ひざや肩などが急に痛くなったりする関節痛ですが、その原因や症状はさまざまです。
このくらいは大丈夫…と思っていても、放っておくと治りにくくなってしまうものもあります。関節痛の主な原因はいくつかあるので対策と一緒に紹介します。
老化にともなって関節の軟骨がすり減って炎症を起こしますが、もっとも多いのがひざに症状が現れる変形性膝関節症です。
特に肥満気味や運動不足の方に多いといわれています。体重が多ければそれだけひざにかかる負担が増え、運動不足でも筋肉が衰えて関節の負担が増えるからです。
対策のポイントは、関節に負担をかけないことと、運動して筋肉をつけること。具体的には体重を減らしたり、モンキーウォーク(ひざを軽く曲げてゆっくり歩く)をすると、ひざの筋力が強くなります。いずれも無理をせず少しずつはじめてみてください。
この病気の原因はまだ不明というのが現状です。免疫が異常を起こし、関節に症状が出ると関節リウマチとなります。
初期症状としては、朝起きたときに手足の指がこわばったり腫れたりします。微熱や倦怠感など他の症状も現れます。この病気は男性よりも女性の発症が比較的多いですが、年齢も若い人から50代といった幅広い範囲で発症します。
一番の対策は、「早期発見」です。なぜならこの病気は発症してすぐに悪化する傾向があるからです。早期に発見し治療するためにも、疑われる症状が出たら自己判断せずに専門医にかかりましょう。
一般的には「五十肩」と呼ばれ、肩の関節やまわりの組織が炎症を起こして痛みます。痛みだけでなく肩の関節がだんだん動かなくなっていき、はっきりした原因がないのが五十肩の特徴です。
症状は大きく急性期・慢性期・回復期の3段階にわかれます。急性期は痛みが強く、特に夜激しく痛みます。対策としては痛み止めなどを使って炎症を抑えます。
慢性期になると痛みが軽減しますが、肩を持ち上げられなくなったり、動きに制限がでます。この時期の対策は、痛みが強く出ないように気をつけながら肩を動かしていくことです。
また、肩を冷やさないようにしましょう。お風呂でゆっくりあたためるのもおすすめです。
回復期になると徐々に肩を動かすことができるようになります。この時期はリハビリが大切です。リハビリの方法については整形外科など専門機関に相談しましょう。
スポーツで関節痛が起こることがあります。一番多いのはひざ関節で、症状としては半月板(ひざの骨の間にある軟骨)を損傷したり、じん帯が断裂したりします。
スポーツをはじめるときに、準備運動(ストレッチ)を行う、ひざに負担がかかりにくいクッション性のよい靴を選ぶ、いきなり無理をせずゆっくりはじめるといったことに注意して、関節を痛めないようにしましょう。
痛風は血液中の尿酸値が高くなり、足の指やひざなどが痛くなる関節炎です。男性に多く発症し、40代前後で特に肥満気味だったり、アルコール好きな方がかかりやすい傾向にあります。
尿酸の結晶が関節で起こす炎症で、尿酸値が7.0mg/dL以上だと痛風になる可能性があります。症状としては激しい痛み・腫れ・熱をともなった発作が起こります。
発作はだいたい24時間以内にピークとなり、1週間から10日後には自然におさまります。対策としては発作時に非ステロイド性抗炎症薬で痛みを抑えるなどの投薬方法もありますが、生活習慣の改善が大切です。
具体的には、アルコールを控えて野菜中心のバランスのよい食事をとる、適度に運動して肥満を防ぐ、ストレスを溜めないなどがあります。
また、痛風を発症すると同時に尿路結石や心疾患などを併発していることもあるので、発作が現れたら早めに医療機関に相談してください。
化膿性関節炎では、黄色ブドウ球菌、連鎖(れんさ)球菌、肺炎球菌といった細菌が関節に入り込んで炎症を起こします。どの関節でも起こる可能性がありますが、ひざ関節で発症することが多いようです。
症状としては、関節が赤く腫れて熱を持ったり、悪寒・倦怠感などが現れたりします。
化膿性関節炎は早期の発見・治療が大切です。放置して進行すると骨や軟骨が破壊され変形してしまうのです。治療は関節を固定して抗生物質などの点滴を行います。
関節にうみが溜まってしまった場合は注射器で吸引し、さらに手術を行う場合もあります。細菌の感染による炎症なので、症状が出たら至急医療機関にかかってください。
風邪による関節痛は、ウイルスや細菌が原因ではありません。ウイルスや細菌が体内に侵入すると白血球から身体を守る物質が分泌されます。
これは身体の免疫細胞がウイルスと闘っているからですが、あまりに過剰に分泌されると臓器が機能不全になる恐れがあり、今度はそれを抑制する物質が分泌されます。
その抑制物質が関節の痛みや熱を引き起こすのです。風邪の症状が治っても関節の痛みだけが残る場合は、膠原病(こうげんびょう)の可能性もあります。2週間以上長く痛みが続く場合は、早めに医療機関にかかってください。
文:編集部ライター M.S