アジアで熱帯の国と言えばその代表はインドです。
東側の街コルカタ、西側のアラビア海に面したムンバイ、どちらも日中の気温は40℃を超えます。クーラーの効いたホテルから街に出て10分も歩くと汗だくになり、いくら拭っても流れ落ちてきます。気温の高さだけでなく、街の喧騒と人の熱気がよけい暑さを厳しくしているのです。
チャイはインド国民のほぼすべての人たちが愛飲する甘いミルクティーです。紅茶と牛乳を煮出して、砂糖をたっぷり入れて、できたてのアツアツをすすります。
日本の夏ならかき氷に氷水と、冷たい飲み物が一番ですが、インドでは煮出したできたての熱いチャイが定番です。実はチャイをすすっていると、一時的には汗が吹き出てきますが、不思議なことに飲んでいるうちに汗が引いて、なんとなく涼しく感じてくるのです。
インドの人も炭酸や果汁飲料を冷やして飲みますが、氷をいれることはあまりありません。日本のように水道水をそのまま直接に製氷することはできないから、もし氷を使うとすると専門の氷販売店から購入することになり、とても高価な飲み物になるからです。紅茶は最も庶民的な水の次に安価な飲み物なのです。
チャイの中には大量の砂糖が入っていて、暑さで疲労したエネルギーの補給になります。さらに、ジンジャー、カルダモン、クローブ、ブラックペッパーなどが入れられていて、代謝を良くし、免疫力を高め、整腸作用があり、食欲増進など、暑い国で必要な健康維持に役立ちます。
特に生の生姜をコップの底で潰して入れたものは、爽やかですっきりしたチャイになりどこでも人気です。スパイスの中では高価なカルダモンは、熱中症や熱射病を防ぐ働きがあることも良く知られています。
もう一つ、チャイを飲みに集まってくる人たちの重要な目的は、コミュニケーションです。人は話して怒りを鎮め、笑ったり、慰めあったり、そんな触れ合う場もチャイ屋の周りにあるのです。
紅茶(BOP) 5g
カルダモン 3~4粒(潰しておく)
生姜 1㎝大 (潰しておく)
砂糖 20g
水 150cc
牛乳(低温殺菌牛乳) 200cc
1)手鍋に水を入れ茶葉とカルダモン、生姜を入れる
文・写真:磯淵猛