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「うつ病ではなく単に起きれないだけ!やる気があるのに起きれない睡眠障害とは (前編)」

「うつ病ではなく単に起きれないだけ!やる気があるのに起きれない睡眠障害とは (前編)」

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「うつ病ではなく単に起きれないだけ!やる気があるのに起きれない睡眠障害とは (前編)」

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こんにちは。精神科医の松井健太郎です。今回は「新生活」というテーマで書こうと思うのですが、4月は生活がガラッと変わる時期ですよね。特に新卒の社会人の方がそうですね。学生最後の春休みは、のんびり朝寝坊して過ごしていたかもしれませんが、社会人として世の中に出ますと、多くの企業では定時出社をしなくてはいけません。

思えば僕が勤務している病院も、おととしの4月に出社時間が30分早まることが決まりました。たった30分なのにすごくつらかったなあなんて思いだします。のんびり朝寝坊の学生さんなんて猶更でしょうね。いっつも10時ころまでゴロゴロしていた学生さんが、急に6時半に起きて、出勤しなくてはならなくなったりするわけです。つらい・・・

転勤で自宅から職場が遠くなってしまう、なんて方もいるかもしれませんね。4月に限らず、人生の節目節目において、急に朝型生活にシフトすることがしばしば余儀なくされるわけですが、これは実は人間の体内リズムを考えると結構キツイことなんです。

今回は「睡眠相後退症候群(すいみんそうこうたいしょうこうぐん)」という睡眠障害と、その対処法について解説したいと思います。(少し長いので、今回は前編・後編に分けようと思います)

体内時計を司るメラトニン

みなさんはメラトニンをご存じでしょうか。聞いたことくらいはある、という方もいるかもしれません。メラトニンは脳内の「松果体(しょうかたい)」で産生されるホルモンで、ヒトの体内時計を司っています。

メラトニン血中濃度を見てみると、個人差はありますが、夜の22時くらいに上昇が始まり、夜中にピークを迎え、翌朝10時くらいにはベースラインに戻るようです。


図:若年者(平均年齢22.5歳)における血中メラトニン分泌の日内変動(文献(1)を参考に筆者作成)

多くの人では普段眠る時間になると自然と眠気がくるかと思いますが。これはメラトニンの働きによります。

先ほど夜更かし気味の大学生さんを例に挙げましたが、そんな大学生さんは結構多いんじゃないかと思うんです。僕自身もかなりふざけた医学生でしたので、テレビで深夜番組を見たり、借りてきた海外ドラマを延々見たりして、3-4時位に寝ることもしばしば。意味もなく夜中まで皆で集まって酒飲んでたり。起きたら「笑っていいとも」の時間だったりなんてのもちょくちょくあったなあなんて思います。

そんな風に過ごしていると、体内のメラトニンのリズムも狂ってしまって、本来立ち上がる時間には分泌されません。おそらく夜中の1-2時くらいにメラトニンが立ち上がり、下がってくるのは昼過ぎだったのではないかと想像します。

こういう超夜型の、学生時代の僕みたいな状態を、「睡眠覚醒リズムが後退した状態」なんて呼びます。

後退した睡眠覚醒リズムは修正するのが大変!

大体の人が、たとえば「会社に決まった時間に出社しなくてはならない」といった強制力が働くと、割とちゃんと起きられるようになると思います。超夜型だった僕も病院での実習が始まったときに、とりあえず朝早く起きて、決まった時間に大学病院に行けるようにはなりました(とはいえ、当時はやりたいことが多く、毎日相当な睡眠不足状態で、いつでもどこでも寝てしまう状態でした。以前の記事参照)。

僕の場合はなんとか自力で対処できましたが、一度夜型で固定してしまったリズムが自力では修正できない方が少なからずいます。

早寝早起きしようとしても、夜は寝つけず、朝は起きられない…そのため、遅刻や欠勤を繰り返してしまいます。寝てしまうと起きられないとわかっているので、徹夜して出勤して、ますますリズムが崩れてしまったり、という悪循環に陥ります。

こうなると立派な睡眠障害。これを「睡眠相後退症候群」と呼びます。

会社をしばしば無断欠勤することになり、「うつ病なのではないか」と上司に言われ、心療内科・精神科を受診される方もいます。これはうつ病ではないんです!仕事も頑張りたいし、意欲もあるのに、ただ夜眠れないし朝起きられないんです。

ところが自力ではなかなか直せない。これが睡眠相後退症候群です。

後半ではこの後ろにずれてしまった睡眠覚醒リズムがどうして修正しづらいのか、またどのように対処するとよいのか、について解説しようと思います。

1.Tozawa T, Mishima K, Satoh K, Echizenya M, Shimizu T, Hishikawa Y. Stability of sleep timing against the melatonin secretion rhythm with advancing age: clinical implications. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. 2003;88(10):4689-95.

文・資料提供:リズムアンバサダー 松井健太郎

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