あなたにちょうどいい、リズム|Rhythm

マウスピース型デバイスで睡眠時無呼吸症候群を治療する!その最新事情とは?

マウスピース型デバイスで睡眠時無呼吸症候群を治療する!その最新事情とは?

  • Column
  • Relaxation

<COLUMN>
マウスピース型デバイスで睡眠時無呼吸症候群を治療する!その最新事情とは?

更新日:

| 免疫力 | 生活習慣 | 睡眠 |

こんにちは。精神科医の松井健太郎です。

以前の記事で、夜間睡眠中にいびきをかいたり、呼吸が止まったりする病気である、睡眠時無呼吸症候群について解説しました。

医師が解説!肥満と睡眠時無呼吸症候群についての関連性

睡眠時無呼吸症候群と就寝中の血圧には深い関係があった⁉︎

2つ目の記事にも書いたのですが、重症の睡眠時無呼吸症候群の患者さんではCPAP(持続陽圧呼吸)療法という、鼻から空気を送り込むデバイスを用いた治療を行います。

今回はそこまで重症でない方がしばしば使用される、口腔内装置(マウスピース型のデバイス)を使用した治療法を中心に解説したいと思います(睡眠時無呼吸症候群の多くを占める、”閉塞性”の睡眠時無呼吸症候群に関する話です)。

睡眠時無呼吸症候群の治療適応

前述の通り、重症の睡眠時無呼吸症候群の方にはしばしばCPAPを用いた治療を導入します。

重症か否かの判定は、「睡眠ポリグラフ検査」で判定しますが、これは1泊入院の検査です。この検査を受けると、睡眠時無呼吸症候群についてAHI(無呼吸低呼吸指数)という数値で重症度が算定されます。

AHIは1時間あたりの無呼吸(10秒以上の呼吸停止)および低呼吸(10秒以上の、呼吸流量が50%未満となった状態)の回数を合計した数値です。AHIが5以上で睡眠時無呼吸症候群の診断となりますが、30以上で重症、15以上で中等症、それ未満は軽症というふうにわけています。

CPAP導入は保険診療の都合上、AHIが20以上というふうに決まっていますので、やや中途半端ですが、重症の方および重症よりの中等症の方がCPAPの対象となります。

AHIが20回未満だと、医療保険が効きません。したがって、その場合、CPAP以外の治療方法を検討することになります。

その中の一つが口腔内装置(マウスピース)を用いた治療法です。

治療の仕組み

睡眠時無呼吸症候群では下図のように、気道閉塞が起こっているため、治療の際はこれを改善させる必要があります。


(図は筆者提供)

仰臥位で寝たときの気道閉塞について模式化したもの(仰向けで寝ている人を横から見た図)です。睡眠中に舌根(舌の付け根)・軟口蓋(口の中の奥、天井部分)が落ち込むことで気道が圧迫され、いびきや無呼吸の原因となります。

CPAP療法は鼻から空気を送り込むことにより、気道内を陽圧に保つやり方です。


(写真・図は筆者提供)

CPAPはきちんと装着できれば、睡眠時無呼吸症候群の重症度にかかわらず、AHIを正常レベルにまで改善させます。前述の通り、AHIが20以上の重症度が高い方がCPAP治療の対象です。

口腔内装置(マウスピース)は下図に示したように、下顎を前方に動かすことにより気道を拡げるという方法です。


(写真・図は筆者提供)

下顎を前に出すマウスピースですので、通常の歯ぎしり用のマウスピースとは少し構造が異なります。

残念ながら、重症の睡眠時無呼吸症候群の方に対しての効果は不十分です。したがって、現実的にはAHIが20未満の方がこの口腔内装置の適応となります。

上記に示した、CPAPと口腔内装置はいずれも医療保険が適応されます。

実際の使用感の一例

すこし話が変わりますが、僕の友人が睡眠時無呼吸症候群で、しかもAHI30以上の重症だったんです。たしかに一緒に泊まりで旅行に行ったとき、いびきはすごかったんですが、太っているわけでもないし、検査オーダーした僕も結果を見てびっくり。

そんな彼には最初に口腔内装置、ついでCPAPを使用してもらいましたが、こんな感想でした。

・口腔内装置に関して:「寝ているときに口が開けられなくて苦しい。咳ができない」
・CPAPに関して:「すごい良かった。ぐっすり眠れるようになった。今もだいたい毎日装着している」

もちろん、口腔内装置を全然違和感なく装着できる方もいますし、逆にCPAPの空気圧が気になって、夜眠れないという方もいます。あくまでも一例なのですが、たしかにこの口腔内装置は上下一体型で、口が開けられません。


(写真は筆者提供)

通常の口腔内装置は上下一体型が多く、そんな問題を踏まえて、改良されたのが以下です。


(写真は筆者提供)

ご覧の通り、接合部分が斜めになっていて、口を閉じると自然と下顎が前に出るように設計されています。またネジである程度、下顎の前方シフトの度合いを調節することができます。

この口腔内装置、とても良いのですが、高価(十数万円)なこともあり、残念ながら医療保険の適応とはなりません。

他にも様々な種類が

それから、ご高齢の方だと、入れ歯を使っている方も少なくないですよね。歯牙欠損が多いと、ここまで紹介した口腔内装置は使用できません。歯がぐらぐらしている人なども、歯を傷めてしまうリスクがありますから、マウスピース型の口腔内装置は使わない方が良いでしょう。

そのような場合、このようなおしゃぶり型の装置を使うことがあります。


(写真は筆者提供)

これはTongue Stabilizing Device(直訳すると舌安定装置)というものです。

吸盤のような構造で舌の先を固定し、口に咥えることで、舌を前方に引っ張ります。舌根を持ち上げて気道閉塞の改善を目指すという意味ではその他の口腔内装置と同じです。

これも残念ながら医療保険の適応外となっています。つけ心地もあまりよくないので、可能ならマウスピース型の方が良いのではないかと思います。

そのほか鼻からチューブ状の管を通して、気道を確保する、経鼻ステントという方法もあります。

この経鼻ステントは独創的な商品で、売れ行きも良かったそうなのです。ところが発売後まもないころに、この経鼻ステントが鼻腔・口腔を通り過ぎて胃に落ちてしまったというアクシデントがあり(鼻にフックで引っ掛けるようになってはいるのですが)、自主回収となってしまいました。

その後も経鼻ステントには根強いファンがいて、自主回収すべき商品がオークションに出回るという事態になっていたそうです(!)。現在は発売が再開されましたが、購入の際には医療機関の指示書が必要、という仕組みになりました。

経鼻ステントの指示書については、対応している医療機関がこちらに載っていますので、興味がある方は調べてみてくださいね。ただしこの経鼻ステントも医療保険の対象外です。

まとめ

・睡眠時無呼吸症候群の治療では、下顎もしくは舌そのものを前方にシフトさせることで症状改善が期待できる(←口腔内装置の原理)
・上下一体型・マウスピース型の口腔内装置と、CPAPは医療保険の対象となる

医療保険の対象か否か、という点を何度か書きましたが、保険診療でCPAPもしくは口腔内装置での治療を受ける場合は、冒頭に示したように1泊入院の「睡眠ポリグラフ検査」を受けなくてはいけません。ただし、この睡眠ポリグラフ検査は受けられる医療機関が限られているのも事実です。

そこで、多くのクリニックでは、簡易検査をやっています。これは自宅に検査機械を持ち帰っていただき、自分で装着して一晩寝てもらう、というものです。確定診断には睡眠ポリグラフ検査が必要ですが、非常に重症の睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合(簡易検査でAHIが40以上の場合)には簡易検査の結果を元にCPAPを導入しても良いこととなっています。

睡眠時無呼吸症候群が気になる方は、まずはこの簡易検査が受けられる医療機関を探してみると良いでしょう。きっとお近くにあるかと存じます。

文・資料提供:リズムアンバサダー 松井健太郎

この記事をシェア

  • Twitter
  • Facebook
  • Line
  • Hatena
  • Pocket

関連キーワード

| 免疫力 | 生活習慣 | 睡眠 |

関連記事

あなたはどれくらい?歯磨き時間の目安【歯科医監修】

  • Column

あなたはどれくらい?歯磨き時間の目安【歯科医監修】

神社参拝の正しい方法!神社で得られる本当の開運って?

  • Column
  • Relaxation

神社参拝の正しい方法!神社で得られる本当の開運って?

【W杯初出場ゴールを決めた伝説の男】野人・岡野雅行 Vol.4 〜野人、サッカーの世界基準を知る〜

  • Column

【W杯初出場ゴールを決めた伝説の男】野人・岡野雅行 Vol.4 〜 ...

歯周病の初期症状はこれ!簡単チェックリストで自己診断【歯科医監修】

  • Column

歯周病の初期症状はこれ!簡単チェックリストで自己診断【歯科 ...

唇の荒れ、本当の原因は!?身体の中から作る艶々リップのつくり方

  • Column
  • Relaxation

唇の荒れ、本当の原因は!?身体の中から作る艶々リップのつくり方



新着記事

理学療法士が教える。モデルウォークで風邪予防

  • Exercise

理学療法士が教える。モデルウォークで風邪予防

食欲がないときは紅茶がおすすめ。腸活に効く紅茶レシピを公開!

  • Food

食欲がないときは紅茶がおすすめ。腸活に効く紅茶レシピを公開!

血が精神状態にも影響を与える?経絡整体師が解説する東洋医学からみた“血” Vol.3

  • Column
  • Relaxation

血が精神状態にも影響を与える?経絡整体師が解説する東洋医学からみた“血” Vol.3

40代から始める身体づくりの価値〜楽しく続けるためのレシピ 〜【マラソンチャレンジ連載企画 Vol.8】

  • Food

40代から始める身体づくりの価値〜楽しく続けるためのレシピ 〜【マラソンチャレンジ連載企画 Vol.8】

バブル期の「イタ飯」ブームから30年。当時は子供だった日本の大人はいま、“本物のイタリア料理”を食べているか?Vol.7(最終回)

  • Food

バブル期の「イタ飯」ブームから30年。当時は子供だった日本の大人はいま、“本物のイタリア料理”を食べているか?Vol.7(最終回)

人気記事

インタビュー:村山彩 旅先で何を食べる? トライアスリートの体を作る食事【特集:トライアスロンと旅】

  • Special

インタビュー:村山彩 旅先で何を食べる? トライアスリートの体を作る食事【特集:トライアスロンと旅】

筋肉の疲労回復におすすめのマッサージ4選:筋肉痛になる前に対処できる!

  • Relaxation

筋肉の疲労回復におすすめのマッサージ4選:筋肉痛になる前に対処できる!

疲労回復やダイエットにも!水泳の驚きの健康効果

  • Exercise

疲労回復やダイエットにも!水泳の驚きの健康効果

疲労回復レシピ!野菜煮込み料理「ラタトゥイユ」の作り方

  • Food

疲労回復レシピ!野菜煮込み料理「ラタトゥイユ」の作り方

ロンドンの男女は自転車ライフで輝いている!

  • Beauty
  • Column
  • Exercise

ロンドンの男女は自転車ライフで輝いている!

PAGE TOP

PAGE TOP

閉じる