼の近道といえるでしょう。
脂肪燃焼効果を高めるには、まず筋トレを行ってから有酸素運動を行うことがポイントです。筋トレを行うと、成長ホルモンの分泌が高まり、リパーゼという脂肪分解酵素の働きが活発になることで、体内に蓄積している中性脂肪が、遊離脂肪酸となって血中に放出されやすくなるといわれています。血中に増えた遊離脂肪酸は、有酸素運動でエネルギーとして使われやすくなり、結果的に脂肪がエネルギーとして燃焼しやすくなります。
つまり、筋トレの後に有酸素運動を行うことで、より脂肪が分解されやすくなり、より多くの脂肪を燃焼させられるということです。
では、有酸素運動や筋トレなどのトレーニングを行う際には、どのような食事をすればいいのでしょうか。脂肪燃焼を促す食事法としては、次のように意識するといいでしょう。
脂肪燃焼効果の高いボディをつくるには、筋肉量を増やし、基礎代謝量を高めることが大切です。筋トレで損傷した筋肉を修復するための栄養素を取り入れるとよりよいでしょう。
筋肉の材料となるタンパク質摂取は、必要不可欠といわれています。しかし、炭水化物や脂質など、エネルギー源となる栄養素もしっかりとバランスよく摂取することも重要です。また、ビタミン・ミネラルも大切です。タンパク質を中心に、バランスよく必要な栄養素を摂取することで、効率的に筋肉が作られます。
ダイエットにはある程度、食事制限をするといいという説があります。そこで、食べた分のカロリーより、動いた分のカロリーのほうが下回る「アンダーカロリー」のほうがいいのではないかと思うこともあるでしょう。しかし、この「アンダーカロリー」を続けると体重は落ちるものの、筋肉量も一緒に減ってしまうため、基礎代謝も落ちてしまいます。結果的に、脂肪が燃焼されにくい、かえって太りやすい身体になってしまうのです。食事量は減らさず、これ以上脂肪がつきにくいように工夫するほうが賢明です。
糖質制限ダイエットを行っている人はご存知かもしれませんが、空腹時に糖質を多く含むものをドカ食いすると、血糖値が急上昇して脂肪をためこむインスリンが大量に分泌されてしまいます。インスリンの過剰分泌を抑えるためには、空腹時間を減らす、白米より血糖値が上がりにくい玄米を選ぶ、野菜などを白米やパンなどの先に食べるなどして、工夫することがポイントです。
このように、脂肪燃焼には筋トレと有酸素運動が欠かせません。食事にも注意して取り組み、ぜひ脂肪燃焼の成果を出しましょう。