大手広告代理店などを経て独立後、マーケティングコンサルティング会社「レヴォレーター」の代表取締役となった板谷俊明さん。
現在は「OUTDOOR for EVERYONE!」をテーマに、ハードルを低くすることでアウトドアを多くの人々に楽しんでもらうための活動を積極的に行っている。情報サイト「PAPA PRESENTS」を核にして、アウトドアの基本が学べるサイト「ソナエル.tv」や、アウトドアを通じて子育てをする「ソトイク.jp」、日本最大級のキャンピングカーレンタルサイト「CAMP IN CAR」なども展開するアウトドアマスターである板谷さんに、アウトドアやキャンプの魅力などについてのお話や、初心者がキャンプを楽しむためのアドバイスなどを伺いました。
第4回は、キャンプでのたき火の楽しみ方についてアドバイスしていただきます。
画像出典:ソトイク.jp
——初心者がキャンプで苦労するのは、何といっても炭の火起こしだと思いますが、うまくやれるコツなどあるのでしょうか?
多くの人にとって、大きく立ちはだかる壁が炭の火起こしですよね。着火剤を燃やして炭に火をつけようとしても、なかなか炭全体に火が回らないので、必死にうちわであおいだりして悪戦苦闘。30分経ってもバーベキューが始められないなんていうこともあります。
炭の火起こしには、いろいろな方法があるので迷うところですが、私がいつも使っているのは、チャコールスターター(チャコスタ)と呼ばれる、炭の火起こし器を使う方法です。筒状になっているので、たき火台の上にチャコスタを置いて、一番下に着火剤用の燃えやすい炭を、その上に備長炭など長持ちする炭を入れて、底から着火するだけ。
着火剤が燃えだしたら、あとは放っておけば煙突効果で空気が自然に循環するので、10分もすれば炭全体に火が行き渡って、まっ赤に燃え上がります。着火剤に火をつけてしまえば、あとはそのまま放置しておけばいいので、その間に料理の準備をすることもできます。
火起こしに30~40分も時間を費やすというのは、本当にもったいないですから、ぜひ、チャコスタを使っていただきたい。キャンプとまではいかなくても、バーベキューはよくやるという人であれば、高価なモノではないので、ひとつ持っておくといいと思います。
——キャンプといえばバーベキューですが、他に何かオススメのアウトドア料理はありますか?
私がオススメしたいのは、ダッチオーブンを使った料理です。ダッチオーブンは女性が扱うにはかなり重いので、ぜひ、「男性が豪快なアウトドア料理を振る舞って見せ場を作る」という意味でもオススメしたいですね。
ダッチオーブンは、炭火の上に置いて、フタの上にも炭を置きます。上下から炭火で熱するので、短時間で料理ができます。あまり料理をしたことがなく、細かい作業は苦手という男性も多いでしょう。そんな人でもダッチオーブンなら、豪快に食材をぶち込んで、簡単においしい料理ができるというのがいい。だいたい、どこのキャンプ場でもレンタルできるので、キャンプに行った時は、ぜひ、チャレンジしていただきたいですね。
——ダッチオーブンを使った料理でオススメなのはどんなものですか?
私がオススメしたいのは、鶏の丸焼きですね。鶏まるごと一羽分ですから、見た目も豪華だし、メイン料理として気分も高まります。
作り方は、とても簡単です。丸鶏に塩とコショウ、それにチューブ入りおろしニンニクをマッサージするように揉み込んで馴染ませる。ちょっと多めかなと思うくらいの量をしっかり揉み込んでおくと、ちょうどいいと思います。表面だけでなく、お腹の中にもしっかり揉み込んでください。
次に、お尻の穴から、冷凍食品のピラフをお腹の中に詰め込んでいき、詰め終わったらご飯が漏れ出さないように、竹串で閉じます。
これだけでもいいのですが、さらに味をワンランクアップさせてくれるのが、シーズニングです。私はマコーミックの「ガーリックペパーシーズニング」をいつも使っていますが、最後にこれを全体に振りかけると、薄い衣がつく感じに焼き上がって、カリッとした表面になるのでオススメです。
あとは、先ほど言ったように炭火の上にダッチオーブンを置いて、フタの上にも炭を置き、30分ほどそのままにしておけば、うまく焼き上がります。
ダッチオーブンで焼いた、板谷さんオススメのアウトドア料理「鶏の丸焼き」
鶏の丸焼きができるまで、炭火の網の空いているスペースでバーベキューをしながら待つというのが一番、楽しい雰囲気になっていいんじゃないかと思います。
他にダッチオーブン料理としてよく作るのはチャーシュー、チリビーンズなど。バゲットなども用意しておいて、チリビーンズを付けて食べると、ワインに合いますよ。
——炭火を使った料理が終わったら、いよいよたき火タイムでしょうか?
そうですね。残っている炭の上に薪を入れていくだけで、すぐに燃えますから。たき火台をバーベキュー台として使えば、そのままたき火に移行できるので、やはりいいですよね。
ファミリーキャンプの場合は、ここからが大人の時間。極上のリラックスタイムといっていいでしょう。普段から、どんなに仲が良い友だち同士でも、日本人は目と目を合わせて話をすることが苦手な人も多い。けれども、たき火を囲んでいると、みんなの視線がたき火に行きます。
火をぼんやりと眺めながら話していると、フワッとした優しい炎に包まれるような感じがして、時間を忘れて素直な会話ができる。こういった、たき火の心地よさ、楽しさは何ものにも代えがたい魅力。最高に贅沢な時間だと思います。
——たき火タイムでオススメのお酒などありますか?
それぞれにお酒の好みはあると思いますが、寒い時期には、ホットウイスキーをオススメしたいと思います。あと、意外な組み合わせとして、熱燗ではなく、日本酒のお湯割りっていうのもけっこうおいしいんですよ。
ウイスキーだったら、こだわりのモノを持参してもいいのですが、気軽に手に入るウイスキーでも充分。私は白州をよく飲んでいます。日本酒は、お湯割りにする場合は安いものでいいと思います。
女性に喜ばれるのが、ウイスキーを温めたストレートティーで割るというもの。ウイスキーのホット紅茶割りですよね。寒い時期には、ペットボトルの紅茶を持っていって、よく振る舞います。
——たき火タイムのおつまみなどは?
やはり、たき火で炙りながら食べるというのがいいんじゃないでしょうか。子どもがたき火で必ずマシュマロを炙って食べますが、大人は大人用のおつまみを炙って食べると楽しいですよね。
オススメしたいのは、ソーセージ。高級なものでなくても、たき火で炙りながら食べるとおいしくなります。パチパチと音をたてて焼けていく様子を眺めながら、良い具合に焼き上がったところでハフハフしながら食べるのがたまりません。
——仲間と一緒にお酒を飲みつつ、ひと晩、ゆったりと過ごすなんて、そうそうできることではないですよね。
だからこそ、本当に贅沢な時間になると思うんですよ。特にファミリーキャンプの時などは、子どもたちが寝たあとの親同士の会話が最高に盛り上がります。仕事に追われて忙しく、会話も少なくなりがちな夫婦でも、普段ではできない会話をしたりするようになりますね。
男同士だと、意外と仕事の話をすることもあります。普段、飲み会で集まった時は、仕事の話はほとんどしません。ところが、時間を気にせず深い話ができるので、「今、どんな仕事してんの?」といった濃い話をすることもありますね。
画像出典:ソトイク.jp
そうやって、普段できない会話を時間を気にせずにすることで、自分も明日から頑張ろうとリフレッシュしたり、日常生活で溜まったストレスを一度、リセットすることができるのがたき火の素晴らしいところだと思います。アウトドアやキャンプにはいろいろな楽しみ方がありますが、やっぱり、キャンプの醍醐味はたき火にあるといっていいでしょう!
取材・文 : 國尾一樹
画像提供 : ソトイク.jp / PAPA PRESENTS