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全5回に渡ってお届けしてきた特集企画「スキー再発見」。最後となる第5回は、スキーのためのセルフケアを解説します。スキーで疲れた体を自分の力でリカバリーするためには、スキーの楽しみ方やギアの情報がたくさんあるほど得をするのと一緒で、情報を知っている人と知らない人で大きな差が出ます。今回は、とっておきのリカバリー術をご紹介しようと思います。
一般的に、アスリートではない限りウォーミング・アップとクーリング・ダウンに関してはどうしても雑になりがちです。しかし20代を越えてくると、やるとやらないでは体の調子が明確に違うようになり、40代以上になるとはっきり実感できるようになり、絶対に必要だと身体が教えてくれます。
最初に「ウォーミング・アップ」について少々ご紹介します。
最近ではご存知の方も増えてきましたが、30秒以上しっかり伸ばすストレッチは運動パフォーマンスを低下させるリスクがあると報告されています。そもそも「ウォーミング・アップ」というのは筋肉の温度を高くして動きやすい状況を作ることですので、冬の屋外でじっくりストレッチするよりは、スキーを脱いでストックで体を支えながらスキー靴で大股歩きを2分くらいしてる方がよほど筋肉が温まり、股関節の可動域も獲得できますので、スキー向きのウォーミング・アップです。お試しください。
※ここで私がレッスン前に皆さんにやっていただいている効果的な準備運動をご紹介します。
まず、ビフォーアフターを感じる為に脚を持ち上げてみて重さや股関節の動かし心地をチェックしておきましょう。
動画:スキー用雪上ウォーミング・アップ
まずは前後に脚を開いて後ろの脚の付け根を伸ばします。
その姿勢から前の脚の膝を内側と外側に倒すのを5往復程度繰り返します。
そして膝を外に倒したまま身体を前に倒してお尻の筋肉を伸ばします。
続いてお尻を後ろに引いてハムストリングスのストレッチを行います。これを反対側の脚も行なった後、立ち上がって膝で大きな円を空中にゆっくり描きます。3回まわしたら反対回転。
これをやったあとに脚の重さを再び比べると全然違う!と感じることができるはずです。準備運動が儀式のような感じになってしまっている人って結構多いのですが、適切に行うとはっきり違いを感じられるので、ぜひ一度お試しください。
動画:スキーヤーのアフターケア
スキーを満喫した後に使った筋肉を上手くケアできると疲労が残りにくく、また次の遊びに向かってアクティブに挑戦していくことができますね。
できればすぐにでも準備してもらいたいものがあります。それは「テニスボール」です。1個150円程度でホームセンターなどでも売っていますので、手軽に入手できて身体を楽にすることができるアイテムとしてとてもオススメです。
テニスボールを床に置いて、お尻に敷いてみましょう。身体の角度を変えながら当てる場所を変化させていくと張っていて少し痛いくらいの場所が見つかると思います。見つかったらその場所で力を入れずにゆっくりとテニスボールで指圧するようなイメージで体重を乗せていきます。
10秒程度経ったら少し場所を変えて数か所同じように行いましょう。
続いて、初めの場所あたりに戻ったら今度は脚を内側、外側とねじってみます。5回程度行ったらまた少し場所を変えます。これを片脚だけやった後に、一度立ってみて左右の感覚の違いを比べると、きっと変化に驚くと思います。
反対の脚も同じようにケアをした後に、お尻のストレッチを行ないましょう。
片脚を後ろに伸ばし、反対の脚をあぐらのように曲げます。この姿勢からゆっくりと身体を前に傾けていくとお尻の筋肉を伸ばすことができます。注意するポイントは、骨盤の向きが正面に向くようにすることです。これによって、しっかりとお尻の筋肉を伸ばすことができます。
椅子に座った状態で太ももの裏にテニスボールを置きます。太ももを手で少し押し付けた状態で膝を曲げ伸ばし、5回程度行ったら場所を少し変えていきましょう。膝の裏あたりまでテニスボールを当てたい場合は、椅子に対して横向きに座るとやりやすいです。
そして太ももの裏のストレッチを行います。椅子に浅く腰掛けて、片脚を伸ばしてから少しだけ膝を緩め、背すじを伸ばしたまま身体を前に傾けていきましょう。太ももの裏側が伸びて気持ちが良いところで30秒ほどキープします。
ここでもオススメのアイテムがありますが、テニスボールほど手軽に用意するのが難しいので、ない場合は読み飛ばしてください。
とは書いたものの費用対効果抜群のアイテムなので、アクティブな生活をする人には必需品だと私は思っているのが「ストレッチポール」です。グリッドというアイテムと2つ持っていると最強ですが、今回はストレッチポールで使い方を紹介します。
うつ伏せになって、片脚の太ももの下にストレッチポールを置きます。反対の脚と両肘で、ポールに当たっている場所を少しずつ変えながら筋肉をほぐすようにして、コロコロ移動します。この時注意することは、腰を反らないようにすることです。
ある程度、太ももの当たる角度も変えながら、まんべんなくコロコロしたら動きを止めて膝を曲げ伸ばししましょう。5回程度曲げ伸ばしを行なった後に、少し場所を変えるのを繰り返して太もも全体をほぐします。
張りが強い人は結構痛いので、様子を見ながらゆっくり膝の曲げ伸ばしを行ってください。
そして太ももの表側のストレッチです。
両足を伸ばした状態で床に座り、片脚を折り曲げかかとをお尻に近づけます。この際にお尻が少し浮いている状態で構いません。曲げた脚と逆側の腕の肘を床につけて太ももの表が伸びる感覚を探してください。お腹を凹ますようにして腰を少し丸めると一層太ももが伸びます。
続いて太ももの外側です。長く歩いたり登ったりするとこの辺りが張ってくる人が多いです。
ストレッチポールに太ももの外側を当てて横向きになり、反対の脚を立ててバランスをとりながら太ももの外側をコロコロします。まんべんなくコロコロできたらゆっくり膝の曲げ伸ばしを5回程度行ってみましょう。
その後、太ももの外側のストレッチを行います。仰向けに寝て両膝を立てたら足首を膝の外側に引っ掛けたまま内側に膝を倒してみましょう。太ももの外側が伸びていれば正解です。
腰の張りを軽くするために、あまり知られていない方法として「マーメイド・ストレッチ」というものがあります。横腹をしっかり伸ばすことで腰の張りが軽くなり、腰痛予防につながります。
横向きに寝転がった状態から上側の膝を前方の床につけます。この時、膝関節と股関節を90度程度曲げておきます。この姿勢から上体を横腹が伸びるところまで持ち上げ30秒ほどキープしましょう。
腰の張りが強い人はまず短い時間で伸ばしてから反対側を行い、2セット目以降から、しっかりと伸ばす方が負担が小さくなります。
ここまでできれば、かなり身体が楽になっているのではないでしょうか。
細かいことを言い出すときりがないので重要なポイントに絞ってご紹介しました。
みなさんのスキーライフがより良いものになることを心から願っています。
森脇俊文 Profile
人間の基本機能の改善をサポートする不調改善トレーナー。北海道スノースポーツミーティング実行委員会委員長、ばんけいスキー場研修チーフも務める。
http://blog.livedoor.jp/quality_of_life/
■特集「スキー再発見」
1. 対談:堀田貴之 x 土屋智哉 スキーで旅する、自由な喜び
2. UL Ski Hiker=野上建吾さんのバックパックの中を見に行く
3. 対談:松尾憲二郎 x 芳沢淳 山で楽しむスキー、最新事情
4. 土屋智哉さん、バックカントリーで何を食べますか?
5. スキーを楽しむためのセルフケア とっておきのウォーミング・アップ&リカバリー術
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