更新日:
食事のあとで、胸焼け、吐き気、ゲップなどの症状が出ることがあります。ついつい暴飲暴食してしまい、後悔した経験のある方も多いのではないでしょうか。
これらの症状が一次的なものであれば、それほど心配することはありません。しかし、慢性的に症状が出る場合は病気の可能性を疑った方が良いでしょう。今回は、吐き気やゲップを伴う胸焼けの原因と対処法を3つご紹介します。
吐き気やゲップを伴う胸焼けは、「逆流性食道炎」の可能性が高いでしょう。逆流性食道炎とは、胃酸が逆流して食道の粘膜を傷つけた状態です。胃は胃酸から粘膜を守る粘液を分泌していますが、食道にはこのような機能がありません。
そのため、以下のような原因で胃の内容物が逆流すると、食道の粘膜が傷ついてしまうのです。
食べ過ぎると胃酸の分泌量が増え、胃酸の量が増えると逆流しやすくなります。刺激の多い食べ物や飲み物は、胃酸の分泌量を増やす原因です。また、ストレスによる自律神経の乱れによって、胃酸が過剰分泌されることもあるでしょう。
歳を重ねると、食道と胃の境目にある下部食道括約筋という筋肉が衰え始めます。下部食道括約筋は、胃の内容物が逆流してしまうのを防ぐ働きがありますが、筋肉の衰えによって、食生活が変わらなくても加齢と共に胃の内容物が逆流しやすくなるのです。
加齢によって、逆流した胃の内容物を押し戻す食道のぜん動運動が低下し、食道内の胃酸を薄める唾液の分泌量が少なくなるでしょう。
一番手軽な対処法として、食生活の改善が挙げられます。今日からできる簡単なものばかりなので、ぜひ試してみましょう。
まずは、ゆっくりと食べること、満腹になる前に食べるのを止めることが重要です。また、胃の入り口が下を向くと胃酸が逆流しやすいので、食事後1〜2時間は寝転ばない方が良いでしょう。寝転ぶ場合は、肩の下に座布団や薄いクッションを敷いてください。
さらに、腹圧が上がると胃酸が逆流しやすいので、ベルト、コルセット、ブラジャーを緩めるのも効果的でしょう。
消化に時間のかかる食べ物は、胃の中で滞留時間が長くなるので逆流しやすいです。そのため、肉や揚げ物など脂肪の多い食品は、できるだけ避けましょう。
また、胃酸の分泌量を増やす食べ物や飲み物も避ける必要があります。香辛料やタバコ、コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料、アルコール飲料は控えてください。
病院で逆流性食道炎と診断されたら、投薬による治療が行われます。主に、胃酸の分泌を抑える薬、胃酸を中和する薬などが処方されるでしょう。
投薬によって、逆流性食道炎の症状をかなり緩和することができます。しかし、逆流性食道炎は再発率が非常に高いので、薬を一生飲み続ける人も少なくありません。投薬でも効果が出ない場合は、胃の逆流防止の仕組みを修復する噴門形成術という手術を行うことになります。
腹腔鏡下でできる手術なので、入院期間も短く体にもほとんど傷が残りません。手術は投薬と比べて一時的な出費が多いものの、長期的にみると低コストで済むという見方もあります。
食生活に気をつけることが、胸焼けの予防に効果的です。ただの胸焼けだと思って放置していた結果、逆流性食道炎になってしまったという方も少なくありません。逆流性食道炎の症状に当てはまるという方は、早めに病院を受診することをおすすめします。