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精神科医が語る、日照時間と冬季うつ病の関連性とは?

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精神科医が語る、日照時間と冬季うつ病の関連性とは?

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こんにちは。精神科医の松井健太郎です。肌寒い日が増えてまいりました。

いきなりですが、今年の冬至は12月21日です。冬至とは、日照時間(太陽が出ている時間)が一番短い日のことですね。これから日に日に日照時間が短くなっていくわけであります。この「日照時間の短さ」、実は一部のうつ病と関連しているのです。今回はこの「冬季うつ病」と呼ばれる、日照時間の短さと関連するうつ病について解説します。

日照時間の短さと「うつ」

「うつ病」、「うつ状態」という言葉はここ最近、世間一般にも浸透してきましたね。簡単に解説すると、うつ状態とは気分が落ち込み、元々好きだった事柄が楽しめない、集中できない、といった状態を指します。うつ状態が長く続き、慢性化した状態がうつ病です。

1980年代に、毎年秋から冬の初めにかけてうつ状態となり、春には回復する人たち、すなわち「冬季うつ病」の患者について多数報告されました。アメリカでの大規模な疫学研究で、冬季うつ病患者はカナダ国境に近い高緯度の州で多く、フロリダ州のような低緯度の州では少ないと報告されています。

例えば北極圏では、夏場は白夜といって、日がほぼ一日中照っていますが、冬場は極端に日が出なくなりますよね。緯度が高いほど、夏と冬の日照時間の差が大きくなり、冬季うつ病の発生と関連しているというわけなのです。

通常のうつ病では、しばしば食欲低下や不眠がみられますが、冬季うつ病では食欲亢進(こうしん)と睡眠の増加がみられることが少なくありません。

過眠、過食、活動量の低下といった症状が、他の哺乳類における冬眠に類似しているのではないか、という説もあります。興味深いですね。

冬季うつ病の治療について

冬季うつ病には高照度光療法が有効であることが早くから指摘されていました。冬場の短い日照時間を補うため、人工的に強い光を浴びるという方法です。

具体的には2500~10000ルクスの光を、早朝もしくは夕方に1~2時間浴びて、初夏と同じような光環境を作ります。一般的には午前の光照射のほうが、効果が大きいとされています。

冬季うつ病の病態仮説としては、以下のことなどが挙げられています。

セロトニン機能の低下:日照時間の短さにより、脳内でのセロトニンの代謝回転速度が遅くなる。

メラトニン分泌の変化:メラトニン分泌開始時刻が遅くなり、かつ分泌時間が延長する。その結果、体内時計が夜型にシフトする。

高照度光療法はいずれの病態にも有効ですが、注意すべき点として、毎日続けないといけません。高照度光照射装置は結構大きいので、通常の生活の中で毎日行うのは大変です。

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(上の写真は松井が個人的に購入したもの。こんなふうに使用します)

デバイスについては、僕たち治療者側が工夫しないといけないところですね。ここ最近、帽子のつば部分に光照射装置をつけたものや、メガネのフレームに光照射装置をつけたものなどが開発されてきています。

それから、日常生活の工夫により、多少症状の改善が見込めるかもしれません。例えば日当たりの良い部屋でカーテンを開けて寝るようにするのが良いでしょう。特に午前中、なるべく光を浴びるように心がけてください。

極論ですが、より緯度の低い地域に引っ越すことで、症状が改善したケースが報告されています。そういう方法もアリかもしれません。また、薬物療法が有効なこともあります。医療機関に相談してみるのも良いでしょう。

まとめ

・冬季うつ病では日照時間が短い冬場にうつ状態になる。
・高照度光療法が有効。冬場はなるべく日の光を浴びるように心がけましょう。

冬の初め、とくに12月は楽しいイベントが目白押しですね。暖かくして、しっかり日の光を浴びて、楽しく冬を乗り切りましょう!

文:リズムアンバサダー 松井健太郎

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