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インタビュー:柴田健吾(サニーエモーション) パックラフティングを楽しもう 【特集:パックラフトと川の旅~パドルスポーツの現在】

インタビュー:柴田健吾(サニーエモーション) パックラフティングを楽しもう 【特集:パックラフトと川の旅~パドルスポーツの現在】

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インタビュー:柴田健吾(サニーエモーション) パックラフティングを楽しもう 【特集:パックラフトと川の旅~パドルスポーツの現在】

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近年、アウトドアを愛好するさまざまな分野の人々から熱い眼差しを向けられているパックラフト。軽くて持ち運びしやすいこのシンプルなインフレータブルボート(空気で膨らませるボート)には、どんな可能性が詰まっているのでしょうか。まずは、日本で川下りの基本を押さえたパックラフティングの普及活動を行っているサニーエモーションの柴田健吾さんが「パックラフト概論」をレクチャー。氏が活動の拠点としている長野県安曇野を訪問し、お話を伺いました。

■特集:パックラフトと川の旅~パドルスポーツの現在
1. インタビュー:柴田健吾(サニーエモーション) パックラフティングを楽しもう
2. インタビュー:堀川臣樹(パドルクエスト) カヌー、カヤック、SUP
3. ギアからひも解くパックラフト旅:長谷川晋(Hiker’s Depot)
4.パックラフティングを楽しむフィールド、その広がり
5. パックラフティング体験レポート

――パックラフトを定義すると、空気を入れて膨らませる超軽量のインフレータブルボートということになるでしょうか。

柴田 そうですね。もともとはアラスカで発展した道具です。アラスカはとにかく広大なので、山を登って峠を越えて、川につき当たったらボートで渡る……という移動の仕方が必要となる。そこで軽くてコンパクトで、ザックにしまって持ち運べるボートが求められたんです。アラスカのアドベンチャーレースなどをきっかけに、川を渡るだけでなく、効率的な移動手段として川下りが取り入れられるようになりました。

アルパカラフト社のパックラフトの中で、最も汎用性が高いモデル「スタンダードシリーズ(クルーザーデッキ仕様)」。「各用途別にモデル・仕様が複数ありますが、デザインが変わらず完成されたオーソドックスなモデルです」(柴田)

――そのパックラフトとの出会いを教えてください。

柴田 僕はラフティングやキャニオニングといったリバー・スポーツのガイドを長くやっていたんですが、2007年にアラスカに行った時、近代的なパックラフトの実質的なオリジネーターであるメーカー「アルパカラフト」を発見しました。最初は雑誌で見かけて興味を持ったんですけど、アラスカのガードウッドで、アルパカラフトで川を下ってくる人に偶然出会ったんです。その人に声をかけて紹介してもらったのが、アルパカラフトのオーナーであるシェリーさんという女性でした。アルパカラフトがまだ、アンカレッジのガレージひとつで運営していた時代です。彼女に会いに行って話を聞き、後日一緒に川下りさせてもらい、パックラフトを購入して日本に帰りました。このボートに冒険としての可能性と仕事としての可能性を感じ「これはすごい!」と思ったんです。

アルパカラフトの製品はさまざまなカスタマイズが可能。このように止水ジッパーを施し、内部にアクセスして荷物を入れられるようにすることもできる。

――どういうところが魅力的に映ったんでしょうか。

柴田 よく言われるんですが、水流の激しいところでスポーツ的に楽しむのであればホワイトウォーター・カヤック※1 が適しているし、流れの穏やかなところだったらフォールディング・カヤック※2の方が進むでしょう。アルパカラフトはどのフィールドでも一番にはなれませんが、ゆるく広くカバーできる。だからこそのフィールドの広さがおもしろいんです。

それから最初の敷居が低いところも魅力として挙げられるでしょう。カヤックは技術的にも敷居が高いし、ダッキー(空気注入式のカヌー)は初めての流水ではグルグル回ってしまいやすくてコントロールするのが難しい。アルパカラフトは操舵がしやすいし、最低限の技術を学ぶのがどのボートよりも楽だと思います。保管にもスペースをとらないし、簡単にリペアできる。川で壊れてもパッチを貼ってその場で直せます。

左:ホワイトウォーター・カヤック、右:フォールディング・カヤック(画像提供:パドルクエスト)
※1 急流下りのためのカヤック
※2 収納・持ち運びしやすい折りたたみ式のカヤック

――柴田さんはその後、パックラフトで川下りガイドを行う「サニーエモーション」を始め、アルパカラフトの国内販売も手掛けられます。

柴田 以前からリバー・ガイド業に携わっていたんですが、皆で川下りができるラフティング※3 ももちろん楽しさがありますが、1人乗りで操船する楽しさを味わって欲しいと思っていました。ただ、どのボートもいきなり流水に行くには操作が難しかった。アルパカラフトは最初の上達が早そうで、人を連れて行くことができるボートとして、ツアー業の可能性を感じました。
それから軽くてコンパクトにしまえるので、住宅事情の厳しい日本でも所有しやすい。ツアーと販売をセットで行えば価値のあるサービスが提供できると考えました。

※3 8人乗りなどのボートで川を下るリバー・スポーツ

慣れれば2分程度で簡単に膨らませることができる。

――ハイカーが旅の道具としてパックラフトを発見することも多いような印象を受けます。

柴田 先ほどもお話したように、パドリングスポーツにはジャンルがあって、各フィールドに特化した舟があり、パックラフトはどのフィールドでも一番にはなれませんが、「水の上以外」ではパックラフトに勝るものはありません(笑)。とにかく軽量でコンパクトにパッキングできて持ち運びしやすいことが大きなメリットなんです。だから「水上」と「水の上以外」を組み合わせた旅という視点で見れば一番ですね。

――パックラフトは移動に特化したボートなんですね。

柴田 アルパカラフトのコアなコンセプトは「歩いてしか行けない未開の原野への旅を可能にすること」ですが、日本にはそういう旅をするフィールドはほぼありません。狭く急峻な島国で人口も多く、発電などの目的で山奥まで開発されていますから。

ただ、そういう日本の環境――林道がどこまでも開発されていて、公共機関が発達していることや、過密な都会の住宅事情に、アルパカラフトの「軽量コンパクトでどこでも背負って行ける」仕様が見事にマッチしたとは言えます。電車で川まで移動してリバー・ツーリングするような日本での川の楽しみ方に、パックラフティングはある意味でとても向いているんです。

――川遊びの入り口としてもぴったりのように感じます。

柴田 川下りを専門にしていない人でも扱いやすいし、運動神経の良い人ならすぐに乗りこなしてしまえると思います。ただ、それだけに危機管理がいい加減になりがちなところが問題かもしれません。

川が怖いのは、怖さを認識するのが難しいところなんです。水流の力は、普通に川を下っている時はわからない。木に引っかかったり足がハマったりしないと実感できないんです。パックラフトはいきなり乗れてしまうので、自分の技術を過信しやすいところがあります。だから、安全対策もおざなりなまま、どんどん行ってしまう。

――パックラフティングも危機管理は欠かせない。

柴田 僕らサニーエモーションの運営しているツアーでは、まず必要なテクニックを練習で学んでもらって、それから川下りの楽しさを味わってもらうようにしています。パックラフトは技術を極めるボートではありませんが、どんな舟であろうと最低限のテクニックは必要なんです。それを知らない人が多いんですよね。

川下りを「川旅」と捉える人であっても、流水上での基本のテクニックは学んでおくべきだと思います。基本的なことを押さえておけばフィールドの選択肢は広がり、長い区間を下れるようになります。経験を積んで自分の操船に自信があれば、旅先の知らない土地で川を下ることも可能です。

――柴田さんは長野県の安曇野を拠点にされています。

柴田 ここがパックラフトを使って初めて川下りをしてもらうには最適な土地だからですね。高い山があるから大きな川があり、そして扇状地に川が流れている。扇状地でコンスタントに斜度があるのでゆるすぎて漕がなければ進まないということが一切ない変わりに、ボートを操作しないとあらぬ方向に行ってしまいます。そういう意味で基本を学ぶのに適した場所なんです。パックラフトが生まれたアラスカに似た雰囲気もあります。
冬は長野県白馬村でバックカントリー・スキーガイドをしています。もともと、夏は関西四国などでラフティングガイドをしていたのですが、アルパカラフトに出会って通年で長野県にてガイド業とアルパカラフトの販売に携わるようになりました。

――柴田さんにとって、川下りの魅力はどんなところにありますか?

柴田 川下りは周りの景色がどんどん変わりますし、川沿いには自然が色濃く残っています。激しい川、ゆるい川、広い川、狭い川など色々ありますが、流れる水、重力に身をゆだね、その土地、地形との一体感を感じることが醍醐味です。どこにいても川を下った後はホームに感じます。

柴田健吾 Profile
サニーエモーション代表。1977年、岐阜県生まれ。2001年よりリバー・ガイドに従事し、2006年より冬季は長野県白馬村にてバックカントリースキー・ガイドも開始。2007年にアラスカにてパックラフトに出会い、そのコンセプトに共感。2009年長野県安曇野にてパックラフトを使用したダウンリバーガイド「サニーエモーション」を始める。2010年よりパックラフトのメーカー「アルパカラフト(AlpackaRaft)」の日本輸入代理店も担う。
http://sunnyemotion.com/

取材・文/Rhythm Ultra編集部 撮影/後藤秀二


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