こんにちは。精神科医の松井健太郎です。
仕事もあるけど、プライベートの時間も楽しみたい!新しいことも勉強してステップアップしたい!だったら、睡眠時間を削れば、もっといろいろなことができるんじゃないか?……みなさん、一度はそう考えたことがありませんか?
実際、睡眠時間が短くても平気な「ショートスリーパー」と呼ばれる人が存在するのも事実。
ショートスリーパーとは、どのような人たちなのでしょうか?そして、これからショートスリーパーになることはできるのでしょうか?
ショートスリーパーとは、1日あたりの睡眠時間が短くても、寝不足でパファーマンスが低下することがなく、健康上問題がない人を指します。しかし連日睡眠時間が短くても、日中元気に過ごせる人でなければ、ショートスリーパーとは呼べません。
歴史上の人物でよく挙げられるのが、発明王トーマス・エジソンです。エジソンの睡眠時間は1日に4時間ほどで、日中のほとんどの時間を仕事にあてていました。エジソン曰く、「自分は毎日、18時間働くことにしている」のだそうです。すごいですね。
「私は一日たりとも、労働をしたことがない。何をやっても楽しくてたまらないからだ」という言葉も残しています。
ショートスリーパーは「活力にあふれる。働き者が多い」と報告されています。
ちなみに僕は医学生時代、まさに冒頭に書いたように「睡眠時間って不要かも」と思い、一時期、3~5時間睡眠で過ごしていました。
その結果、図書館で寝落ちして午後の実習に出られなかったり、友達みんなでキャンプに行ったときも、急に寝てしまってひんしゅくを買ったり、それはもう散々でした。少なくとも1年間続けましたが、慣れるということはなく、状況は何も変わりませんでした。
そのときは学生で、何も責任がなかったからできたんだなあと思います(今はなるべく毎日6~7時間は寝るようにしています)。
2009年、米カリフォルニア大学の研究により、ショートスリーパーの人は、「DEC2」と呼ばれる遺伝子が突然変異を起こしていることが明らかとなっています。生まれた時からショートスリーパーの素質がある、ということです。
そのような素質のない、ごく普通の私達がショートスリーパーになれるかどうか。これについては基本的に不可能と思ってください。睡眠を削れば削るほど、日中のパフォーマンスは低下します。
もちろん「納期が迫っている」とか、「人の命がかかっている」とか、一時的に短時間睡眠の毎日を続けても平気なケースはあるでしょう。でも、それは強い意志が伴っているからです(意地でも締め切りに間に合わせる!とか)。あるいはゴールが見えているから。長くは続けられないと覚えておきましょう。
・短時間睡眠でも眠くならないショートスリーパーの人は確かに存在する
・ただし努力してなれるものではない。無理はしないこと!
もちろん、睡眠時間を削ってでも何か新しいことをしたいという気持ち、すごーくよく分かります!最近はインターネットで調べれば「ショートスリーパーになる方法」が出てきますし、「ショートスリーパーになるためのセミナー」なんてのもあるみたいですね。まあ試してみて、僕みたいに挫折するのもよい経験かと思います!
一度挫折するとよく分かるさ。「睡眠時間を削るよりも、起きている時間をいかに有効に使うか、のほうが大事」ってことにね。
洋画のセリフみたいに締めてみました。今回はこれにて。
文:リズムアンバサダー 松井健太郎
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