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山あり谷ありの9年間を経て、米国認定アスレティックトレーナーに【一原克裕さんインタビュー前編】

山あり谷ありの9年間を経て、米国認定アスレティックトレーナーに【一原克裕さんインタビュー前編】

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山あり谷ありの9年間を経て、米国認定アスレティックトレーナーに【一原克裕さんインタビュー前編】

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今後の日本のアスレティックトレーナー界を率いるべく、精力的に活動している一原克裕さん。今に至るまでの道のりは紆余曲折の連続でしたが、すべての時間を、夢の実現のために、大切に、熱意を注いで歩んでこられています。

前編では、アスレティックトレーナーに興味を抱きはじめた高校生の頃から、アメリカで資格を取るまでの9年間にわたるストーリーをお送りします。

一原 克裕(いちはら・かつひろ)
ALIGNE 代表
米国認定アスレティックトレーナー
早稲田大学アメリカンフットボール部にて、学生トレーナーとして活動。その後、資格取得のために渡米。ハワイ大学大学院に入学するも、学校側の事情でマサチューセッツ州にあるブリッジウォーター州立大学大学院に編入。同校在学時に、MLBマリナーズをはじめ、NFLやMLS球団で学生インターンを経験。米国認定アスレティックトレーナーの資格取得後は、プロアメフト独立リーグやMLBマリナーズにて、アスレティックトレーナーとして活躍。
2015年に帰国し、ALIGNEを立ち上げ、パーソナルトレー二ング・スポーツ関連留学サポート・スポーツ医学コンサルティング事業等を行う。また、NPO法人スポーツセーフティージャパンに所属し、スポーツ現場の安全環境整備の普及にも尽力している。

プレーヤーからトレーナーへの転身のきっかけ

―一原さんがトレーナーに興味をもったのは高校生のときだそうですね。それまでずっと野球を続けてきた一原さんの心が、プレーヤーからトレーナーに傾いたきっかけはなんだったのでしょうか。

高校までで、自分の野球の能力や資質がわかったのが大きいです。ケガが多く、近所の接骨院でハリを打ってもらったりテーピングを巻いてもらったりしながらやっと続けている状態だったので、プレーヤーとしてはもう限界だなと思っていました。

トレーナーという仕事を知ったのもちょうどその頃でした。プロ野球選手に付いて活躍している筑波大出身の有名なトレーナーの存在を知ったのです。また、通っていた接骨院の先生も同じく筑波大出身だったこともあり、トレーナーという仕事に強い興味を抱きました。進学にあたり、僕も筑波大でトレーナーの勉強をしたいと2度受験に挑戦しましたが、結局その夢は叶わず、早稲田大学に進学しました。

―早稲田大学で、アメリカンフットボール部にトレーナーとして入部したことが、一原さんのトレーナー人生のスタートだそうですね。

実は、僕が入学した学部は、トレーナーの勉強ができる学部ではありませんでした。それで、現場で実践を通じて学びを得ようと、学生トレーナーが活動している部活をいくつも見学しました。

アメフト部を選んだのは、学生トレーナーにもアスレティックトレーナーとストレングストレーナーが設けられているなどシステムがしっかりと確立されており、僕がイメージしていたトレーナー像に近い活動ができそうだと思ったからです。またこれは入部してからわかったのですが、ヘッドアスレティックトレーナーに、日本で最初に米国公認アスレティックトレーナーの資格を取られた鹿倉二郎氏がいらっしゃったのです。結果的にも、そこには学生アスレティックトレーナーとして活動するのに、理想的な環境が整っていました。

トレーナーとしての基礎と心構えを学んだ早稲田大学アメフト部

―学生トレーナーとしての4年間の活動の中で、最も印象深かったこと、記憶に残っていることはどんなことですか。

4年間、週1日のオフ以外はずっとグラウンドにいる生活。ざっと計算しても4500~5000時間くらいは、トレーナーという役割に時間を注いでいました。

選手とは同じ学生同士ですが、ある程度線引きした意識を持っていないと、トレーナーとしての役は全うできません。選手が本気でやっているからこそ、トレーナーもそれと同じレベルでどれだけのことがチームにできるかを考えなければならない。常に、あなたには何ができるのか、ということを考えさせられる環境がそこにはありましたし、僕自身もより意識的にそれを考えていました。

4年生になり、自分がトレーナーとしてチームを率いていく立場になったとき、ある選手が首にケガを負い、試合には出場させられないという状況に陥ってしまいました。僕はトレーナーとしてそれを選手に伝えますが、選手本人は何が何でも出場したいの一点張り。いつまでたっても話は平行線のままなので、結局僕は社会人トレーナーやコーチにも話をして、最終的にその選手が無理に試合に出てしまわないように対応しました。

それを知った選手からは、「お前のせいで俺の4年間はすべて水の泡になった」と言われました。もちろん僕もその選手の気持ちは痛いほどわかります。でも、トレーナーという立場としてはそうせざるを得なかったし、それが正しい判断だと確信していました。

まだそこまでの知識や経験がないからこそ、何の迷いもなく、熱い思いだけで活動していました。今思えば、過去、トレーナーとして一番自信を持って自分の役回りを果たしていたのは、大学時代だったなと思います。

―アメフト部での充実した4年間を経て、プロのトレーナーになることを決意した一原さん。その後の進路としてアメリカ留学という道を選択したそうですが、どんな経緯でそこに至ったのですか。

プロのトレーナーになるための道にも選択肢はいろいろあったのですが、アメリカ留学を決めたきっかけになったのが、高校のラグビー部で臨時トレーナーをしたときでした。

久しぶりに高校のスポーツ現場というものに触れたときに僕が目の当たりにしたのは、トレーナーがおらず、ケガをした選手をケアしたり段階的に競技復帰させる仕組みがないという現実。自分の高校時代とまったく状況が変わっていなかったのです。僕が大学で見てきた充実したメディカル体制があるスポーツ現場のすぐ近くに、まだこうした現実があることに疑問を抱いた僕は、この状況をどうにかしたい、トレーナーとして日本のスポーツ現場の安全環境整備を進めたいと思いました。

そうした中、ハワイ州が条例ですべての高校にアスレティックトレーナーを配置しているということを知り、その歴史や全容を解明すればその知識がいつかきっと役に立つだろうと思ったのです。そんなシンプルな理由で、早稲田大学卒業後、ハワイ大学大学院への留学を決めました。

しかしその後、学校側の事情でプログラムが消失することになり、半数のクラスメイトとともに、マサチューセッツ州にあるブリッジウォーター州立大学の大学院に編入するという事態に。

渡米は英語が満足にできないところからのスタートでしたので、本当に山あり谷ありで大変でしたが、結局、3年間かけて大学院を卒業し、米国認定アスレティックトレーナーの資格を取得しました。


大学4年生時の試合で、一原さんが出場を止めた選手からは、後に改めて、「あのときの、お前の立場における俺への判断は正しかった」と、感謝の言葉をもらったそうです。本気と本気がぶつかり合った戦いの末のエピソードに、心が熱くなりました。
後編では、一原さんのその後のストーリーと、現在の活動についてのお話をお届けします。

 

<NPO法人スポーツセーフティージャパンのイベントのお知らせ>

第5回 スポーツセーフティーシンポジウム
『Beat the Heat』〜スポーツ中の熱中症死亡事故ゼロを目指して〜
日時:2018年11月24日(土)
場所:早稲田大学国際会議場 井深大記念ホール
時間:10:00~17:00
参加費:5,000円(学生3,000円)

スポーツにおける熱中症をクローズアップ。ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックと世界大会が行われる日本でどのような対策が必要か、熱中症に関する最新情報と経験談などを元にスポーツ現場に関わるすべての方と一緒に考えるイベントです。

申し込みはこちらから>> https://kokucheese.com/s/event/index/534076/

<撮影協力:シェアワークアウトスペースTHE PERSON>

都内に15店舗レンタルジムの提携店を抱え、フリーランスのトレーナー、スポットで場所を借りたいトレーナー約150名が登録。そのほか、都内100店舗以上のパーソナルジムと提携し、トレーナーがクライアントの希望にあった場所でトレーニングを提供できるようになることで、ユーザーがトレーニングを継続するハードルを下げ、トレーニングをもっと身近にすることを目指しています。利用したいトレーナーまた店舗を提供したいジムオーナーの方はこちらからお問い合わせください。 http://www.the-person.com/

写真:中村年孝
取材・文:鈴木友紀

『目指しているのは、日本のスポーツ現場の安全環境整備と、トレーナーの働き方改革【一原克裕さんインタビュー後編】』に続く )

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