あなたにちょうどいい、リズム|Rhythm

元ラグビー代表メンタルコーチ・荒木香織「世界で闘える心の鍛え方」Vol.2

元ラグビー代表メンタルコーチ・荒木香織「世界で闘える心の鍛え方」Vol.2

  • Column

<COLUMN>
元ラグビー代表メンタルコーチ・荒木香織「世界で闘える心の鍛え方」Vol.2

更新日:

| コミュニケーション | トレーニング | パフォーマンス |

リオデジャネイロ五輪で初採用された7人制ラグビーの男子日本代表が、1次リーグ初戦で、優勝候補のニュージーランドに大金星。その後、ラグビー日本代表は破竹の勢いで厳しい1次リーグを勝ち進み、準決勝に進出、悲願のメダル獲得とはならなかったが、4位の好成績を収めた。

大躍進を続ける日本ラグビーは、2015年にイングランドで開催されたラグビーW杯の初戦、強豪・南アフリカ相手に互角以上に渡り合い、逆転トライを決めて劇的な勝利を収めた。その大金星は、日本のみならず、世界を震撼させ「世紀の番狂わせ」と絶賛された。

今回のリオデジャネイロ五輪の7人制ラグビー代表にも多大なる影響を与えたと言われ、その裏の立役者として、一躍、注目を浴びることになったのが、W杯ラグビー代表を“世界で闘える”集団に創り上げていった、メンタルコーチの荒木香織さんだ。

『ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」』(講談社+α新書)の著者でもある荒木さんに、ラグビー日本代表への想いや、一般の人でも応用できるメンタルスキルなどについてお話をお聞きしました。

荒木香織(あらきかおり)
学生時代は短距離陸上選手として、インターハイや国体などに出場後、スポーツ心理学を学び、米ノーザン・アイオワ大学にて修士課程、ノースカロライナ大グリーンズボロー大学で博士課程修了。現在は園田学園女子大学・短期大学教授。エディ−・ジョーンズHCに請われ、ラグビー日本代表のメンタルコーチを務める。著書に、『ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」』(講談社+α新書)。

今回は、心を鍛えるための「メンタルトレーニング」において大切なことについてお話をお伺いしました。

メンタルコーチと呼ばれるのは代表だけ

——荒木さんは、約3年半、W杯が終了するまでラグビー日本代表のメンタルコーチを務めたわけですが、そもそも、メンタルコーチとは、どういうことをするのでしょうか?

誤解されている部分も多いのですが、「メンタルコーチ」という肩書きは、ラグビー日本代表に関わっていたときに使われていた呼び名です。代表チームでは、エディさんはヘッドコーチだし、その下にディフェンスコーチだとか、様々なコーチがいるなかで、私はメンタル面を見るということでメンタルコーチという名前が付いていただけです。

ですから、私は、メンタルコーチが仕事というわけではなく、メンタルトレーニングのコンサルタントとして、これまで活動してきました。

——ということは、メンタルトレーニング・コンサルタントと呼ぶのが正しいのですか?
そうですね。そのように呼ぶことが多いですね。メンタルコーチというと、ビジネス系のコーチングのイメージが強いようです。私の仕事は、コンサルテーション。選手やコーチと密に相談しながら、選手たちに合ったメンタルトレーニングの方法を提案するといったものです。

選手だけでなく、コーチにも提案します。「どういう哲学を持ってコーチングをするのか」など、コーチ自身がしっかりと哲学を持ってチーム作りをしていくためには、どうしていくのがいいのかといったことを提案するのです。選手とコーチ、両方に介入しています。

メンタルトレーニングで大切なこととは!?

——具体的には、どのような感じでメンタルを鍛えていくのでしょうか?

メンタルスキルというツールがいくつかあって、それが、道具箱に入っているといったイメージです。そして、こういう時には、こういうことをしようといった感じで、手法や手段を選手たちに教えてあげればいい。

トレーニングを積むほど、それぞれの選手の道具箱にメンタルスキルというツールの種類が増えてくるわけですが、そうなってくると、今度は、どの道具をどんな時に使うのかを一緒に考えていきます。メンタルスキルというのは、いつでも使うものではないんです。どんな時に、どのスキルを使うのかを予め決めておく。

選手たちは、それぞれに、プラスのドライバーはここ、マイナスのドライバーはここ、みたいな感じで把握しておくようになってくるわけです。そこで、私は、ドライバーそのものを選手たちが得ることができるようにさせてあげた上で、その使い方や、使い時をアドバイスするというのが、メンタルコーチとしての役割です。

こういったメンタルスキルというのは、すべて学術的研究を基本とします。私が思いついたというものでも、私独自のメソッドというわけでもありません。確実に学術的研究において成果があると認められているものを提供します。

だから、何かわからないことが出てきたら、今でも教科書や文献に戻れば、答えがわかる。その繰り返しをしているだけですから、必ず、効果はあると言っていいでしょう。

こういう分野で仕事をしていると、“自称”メンタルコーチに気が付きます。私はそうではないということを強く強調させていただきますが、私の提供する内容には、すべて、科学的な根拠があります。その上で、メンタルなトレーニング、あるいはプログラムを提供している、ということです。

arakikaori2_01
菅平におけるラグビー日本代表の合宿風景(写真提供・荒木香織)

同じ釜の飯を食べることから始まった

——ラグビー日本代表のメンタルコーチをどのくらいの期間、務めたのですか?

全部で4シーズンですね。初めから2015年のW杯が終わるまでということではなく、契約書はありませんでした。だから、いつから始まって、いつ終わったのかというのがハッキリしていないんですよ。

最初にお話があったのは、日本代表のマネージャーさんからでした。突然、電話がかかってきて、「エディーさんがメンタルのコーチできる人を探しているから、ちょっと連絡してみて」と。詳しく聞いてみたら、科学的なバックグラウンドのあるスポーツ心理学の分野の学問をベースに活動している人ということで、私に連絡があったようです。

当時、エディーさんが希望していたのは、学問を基盤としている人で、ラグビーのチームのコンサルテーション経験がある人ということでした。さらに、英語でも日本語でも会話ができる人ということで、その条件に私が当てはまっていたので、面接をすることになりました。たぶん、他にも面接した人がいらっしゃったのではないかと思います。

——そのなかでも、荒木さんは、エディーHCに気に入られて採用になったんですね?

いえいえ。 最初にエディーさんに会ったときには、いちおう、経歴書のようなモノを用意して行って、いろいろなことを質問されて、1時間くらい話しました。最後に、「じゃあ、ありがとう」って言われて終了でした。

それから、すぐにエディーさん本人からメールがありました。「興味があるなら、翌月から菅平で合宿があるので来ませんか?」と。まあ、興味がないワケではないですし、せっかく呼んでくれたのだから、行ってみようと。

そこで3日間の合宿で、練習やミーティングに参加したり、選手やコーチと一緒に食事をしたりと、ずっと一緒に過ごしました。

合宿初参加で提出したレポート

——とにかく、ずっと選手やコーチと過ごすことが最初は肝心なんですね。

そうですね。観察をして、レポートを書くのが私の仕事ですから。何も言われていませんでしたが、3日間、観察を続けて、ノートに思ったこと、気づいたことを書き留めていました。

案の定、合宿が終わった段階で「レポートを出してください」とエディーさんに言われたので、「あ、きたきた!」と。それで、早速レポートを書いて提出したら、翌日にすぐメールがきて、「明日、東京に来てください」と。再び、東京へ向かい、エディーさんと会いました。

レポート内容を読んでくれていたようで、エディーさんは、「ここに書いてあることは、僕も納得できるものだし、この内容すべてを強化する必要がある」と言ってくださったんですね。

その日から、エディーさんと頻繁にメールのやり取りをするようになったのですが、今思えば、私がラグビー日本代表のメンタルコーチとして、本格的に始動することになったのは、このあたりからだったと思います。

arakikaori2_02

今でも信頼され続けるメンタルコーチ

ちなみに、いちおう、メンタルコーチとしては、W杯終了と同時に終わっているハズなのですが、いつ終わったのかと言われるとハッキリしていないんですよ。今でも選手からは頻繁に連絡がきたりしますし、たまに会ったりもします。エディーさんともメールでやりとりしていますしね。

——やっぱり、それだけ選手からもコーチからも信頼されているということですね。次のW杯も、という話があったりはしないんですか?

信頼されているとか、そんなことないですよ。大したことはしていません。ただ、よくみんなから連絡がきますけどね。

次のW杯も、といったことは考えていません。私はエディーさんに呼ばれて参加したスタッフであって、ラグビー協会からの要請があったというわけではないですから。実際、そういった話もないです。

これまで、チームや個人にかかわらず、いろんなスポーツでコンサルティングの仕事をしてきましたので、ずっとラグビーだけということではないですね。ただ、ラグビーは好きなスポーツです。

エディーさんは、どこの国であっても、自分がヘッドコーチを務めるチームには必ずメンタルコーチを付けていたので、日本代表でも導入したいということになったようです。ラグビー日本代表では、メンタルコーチを配属したのは、初めてのことだったようですし、今後の代表のヘッドコーチの考え方によって、変わってくるのではないかと思いますね。もちろん、話があったら、その時に考えます。

この記事をシェア

  • Twitter
  • Facebook
  • Line
  • Hatena
  • Pocket

関連記事

痛くない虫歯は要注意!放置するリスクとは?【歯科医監修】

  • Column

痛くない虫歯は要注意!放置するリスクとは?【歯科医監修】

歯が痛いときの応急処置…正露丸は効くの?【歯科医監修】

  • Column

歯が痛いときの応急処置…正露丸は効くの?【歯科医監修】

飲めば健康増進!代謝UPにつながる紅茶パワー【磯淵猛さんインタビューVol.3】

  • Column
  • Special

飲めば健康増進!代謝UPにつながる紅茶パワー【磯淵猛さんイン ...

サッカー元日本代表・鈴木啓太「子どもたちからエネルギーをもらう」

  • Column
  • Relaxation

サッカー元日本代表・鈴木啓太「子どもたちからエネルギーをも ...

肩こりを解消するならキャンディ・ストレッチ

  • Column
  • Relaxation

肩こりを解消するならキャンディ・ストレッチ

新着記事

肉とビールをやめずになぜ痩せた?「肉とビールでダイエット!?ナイト supported by Rhythm」開催レポート【前編】

  • Beauty
  • Exercise
  • Food

肉とビールをやめずになぜ痩せた?「肉とビールでダイエット!?ナイト supported by Rhythm」開催レポート【前編】

体重20kg増の過去…肉ダイエットに辿り着くまで【長谷川香枝さんインタビューVol.1】

  • Column
  • Special

体重20kg増の過去…肉ダイエットに辿り着くまで【長谷川香枝さんインタビューVol.1】

最大30%OFF!キャンペーン第5弾は「新生活(新入学・就職)」がテーマ

  • Campaign

最大30%OFF!キャンペーン第5弾は「新生活(新入学・就職)」がテーマ

サプリでストレス解消するには?ストレス解消の成分をご紹介!【医師監修】

  • Relaxation

サプリでストレス解消するには?ストレス解消の成分をご紹介!【医師監修】

目的別!有酸素運動と筋トレの順番【医師監修】

  • Exercise

目的別!有酸素運動と筋トレの順番【医師監修】

おすすめの記事

意外と知らない?体幹トレーニングの効果・メリット

  • Exercise

意外と知らない?体幹トレーニングの効果・メリット

お風呂で出来る!基礎代謝アップに役立つ”筋トレ運動”

  • Exercise

お風呂で出来る!基礎代謝アップに役立つ”筋トレ運動”

温活飲み物!体温を上げる飲み物11選、下げる飲み物5選

  • Food

温活飲み物!体温を上げる飲み物11選、下げる飲み物5選

その吐き気の原因は…?冷え性と吐き気の意外な関係

  • Relaxation

その吐き気の原因は…?冷え性と吐き気の意外な関係

電動歯ブラシに向いた歯磨き粉のおすすめをチェック!【歯科医監修】

  • Column

電動歯ブラシに向いた歯磨き粉のおすすめをチェック!【歯科医監修】

PAGE TOP

PAGE TOP

閉じる