花粉に関してはわりと早熟で、はじめて花粉症を発症したのは11歳くらいでした。年々症状は重くなるばかり。よく比喩的な表現で目玉を取り出して洗いたいといわれますが、本当にそんな感じで目がかゆい上、三十秒おきにくしゃみを繰り返し、鼻水が常に流れて鼻の下が赤くかぶれ、顔が滅んでいくのを感じながらも、どうすることもできませんでした。
目をこするのでこの時期はアイメイクもできず、顔のコンディションが悪いだけでなく、花粉が脳に入り込んだかのように頭の芯がもやっとして、集中力も低下。私だけの問題ではなく、花粉症の時期は日本全体の生産性が下がるという説もあります。4%低下ともいわれていますが実際はそれより高いのではないでしょうか。
そんな花粉症をなんとかしたいと思っていた二十代の頃、知人がいい病院があると教えてくれました。そこではステロイド系ではない注射で症状を抑えてくれるとのこと。副作用もほとんどないそうで理想的でしたが、難点があり、場所が東大和市の駅から遠い、雑木林とかけもの道を通った不便な場所にあるという点。おじいさんの先生がひとりでやっている病院で、わざわざ二時間かけて来る患者を看護師さんも不思議がりながらも、慣れた手つきで注射してくれました。
プラシーボもあるかもしれませんが、打つと一ヶ月は症状が出なくなるので助かりました。十年以上通いましたが、おじいさん先生なので、あるとき病院を閉じるという寂しいお知らせが。花粉症難民になりかけましたが、検索して同じ成分(ガンマブログリン)の注射を打ってくれる病院を探し出しました。
しかし、目黒の病院で打った注射はやたら痛くて、その時東大和市の熟練看護師の腕が良かったことを痛感。次に探した代官山の病院の注射もかなりの痛さで、ついに花粉症の治療に対し匙を投げてしまったのが三年前。
一応他にも治療法を模索し、調べたり周りに聞いたところ、ボツリヌス菌を注射した人、鼻の粘膜を焼いた人など、個人差があり症状が戻ってしまう場合もあるそうでした。話題の舌下免疫治療は長期間通わないとならないそうで時間的に難しいです。
そんな中、友人にすすめられたのは、ビーポーレンというミツバチが集めた花粉を摂取する方法。サプリ的に気軽に飲めるのが良いです。ネットで注文し、花粉症の季節の数ヵ月前から飲んでいたら、目には目を、歯には歯を、花粉には花粉を、という策が効いたのか、症状が軽く済みました。
花粉を取り入れることで抗体ができたのかもしれません。これも体質的に合う合わないがあり、ハチミツアレルギーの人は避けた方が良いと思いますが……。
抗体的には、花粉の発生源である杉林から黄色い花粉がブワーッと出る映像をニュースなどで観ますが、実際、現産地で花粉症の人は少ないと聞きました。むしろあの黄色い粉を吸いに行った方が抗体ができる気がします。
ところで、たまに年に一度くらいですが花粉症が爆発することがあります。なんとなく気づいたのが、いわくつきの場所とか邪気の多そうな場所でアレルギーが激しくなるようです。花粉と大気汚染物質が結び付くことで症状が重くなるように、邪気や負のエネルギーでも症状が激化してしまうのかもしれません。花粉症の時期は心身を清らかに保つことをこころがけたいです。
いろいろ試してみましたが、結局効果があったのは、ヨガの瞑想をやっている友人の「花粉症はイリュージョン」という言葉です。
花粉症は幻想だと自分に言い聞かせることで、身体も反応しなくなるようです。ニュースの「今日の花粉情報」などは無視することをおすすめします。ただ花粉症は悪いことだけでなくて、くしゃみを常時しているので腹筋が鍛えられて痩せるという作用が。花粉症が軽くなった反面、太ってきた気がしてなりません……。
文:リズムアンバサダー 辛酸なめ子