一般的に、基礎代謝が高い人は筋肉量が多いといわれます。その理由はどうしてなのでしょうか。今回は、基礎代謝と筋肉量との関係を解説します。
基礎代謝とは、安静にしていても消費される必要最低限のエネルギー量をいいます。実際、一日中寝転んでいても、生きるために心臓が動き、呼吸のために肺が動き、さらに体温の維持のためにエネルギーを使います。こうした、筋肉や心臓、脳などの基本的な活動量を表すのが基礎代謝量です。
基礎代謝の内訳は、次の通りです。
骨格筋:22%
脂肪組織:4%
肝臓:21%
脳:20%
心臓:9%
腎臓:8%
その他:16%
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-004.html
厚生労働省e-ヘルスネット「ヒトの臓器・組織における安静時代謝量」
(糸川嘉則ほか 編 栄養学総論 改定第3版 南江堂, 141-164, 2006.)
このように、筋肉は22%となっており、基礎代謝のうち約2割を占めています。
この基礎代謝が占める割合のうち、自分で量をコントロールできるのは、筋肉と脂肪組織しかありません。脂肪組織は4%しかないので、基礎代謝を意識的に上げるには、筋肉を増やせばいいということになります。
しかし、こう聞くと、筋肉をつければ劇的に痩せるような気がするというイメージを持つかもしれません。しかし、実際、基礎代謝のうち、筋肉が占める割合は、全体の2割程度というのを思い出してください。よって、筋肉をつけたからといって、その安静時の消費エネルギー量は、基礎代謝のうちの2割しか占めないので、筋肉をがんばって1kg増やしたとしても、結局数十キロカロリーしか、基礎代謝では消費されないのです。
よって、筋肉量が増えて基礎代謝が上がったとしても、劇的に痩せるというのはむずかしいことだといえるのです。
筋肉をつければ基礎代謝が上がり、普段と同じ活動量の生活をしていても、痩せ体質になり、どんどん痩せていくといったことがいわれます。確かに、基礎代謝が上がることは事実です。しかし、先ほども紹介した通り、劇的に痩せるというのはむずかしいのも事実です。つまり、筋トレをして筋肉をつけただけでは、痩せるとは言い切れないのです。
確実に体重を落とすためには、意識的にカロリー摂取量と消費摂取量のコントロールをする必要があります。運動量を増やすか、摂取量を減らすかどちらかになります。しかし、最近では、運動量を闇雲に増やすとかえって食べ過ぎてしまうという考え方が多いため、摂取量を減らしたり、食べる内容を変えたりするほうが建設的です。
基礎代謝と筋肉の関係の基本的なところは押さえられたでしょうか。ぜひ正しく理解したうえで、ダイエットを実践してみてくださいね。
関連記事:
身長・体重・年齢から、自分の基礎代謝量を計算しよう!
“関連特集:
Rhythm内の「ダイエットメニュー」に関する、記事はこちらから”
(監修)
医療法人社団眞佑会 肌クリニック 表参道皮膚科
院長 梅田 さやか医師
経歴:2006年3月 日本大学医学部卒業。2006年4月 日本大学医学部付属板橋病院 長野県市立岡谷病院 初期研修医。2008年4月 日本大学医学部付属板橋病院皮膚科学教室入局。2014年7月 医療法人社団 眞佑会 肌クリニック 表参道皮膚科院長 就任。
所属学会:日本皮膚科学会
http://www.o-hada.com/http://www.o-hada.com/