こんにちは、「滝ガール」の坂崎絢子です。
暑さが本格的になってきましたね。滝に行きたい!水しぶきを浴びたい!というリズム読者の方も多いのではないかと思います。
滝ガールの夏のオススメは、いわゆる「裏見の滝」です。みなさん、滝を裏から眺めたことはありますでしょうか?
地層の成り立ちの関係で、滝の下側の岩盤だけが長い年月で削られて、滝の裏側に大きな空間が生まれることがあります。そうすると裏側に入れるスペースができることがあるんですね。日本全国、数は多くはありませんが、いくつか「裏見の滝」の名所が存在しています。
裏から見るからこその、滝鑑賞のポイントがあります。オススメの滝とセットにご紹介していきましょう。いずれも誰でも簡単にアクセス可能な滝です。
まず、熊本県の鍋ヶ滝は、そのフォトジェニックな姿でとにかく大人気。日本で最も有名な「裏見の滝」かもしれません。
写真のプロじゃなくても、こんな感じでドラマチックに撮れてしまいます!
落差10m、幅が20mの滝の裏側がこんな感じ。とても広い空間になっています。
裏に入って眺めてみると、向こう側に山の景色や青空がレースのように透けて見えるのです。「水のカーテン」と表現したくなるのがわかりますでしょうか!
と言っても、こちらの写真はシャッタースピードを遅くしているからサーっと糸のように映っているわけでして、本当に目に映っているのは「水滴の連続」です。そう、滝ってそもそも水滴の集まりなんですよね。特に裏側から見た時に、そのことがはっきりとわかるようになります。
例えば、こちら。
この「緑の中に落ちる滝」っていう構図、ちょっと不思議な感じじゃないですか? 背景がいつものように岩盤じゃないだけで、水の表情が細かくくっきりと見えるようになります。
ちなみにこの場所は、長野県大町市の八坂大滝。表から見るとこんな滝ですよ。
50mの断崖から落ちる端正な滝です!
そしてこちらは、岡山県の岩井滝。子宝に恵まれる湧き水でも有名な場所です。
ここはお昼頃に来ると、滝の正面からお日様が当たって虹が出るのですが……
裏側からは、逆光状態で虹の滝を眺めることになるんですね。そうすると、流れ落ちる細かい水滴一粒一粒、プリズムになって落ちてくる様子がわかります。絶え間なくキラキラ光り続ける水のカーテン……ちょっとこれも感動モノですよ!
さて、裏から滝を見るということは、当然ながら滝に最接近することになります。特に勢いの激しい滝の場合は、水しぶきをダイレクトにバシバシ浴びることができます。一気に涼しくなりたい夏にはうってつけです。
大分県日田市の慈恩の滝は、男らしく豪快に落ちる2段の滝なのですが、ここも裏側がえぐれており、そこをグルリと遊歩道で一周できます。
裏側を一回通るだけで、激しい水しぶきでビショビショ!
同じく激しい系の裏見の滝では、こちらもいかがでしょうか。長野県高山村の雷滝です。
水量しっかり!ぐるっと滝の裏側を通って反対側まで歩いていけます。
ドドドド、とお腹に響くような重低音の滝音は、「雷」という名前がつけられているのも、まさにその通り。
私はご夫婦に「シャッターおしてもらえますか」の声をかけられたんですが、あまりの滝の爆音で聞こえませんでした。馬蹄形に滝を岩が囲んで、ちょうど岩盤のえぐれた部分から鑑賞することになるので、反響効果があるみたいなんです。
水しぶきだけでなく、音を間近に感じることでも涼しくなれること間違いなしですよ!
そして最後に、滝にまつわる文化を調べている滝ガール的に注目しているポイントがこちらです。
裏見の滝は、信仰のスポットになっていることが多く、裏側の洞窟のなかに古い祈りの石像があったりします。滝文化を間近で感じられるという点も個人的には興味深いところなのです。
例えば、日本の滝百選にも選ばれている、島根県雲南市の龍頭が滝。
裏側から見るとこんな感じです。
振り返ると、観音様が見守ってくださっています。
裏側にまわってしまうと案外、風がないので、水しぶきはそんなにかかってきません。観音さまがいらっしゃる安心感もあるのか、裏見の滝ならではの、不思議な滝との一体感を味わうことができます。
茨城県大子町にある月待の滝も、歴史と関係のある裏見の滝。古くから、安産や子宝祈願の場となっていたそうで、今もパワースポットとして人気です。
古来、滝は人々から大切に崇められてきた存在。洞窟の中で昔の人に想いを馳せながら、悠久の時を感じるというのもなかなかよいものですよ!
いくつかご紹介してきましたが、何といっても体験していただきたいのは「涼しさ」! 写真からはなかなか伝わらないと思います。滝の裏で天然クーラーの威力をぜひ感じてみてくださいね。
文・写真:坂崎絢子
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