日本最大の料理レシピサービス「クックパッド」の初期からのメンバーであり、現在は同社本部長のほか多方面で活躍中の小竹さんに、料理のもつチカラやその魅力について語ってもらうこの企画。3回目のテーマは、「食と健康のつながりについて」です。
アタマでは分かっているつもりでも、「具体的にどんな影響があるか」「どうすればバランスのいい食事になるか」ということを実感できていない方、必読です!
小竹貴子(こたけ たかこ)
関西学院大学卒業。2004年有限会社コイン(後のクックパッド株式会社)入社。2006年編集部門長就任、2008年執行役就任。2009年、日経ウーマンオブザイヤー2010受賞。2012年、クックパッド株式会社を退社、独立。2016年4月、クックパッド株式会社ブランディング・広報担当本部長就任。またフードエディターとして個人でも活動を行っている。
――「365日1日3回口にする食事だからこそ気を使いたい」とのことですが、そう考えるようになったきっかけは、やはりお子さんの誕生ですか?
そうですね。私は2人の子どもを母乳で育てていたのですが、生クリームたっぷりのケーキを食べると脂っぽいおっぱいが出るし、野菜を食べたときにはきれいな色の母乳になる。そのことに本当に驚いて。もちろん赤ちゃんのうんちも、母が食べたもので変わりますしね。
「人間は食べるものでできている」ということを実感しましたし、「母乳しか栄養をとる術がないこの子のために、何を食べたらいい?」と真剣に考えるようになりました。
――それまではバランスについて、あまり意識はしていなかったですか?
若いうちはそもそもバランスよく食べることの重要性を全くわかっていなかったですし、食べたいものを食べるという生活で何か困ることがほとんどなかったというのが正直な所です。
まず、野菜を積極的に取り入れることをしていませんでした。野菜嫌いというわけではないのですが、メインのおかずを作って満足してしまったりだとか、野菜料理は手間がかかるだとか、ちゃんとそろえると値段が高いといった理由で。「野菜を食べなきゃ」とは思いつつも、なかなか手が出せませんでした(苦笑)。
――どのようにして料理にバランスを取り入れましたか?
管理栄養士の方に相談したときに、難しく考えず「色で考えたらいい」と教わったんです。「白・黒・赤・緑・黄の5色が揃えばバランスが取れる」と言われ、食卓にその5色を取り入れるようにしました。
具体的には、白がごはん・パン・麺・いも類、黒がきのこ類・ごぼう・海藻類・ごま・こんにゃく、赤がお肉や赤身の魚、緑が葉物野菜やピーマン、黄色が豆類や卵。実際にやってみると栄養のバランスも取れていることに加えて食卓も彩りよくキレイですし、自分の体調も良くなりましたね。東洋医学の陰陽五行に近いものがあるのかもしれませんね。
――なるほど。でも、毎日のこととなると大変そう……。
あまりストイックにならず「できるだけ」でいいと思いますよ。無理に品数を増やさなくても、パスタ1皿でも具の種類を多くして色を増やしたり、ラタトゥイユなどは1品でも多色になりますし。
うちは今でも子どもに「今日は5色ある?」なんて聞きながら食事をしますが、そんな会話も楽しいですね。
――ほかに食事で気を付けていることはありますか?
腹八分を心がけてはいますが、毎日となると難しいですよね。とくに、私はお酒が好きなこともあり……つい食べすぎることも多いですね。
なので1日単位ではなく、1週間単位で調子を整えるようにしています。食べすぎた翌日は、量を減らすといった具合に。この方法は、多くの管理栄養士さんがオススメしていますよ。
――食や料理に気を使うようになって、どんな効果がありましたか?
風邪はほとんどひかなくなりました。また、冷え性や便秘、貧血などが改善された気がします。あとは、食事を意識するようになったことで、「ちゃんと睡眠を取らなきゃ」「運動しなきゃ」といったようにほかのことも紐づけされて、健康に関する意識が全体的に高まったのもよかったです。
とはいえ、私の場合はハードワークになりがちで、料理ぐらいしか自分の調子を整えられるものがない状況。逆に、「料理で調子を整えている」という自負があるからこそ、ハードワークをこなせている気もします。
文:細井 秀美
写真:たつろう
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