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現在女流浮世絵師として活躍するツバキアンナさん。アラフィフになってから、お酒を美味しく飲みたいがためにランニングを始めたところ、あれよあれよという間に東京マラソン2回目の挑戦でサブ4を達成したといういきさつをお話いただいたのが、今年の夏のこと。
そのインタビューがキッカケとなって、アンナさんは京都マラソンに初挑戦することに。
リズムアンバサダーでもあるランニングコーチ、青山剛さんの京都マラソンに向けた連載『For 京都マラソン12週間プログラム』に合わせ、時には青山さんの直接指導を受けながらアンナさんが京都マラソンを目指すプロジェクトがスタートします。(Vol3前編・後編より続く)
そこで、今回は、プロジェクトの旗揚げということで、お2人に対談していただきました。
——アンナさんはタイムを1分でも縮めてみたいとおっしゃっていますが、京都マラソンに向けてどういった流れで進めていくのがいいのでしょうか?
青山剛さん(以下敬称略)これから始まる12週間プログラム連載の流れで言うと、11月13日から記事が配信されます。その12週間プログラムの流れを大まかに言いますと、前半の6週間は、力をため込むための練習。走り込みを中心にベースを作ります。後半は、いかに本番で力を発揮できるかという練習に切り替えていきますが、その練習プログラムを休みながら進めていくという感じですね。
1㎞5分30秒で走るというアンナさんの適性目標が見えてきたので、年末あたりに20㎞の距離を1㎞あたり5分30秒ペースで走れるかどうか1〜2回やってみます。そのペースで走れると、自己ベスト達成(サブ4)は少しずつ見えてきます。
その他には、1㎞7分くらいのペースに落としたロング・スロー・ディスタンス(LSD)と呼ばれる、ゆっくり長く走るトレーニングも週一回くらいずつ入れていきます。このトレーニングは、速く走ることでは得られないものがたくさんあります。毛細血管が広がることで基礎代謝がアップし、持久力のある遅筋が鍛えられるなどの効果があります。
ツバキアンナさん(以下敬称略)これを機会に自分の走りを見直すことができればいいですね。
青山 例えば5㎞を走ってみたときに23分で走れたとなれば、京都マラソンで3時間45分を狙うといったことにもなります。
アンナ ひとつ心配なのは、京都マラソンは2月ですから、正月を挟みますよね。飲んだり食べたりになるので、体重増加が心配です。
青山 体重増加は走りに影響します。だから、年末年始のすぐ後にある京都マラソンや東京マラソンには調整が難しい面がありますよね。私がオススメしているのは、11月末か12月1週目に1発目のピークを作っておくこと。このあたりに大会に出て、その時に貯えた体力をうまく使って京都マラソンを迎えると、いい流れで走れると思います。
アンナ それは、ハーフマラソンでもいいのでしょうか?
青山 フルマラソンを走るための練習になるものですから問題ないです。ハーフマラソンだと距離も半分なので、頑張って走れるじゃないですか。そこで、思う存分、頑張って走る。
よく、セミナーでは、目的とするフルマラソンの大会前にハーフマラソンに出る場合は「思いっきり苦しんできてください」と言います。苦しむことができる場は大会しかないですから。調整の意味でも、思いっきり苦しんできていただきたいですね(笑)。
——12週間プログラムが始まる前にアンナさんがやっておいたほうがいいトレーニングメニューとしては、どういうものが考えられますか?
青山 アンナさんの1週間の平均的なスケジュールはどんな感じでしょうか?
アンナ 平日は自宅で作品の制作をしています。忙しいと夜遅くまで仕事することもありますが、通常は、だいたい18時くらいにお酒を飲みたくなってお仕事は終了します。土日になると、必ず午前中に走るといった感じですね。
青山 なるほど。12週間プログラムが始まる前にひとつメニューを出すとしますと、11月中に4時間歩くというのを2本やっていただければと思います。
アンナ えー!?4時間も?しかも、歩くんですか?
青山 走ってはダメです。ウォーキングすることで体力の基礎を作っておくと、これからの走り込みをする上でケガをしにくい身体になれますから。一番いいのは、高尾山を登るがいいですね。休み休みでもかまいません。休憩を挟んでもいいので、合計4時間、歩いてください。
アンナ お店でお酒を飲んで、酔っ払うとタクシーに乗らないでけっこうな距離を歩いて帰ったりすることも多いのですが、それでもいいでしょうか!?(笑)。
青山 それは、お酒を飲まないでやってください……(笑)。
アンナ ですよね……。でも、酔っ払わないで4時間歩くのって、キツイですね。
青山 このメニューは、「京都マラソン経由、50代でも健康でサブ4行き」なんです。今回の京都マラソンでサブ4達成したいだけなら別に歩かなくでもいい。でも、アンナさんはこの先も走り続けて健康でいたいという目的があるので、そのためにはロングウォークをしたほうがいい。
山登りが一番ですが、難しければ、いい日本酒があるお店に飲みに行くために歩くということでもいいですよ(笑)。
アンナ 片道で4時間ですよね。どのくらいの距離のお店に行けばいいのでしょうか?
青山 普通に早歩きで1㎞10分。6㎞で1時間ですから、4時間歩くとなると24〜25㎞ですね。12週間プログラムでは、初めの2週間のうちに4時間ウォークを1〜2回やることをオススメしています。本来はもっと早めにやっていただくのがいいのですが、12週間プログラム内でのメニューということであれば、11月中にやっておくといいですよね。
連載でも解説していますが、ランニングシューズを履いて、「いち、に」という感じで歩く。難しく考えないでいいですから。Googleマップなどで調べて、自分が行きたいお店まで歩く。4時間歩いたら、その後はお酒飲んでタクシーで帰るでもいいですよ(笑)。
アンナ お酒を飲むために歩くということなら、気が楽になっていいですね(笑)。
(「現代女流浮世絵師、京都マラソンを走る 青山剛×ツバキアンナ対談 Vol.4」 〜ランニングはオマケを見つけるとさらに楽しくなる(後編)〜へ続く)
構成・文:國尾一樹