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元ラグビー代表メンタルコーチ・荒木香織「世界で闘える心の鍛え方」Vol.3

元ラグビー代表メンタルコーチ・荒木香織「世界で闘える心の鍛え方」Vol.3

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元ラグビー代表メンタルコーチ・荒木香織「世界で闘える心の鍛え方」Vol.3

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リオデジャネイロ五輪で初採用された7人制ラグビーの男子日本代表が、一次リーグ初戦で、優勝候補のニュージーランドに大金星。その後は破竹の勢いで厳しい一次リーグを勝ち進み、準決勝に進出、悲願のメダル獲得とはならなかったが、4位の好成績を収めた。

大躍進を続ける日本ラグビーは、2015年にイングランドで開催されたラグビーW杯の初戦、強豪・南アフリカ相手に互角以上に渡り合い、逆転トライを決めて劇的な勝利を収めた。その大金星は、日本のみならず、世界を震撼させ「世紀の番狂わせ」と絶賛された。

リオデジャネイロ五輪の7人制ラグビー代表にも多大な影響を与えたといわれる世紀の番狂わせ。その裏の立役者として、一躍、注目を浴びることになったのが、W杯ラグビー代表を“世界で闘える集団”に創り上げていった、メンタルコーチの荒木香織さん。

『ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」』(講談社+α新書)の著者でもある荒木さんに、ラグビー日本代表への想いや、一般の人でも応用できるメンタルスキルなどについてお話をお聞きしました。

3回目となる今回は、選手たちが、どういうメンタルで練習を行ってきたのかといった話を中心にご紹介します。

精神論ばかりで勝てなかった、自身のアスリート時代

——荒木さんご自身も陸上の選手だったそうですが、その時の経験がメンタルトレーニングのコンサルティングに繋がっていったのでしょうか?

私は陸上競技で、100mと200mの選手でした。記録だけで言えば、日本国内のランキングで3位になったこともあるくらい、アスリートとしてはまあまあでした。

期待されていたところもあったので、常に指導者からは「お前はなにくそという気持ちが足りない!」と、いつも言われていましたね(笑)。「他人を蹴落としてでも勝ちたいという気はないのか!」とか、「お前はヤル気がない!」とか……。とにかく、精神論的なことを言われてばかりでした。

ヤル気はあっても実際に何をどうしたらいいのか、その具体的な方法は誰も教えてくれませんでした。もちろん、学生の頃というのは、メンタルトレーニングに関することなんて、指導者でさえ知りません。

結局、私自身のアスリート人生は、満足できる結果を得られないまま終わってしまったのですが、「なんだろうなぁ」というもやもやしたものが晴れないままでした。

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ラグビー日本代表の合宿風景(写真提供:荒木香織)

絶対に勝たせてあげたいと思っても、口にしない

——もし、メンタル面でアドバイスしてくれる人が当時いたらどうだったでしょうか?

そうそう、絶対に日本一になっていますよ!まあ、なってないかもしれないですけどね(笑)。

でも、当時の経験が今に繋がって、選手たちを勝たせてあげたいという想いになり、それが仕事のモチベーションになっているところはあるんでしょうね。

メンタルトレーニングコンサルタントとして、自分が担当する選手を「勝たせてあげたい!」ということは、いつも思っています。ただ、その想いに関しては、絶対に選手たちには面と向かって言いません。

勝つという結果ばかりを追い求めると、勝てなくなる

——ラグビー日本代表に関しては、その勝たせてあげたいという気持ちが特に強かったということはあったのでしょうか?

スポーツでは、あまりにも強く結果を求めすぎるとか、勝つことへの想いが強すぎると、不健康なモチベーションと捉えられます。現実的に、国と国の代表レベルともなると、なかなか勝てるものではありません。

ですから、勝つという結果を追い求めるのではなく、勝つためにはどういうことに集中すべきかといった道筋を作りながら、そのプロセスで準備をいかにするのか、ということを考えてきました。勝つとか負けるとかいったことについては、ほとんど選手たちと話し合ったことがないと言ってもいいくらい、触れませんでしたね。

試合後も、勝った試合でも負けた試合でも、勝敗については何も話し合いませんでした。今、終わった試合を振り返って反省をするのではなく、次の試合に向けてどうすればいいのかといったことを話し合う。次の試合に向けて、対策を考えていくわけです。

練習でもそうなのですが、今日の練習でダメだったことを反省したことはありません。今日の練習でできたことは何なのか。そして、明日の練習でやりたいことは何なのかというふうに、後ろを振り返るのではなく、常に前へ、前へと意識を集中させるのです。そして、選手たちの行動を変化させる、あるいは、進化させていくといった作業をひたすら続けていました。

国の代表レベルともなると、勝つことだけに集中してしまうと、辛い練習ができなくなってしまいます。しかも、W杯初戦は、世界でもトップの強豪である南アフリカです。そんな強豪相手に勝つためだけに練習するということになると、とてつもない大きな目標になってしまいます。これでは、前向きなモチベーションを保てなくなってしまうのです。

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——だとすると、南アフリカ戦は、試合直前くらいになって、勝つぞ、という雰囲気になってきたのでしょうか?

いえいえ、試合中なんじゃないですかね?試合中に選手たちは「これならイケるぞ!」と思って、勝ちにいったみたいな感じだと思います。

どんな試合でも、コレとコレは必ずしよう、というような確認は私も含めて必ずしますけれども、「今日は絶対に勝とう!」といったようなことは、誰も絶対に言いません。

選手たちも、勝つことを意識し過ぎると、勝てないということをよくわかっていたのだと思います。

取材・文:國尾一樹
写真:宇野真由子

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