フィットネスダンスインストラクターから運動指導をスタートし、11年前にヨガインストラクターに転身後昨年、東京・桜新町にスタジオ『Beets』をオープンさせた山本華子さん。
音楽に合わせ、華やかに、舞うような感覚で心地よく動く『ミュージックフローヨガ』を考案し、今はインストラクターの養成も手がけている彼女は、パーソナルでのヨガ指導を行っている。
ヨガといえば、グループレッスンか自主練が主流の中、パーソナルヨガではどんなことをしているのか?どんな人におすすめなのか?ヨガインストラクター山本華子に話を伺いました。
【こんな人におすすめ】
★達成したい夢がある人
★自分のポーズが合っているのか気になっている人
★自分の能力を出し切ってみたい人
パーソナル指導を始めた理由を尋ねると、少し間を置いて返ってきた言葉は、なんとも“彼女らしい”前向きなものだった。
「夢を達成するお手伝いをしたい」
もともと、フィットネスダンスインストラクターから運動指導をスタートしている山本華子さん。
彼女のレッスンには数回、足を運んだことがあったけれど「パーソナルでヨガを教えている」と知ったとき、正直、意外な感じもあった。
ステージの上に立ち、何百人もの生徒たちを華やかなポーズで魅了していく彼女。呼吸のリズムをとってくれる心地よい音楽とヨガのポーズで、大勢の気持ちを晴れやかにしてくれる。
自分の身体と向き合うヨガがあるならば、彼女のレッスンは「まずは心地よく動いてみようよ!」と語りかけてくるヨガだと思っていた。
でも、「夢を達成するお手伝いをしたい」との言葉を聞いて、それはいい!と腑に落ちた。
ヨガには様々なスタイルがあり、日本でも多種多様な流派のヨガを体験できる。
ただ、グループでのレッスンには独特の雰囲気があって、自分にマッチするクラスを探すことが、ちょっと大変。
できればヨガもパーソナルで受けたい派の私としては、つい「パーソナル、いいね!」と思いがちなのだが、山本さんいわく、
「グループには、グループの良さがありますよ。一体感を味わうことで、仲間からエネルギーをもらえたり。刺激を与え合えるのは、グループだからできるものでしょう」
とぴしゃり。
でも……、ポーズの効果はどうなの? といった意地の悪い質問にも、笑顔が返ってきた。
「そもそも、なんとなくの不調を感じている人は、血が巡っていないことが多いと思うんです。音楽にのせて、ノリノリで動いてみると、それらの不調の多くは改善すると感じています。
ポーズを極める以前に、心地よい感覚を引き出すこと。それが、ポーズにもつながっていく。だから、グループにはグループの良さがあって、決してポーズを極められないわけではないんです」
華子さん自身も生活の中で、瞑想する日もあれば、音楽にのって身体を動かす日もあるという。
「気分が上がり過ぎても、下がり過ぎても良くないんです。大切にしているのは、いつも中庸でいること。
そのために、ノリノリで動く日もあれば、瞑想をして無になることもあります。
だるいと感じたり、集中力を出せない日は、意外とノリノリの音楽とともにポーズを繰り返すと、スイッチが入ることがあるんです」
常に中庸であることを心がけているからなのか、華子さんは相手の表情や纏っている空気感、呼吸やポーズを繰り返す動きなど、様々なものから相手の「今の状態」を感じ取っていくのがうまいと思う。
私が「不安」を感じているとき、不用意に「大丈夫」とは言わないし、「今、できることをやりましょうか?」とさりげなく提案してくれる。
私が「落胆」しているときは、「それでいいんですよ」と受け入れてもらえるから、ほっとできるし、ダメな自分も見せられる。
「身体を鍛えるだけではなく、夢を達成するための身体とメンタルをサポートするのが、パーソナル指導での役割と思っています。
そのために心がけているのが“中庸であること”です。
良い時期に浮かれ過ぎず、悪い時期に落ち込み過ぎない。
大きなビジョンを持って前に進む人たちは、身体だけでなくマインドも大切。
気分に身体が振り回されないように、その日、その時で必要なポーズを伝えていきます」
簡単にいうと、浮かれ過ぎているときは、地に足をつけるようなポーズを、気分が上がり過ぎているときは鎮静させるポーズや語りかけを、ということ。
私はついつい考え過ぎる部分があるからか、「無理と考える前に身体を動かしなさい」と言われているような感じで、次々とポーズを繰り返しているうちに、ポーズに夢中になっていった。
たぶん、これを「無の状態」というんだろう(きっと、たぶんね)。
こうやって、ポーズの意味とリンクさせながら、自分に合ったヨガのポーズを繰り返すと、身体はもちろんポカポカしてくるのだが、精神的にも、おなかの底からじわっと湧き出るようなエネルギーがあふれてくるから不思議。
大丈夫とはひと言も言われていないけれど「大丈夫だ、私」と、腹が据わっている感覚だ。
「お客さまから夢の話を聞けることは、私にとっても素敵な時間です。だからこそ、本当に良い時間にしたいと、私自身も持てるパワーのすべてを出し切っています」
自分自身も「少し強くなってきた」という華子さん。
いつも笑顔、パワフル、元気な彼女は陰陽でいえば「陽」の気を纏っている人。
そして、彼女との会話はいつも「陰陽のバランス」で進んでいくのも特徴的。恋愛、夫婦関係、人間関係、仕事……。いつも偏らないように、偏ったら戻れるように、そんな会話が弾む相手も珍しい。
「パーソナルでも陰陽の話をすることもあるかな。話には出なくても、やっぱり“中庸”に向かって、2割ぐらい引っ張っていくことを目指しています。身体も、心も、もっといえばスピリットも」
単純に、正しいポーズをとるためにとか、グループに馴染めないといった理由でパーソナルがいい!と思っていた私に、想像する以上の“変化”をもたらしてくれそうな、華子流のパーソナルヨガ。
何かにチャレンジしている人は、一度、体験してみると、腹の底から「大丈夫だ、私」と前を向くきっかけになるはずだ。
取材・文:坂本真理
写真:山本華子
取材協力:桜新町スタジオ『Beets』
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