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現在女流浮世絵師として活躍するツバキアンナさん。アラフィフになってから、お酒を美味しく飲みたいがためにランニングを始めたところ、あれよあれよという間に東京マラソン2回目の挑戦でサブ4を達成したといういきさつをお話いただいたのが、今年の夏のこと。
そのインタビューがキッカケとなって、アンナさんは京都マラソンに初挑戦することに。
リズムアンバサダーでもあるランニングコーチ、青山剛さんの京都マラソンに向けた連載『For 京都マラソン12週間プログラム』に合わせ、時には青山さんの直接指導を受けながらアンナさんが京都マラソンを目指すプロジェクトがスタートします。(Vol1前編より続く)
そこで、今回は、プロジェクトの旗揚げということで、お2人に対談していただきました。
青山剛さん(以下敬称略)ただ、今お話をお聞きしていると、「正しさ」という部分では疑問符が付きます。辞めてしまう人の多くは、正しいランニングを追求したいけれど、やり方がわからない。ナゼそうなるかと言うと、「走れちゃう」からです。実はコレが落とし穴なんですね。
ボールを投げてストライクを10球投げようとしても、投げられない。できる、できないがハッキリしていることなら基礎を学ぼうとします。しかし、走ることは誰でもできてしまう。だから、何が正しいのかよくわからないまま、続けてしまうんです。
ツバキアンナさん(以下敬称略)そこが私もよくわからないです。適当に走って、今までどうにかやれてきた、という感じですから……。
青山 走るということを極めるには、「立つ、歩く、走る」の3要素が大事。走る前に、正しく「立つ」「歩く」をできるようにしたほうがいい。一流のアスリートは、立ち方がちゃんとしている。日々のトレーニングのなかで自然に身につけてきたのですが、一般の人がそれを身につけようとしても、難しいですから。でも、ちゃんと知ることで根本から変えていけば、短期間で身につけられます。
アンナ 走る前に、まずは立ち方から、ということですか?
青山 アンナさんは普段から着物を着ていらっしゃる。着ているときは、猫背になることはたぶん、ないですよね?
アンナ 和服のときは、自然と姿勢が良くなっていると思います。
青山 僕は立ち方を見ただけで、この人はどれくらい正しく走れているのかわかる。見ただけで、その人がどんな身体つきをしているのかさえもわかる。イヤらしい意味じゃないですよ?(笑)。
アンナ ひえ〜!恐ろしいっ!!でも、面白いお話ですね!
青山 「この人、右のお尻が使えていないな」とか、「肩甲骨がうまく使えていないから、胸が垂れているだろうな」「オッパイが外に向いてるだろうな」とか(笑)。人間も動物ですからね。例えば、速く走れる犬は足が細い。それと同じで、女性が特に陥りやすいのは、速く走れるようになったものの、足が太くなってしまうことなんです。
アンナ 私、すでに太くなってます……。走れるようになるのはいいのですが、太くなるのは女性からするとやっぱり嫌です!
青山 足でばかり走ろうとするから太くなってしまうんですよ。でも、正しく走ると足は太くならないんですよ。足だけで走ると、筋肉質で太い足になるけれど、体幹をうまく使えるようになると太くならない。改善はいくらでもできますから、安心してください(笑)。
特に女性の場合、スタイルアップすると気持ちもアップしてきて仕事もはかどるし、普段の生活が充実して潤うじゃないですか。
アンナ 女性にとって、スタイルを良くして年齢を重ねても如何に身体をキープしていくか、というのは大命題ですからね。
青山 アンナさんがお酒が美味しくなくなったとか、足が太くなっちゃったとなると、失敗になります。アンナさんが京都マラソンでうまく走るためのこのプロジェクトがうまくいくといいですね!
——大好きなお酒を飲みたいがために走り初めて、それで楽しみながら続けてサブ4を達成したというのは素晴らしいことだと思いますが、青山さんはどう思われますか?
青山 たぶん、いい意味で“頑張っていない”ということに尽きますよね。頑張ってばかりだと、何ごとも続かないんですよ。ランニングを頑張ってる感が出ている人って、やはり4〜5年しか続かない。大事なことの優先順位を考えていくと、仕事もあるし、頑張っている場合じゃなくなることもありますから。
ランニングを頑張りすぎる人は、やけ酒と一緒の状態なんですよ。“やけランニング”ですね。ランニングって、最初はやればやるだけ手応えがあるけれど、なくなってくると、やけ酒のように無理をする。アンナさんの場合は、お酒を美味しく飲みたいという、ゆるい目的があるから続けられているということでしょうね。
アンナ 私、走っていて赤信号があるとすごくホッとするんですよ。ちょっと休めるぞ、みたいな(笑)。走りたいけれど、休みたいという……。そんな感じで本当にチンタラした感じでしか走っていなかった。タイムは一切気にしていませんでしたから。
青山 それでもサブ4達成で4時間切ったワケですよね?3時間何分台ですか?
アンナ 東京マラソン2回目の挑戦で3時間56分でした。
青山 ということは、1㎞を5分30〜35秒で走りきらないと達成できない。途中でガクっと落ちたりするんですか?スタート位置も影響しますけれど。
アンナ 割とイーブンで走れます。ただ、東京マラソンの1回目のときは、自分が何分で走れるのかわからなかった。記録も申告していなかったので、かなり後ろのほうからスタートしたんですね。しかも、トイレに行ってしまったので、4時間5分台でした。
青山 それでも4時間5分。フルマラソン初挑戦でそのタイムは、なかなかですね。
アンナ 「トイレに行ってなければサブ4達成できたのに!」っていう悔しさがあったので、2回目の時は絶対にトイレには行かないと決めました。1回目の時のタイムを申告しておいたので、けっこう前のほうで走れることになったのもあって、サブ4達成できました。トイレを我慢した割にはそんなに変わらないなあとも思いましたが……(笑)。
アンナ 京都マラソンのコースって、坂が多いと聞いていますが、どうなんですか?
青山 坂はないに等しいですよ。
アンナ え!? そうなんですか?それは青山さんだからなのでは!?
青山 いやいや、東京マラソンのほうが坂を感じますよ。それよりも、京都マラソンは道が狭くて走りにくいというのがあります。なので、後ろのブロックから出ると、抜くに抜けない。流れに任せて進むしかなくなってしまうんですよ。
前のブロックからスタートできると、いい感じで行けると思います。京都マラソンでも4時間を切りたいですか?それとも、自己ベストを更新したいですか?
アンナ できれば、1分でも短くして自己ベスト更新を目指したいと思っています!
青山 だとすると、1㎞5分30秒ペースで走ると3時間52〜53分台になるので、それくらいのペースで走ることができれば達成できますね。今、新しい連載をRhythmで12週間プログラムということで京都マラソンにピークをもっていくための連載を始めるところです。約3か月のプログラムです。
11月27日がちょうど京都マラソンの12週間前。そこから逆算して、京都マラソンまでのプログラムをやっていこうという連載です。計画的にというのは、休む週とか、軽くする週、頑張る週といった感じでメリハリを付けて脈絡のあるプログラムをこなしていく。そういう科学的なプログラムに基づいて進めていきます。そのためのプログラム連載が11月27日から始まります。
アンナ 私もその連載を拝見させていただきながら、時には青山さんに指導いただきつつ、京都マラソンに向けてトレーニングしていきたいと思います!よろしくお願いいたします!!
(「現代女流浮世絵師、京都マラソンを走る 青山剛×ツバキアンナ対談 Vol.2」 〜アラフィフになっても、フォーエバー・サブ4で(前編・後編)〜へ続く)
構成・文:國尾一樹