腸内環境を整えるための食事、というと難しそうに聞こえますが、加勢田さんが教えてくれたのは、本当に簡単な方法でした。何に気をつけて、どんな工夫をすればいいのか、具体的なメニューとともに紹介してくださいました。早速チェックしてみましょう。
加勢田 千尋(かせだ・ちひろ)
CHO-JIN普及委員会代表
管理栄養士
大学卒業後、企業やクリニックなどで、乳幼児から大人まで3000人以上の栄養相談を行う。腸内環境を整える食事法と出合い、4ヶ月で10kgの減量に成功。同時に、長年悩んできたアレルギーや、風邪をひきやすい体質も改善。その経験を多くの人に伝えようと、独立してCHO-JIN普及委員会を立ち上げ、腸の専門家として幅広く活躍中。
http://cho-jin-school.jp/
(前編:『4ヶ月で10kg減! 同時に長年の悩みも解決!腸内環境を整えると、人生が劇的に変わる【加勢田千尋さんインタビュー前編】』より続く)
—腸内環境を整えるのに、日本の発酵食がいいというお話でしたが、具体的に何か、おすすめの料理を教えていただけますか。
私は、管理栄養士でありながら、面倒くさがりな性格で、料理はできるだけシンプルに済ませたいタイプ。そんな私でもハマッてしまったのが、秋田県、山形県、福島県など、東北地方に古くから伝わる郷土料理の、三五八漬けです。
その名の通り、塩と麹と米を3:5:8の割合で混ぜた漬け床に、野菜、肉、魚、卵や豆腐など、さまざまな食材を漬け込みます。それだけで、発酵の力によって食材のうまみが増し、グッとおいしくなるのです。味は、塩麹よりも麹の甘みが強い感じ。またこの漬け床は、調味料として、スープなどの味付けにも使うことができます。
—それはおいしそうですね! その他にも何か、腸内環境を整えるための食事の摂り方のコツはありますか。
腸内に、多様な細菌がバランスよく存在している状態が理想的なのですが、それには、腸内細菌のエサとなる食物繊維をしっかり摂ることも重要です。私は、1食につき両手一杯分の野菜を摂ることをおすすめしています。結構な量に思えるかもしれませんが、例えば、具沢山の味噌汁にすれば、かさも減って食べやすいですし、発酵調味料の味噌と野菜の食物繊維を一緒に摂れるので、一石二鳥ですよ。
—味噌汁なら簡単に作れますし、飽きずに食べられるので、長く続けられそうですね。
腸内環境を整えるための食事の目標は、1食につき1つの発酵食を取り入れること。日本にはさまざまな発酵調味料がありますから、それらを活用すればいいのです。その際に、質の良い商品を選んで使うことも、大事なポイントだと私は思っています。ですから講座では、私自身が生産者の元へ足を運び、納得して選んだものだけを紹介しています。
食事は毎日のこと。あらゆる食材の質にこだわることができればそれに越したことはありませんが、なかなかそうもいきませんよね。腸内環境を整えれば、悪いものは身体が自然に出してくれます。ですから私は、的を絞って、調味料にこだわることをおすすめしているのです。
—加勢田さんは今後、ご自身の活動において、どんな夢や展望を描いていらっしゃいますか。
腸内環境を整える食事法は、夢や理想をかなえるための手段の1つ。特別なことではありませんが、積み重ねが大切です。ですから、私の食育学校には卒業がありません。誰もが学び続けられる仕組みづくりを目指しています。
その進化形として今思い描いているのが、山里の村にある廃校を買い取って、人々が集い、学びあえる場をつくること。大人のためのリアルな学校を作りたいのです。できれば、2年後には実現していたい。そのためにこれからは、私と同じ目線で、一緒に思いを伝えてくれる人を増やしていきたいと思っています。
そして、40歳を過ぎたら、また何か、全く違う新しいことにも挑戦したいですね。
—え~っそうなんですか。それにしても、加勢田さんの自由で前向きな発想力、行動力はすごいと思います。
直感の赴くままに動いてしまうタイプなんです。
昔の私は、人と話すのが苦手で、落ち込みやすく、ひきこもりがちでした。そんな時代を知っている友人からは、今の私は別人のようだと大変驚かれます。
今、私は、人生で初めて、楽しいと思える日々を過ごしています。食事を変えただけで、こんな毎日が手に入ったのです。
腸内環境を整える食事に出合えたこと、またそれによって、たくさんのステキな人々に出会えたことに、心から感謝しています。
加勢田さんの口から飛び出した大きな夢、とっても印象的でした。
腸内環境を整えることは、体質改善に留まらないということが、加勢田さんを見ていてすごくよく分かりました。
ぜひみなさんも、これを機会に、自身の腸内環境改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。人生が変わるかも知れませんよ。
文:鈴木友紀