こんにちは、理学療法士の今井俊太です。今月はいよいよ母の日ですね。みなさんは何か贈りますでしょうか?私の実家は少々離れていますので、直接渡すのは難しいですが、何かしら送ろうか送らないか考えております。そういえば、母の日に何か送ったことあっただろうか?特別、覚えていませんが遠くの母に届けという想いで、書いていこうと思います。
今回お伝えしますのは、母の日に便乗しまして、母の日ギフトのヨガポーズをお送りしたいと思います。なぜヨガなのか?それはいつまでも、「キレイで若い母でいてほしい」という、ほぼ当てつけのような理由です。冗談はさておき、実はヨガを調べてみると色々と面白いことがわかってきます。
私たち理学療法士がリハビリテーションを行う上で、“運動療法”というものを活用しますが、実はこの中にヨガのポーズを利用?模倣?したものも多く、その効果に驚くことがあります。
最近では多くの研究が行われ、実はエビデンスが高い方法でもあります。最近記憶に新しいのは、米ボストン大学医学部准教授のRobert Saper氏らの研究で腰痛に対するヨガの効果は理学療法に匹敵する(参考文献:1)という内容の研究が出されました。
この他、厚生労働省運営のHP『統合医療情報発信サイト』でも、ストレスを緩和し、心拍数や血圧を下げ、不安やうつ症状、不眠を和らげ、全体的な体調、体力、柔軟性を向上させる効果があることが示されています。
今回は、その辺りはさておき、日頃の疲れを癒すため、そしていつまでもキレイで若々しくいるための贈り物として、オススメのポーズをご紹介しようと思います。
そもそも贈り物で、ヨガってなぜ?と、思われているかと思います。また、キレイで若くいて欲しいなら、「エステのチケットでも送れ」と言われるかもしれません。その意見もごもっともです。
ただ私は理学療法士ですから、何もせずに健康が手に入るとは思っていませんし、ましてや“美”も他人任せでは手に入るものではないと思っています。
ある意味では、無理矢理なこじつけではありますが、健康の基本は運動です。それも一時的なものではなく、長期的に続けられる運動が必要なのです。ただ、ヨガと聞くと「体が硬いとできない」「あんなポーズ取れない」など激しい運動イメージが未だにあります。
もちろん正しいポーズをとることもある意味では必要ですが、本来の目的は呼吸にあると思います。呼吸の運動は全身運動であり、運動に必要な最低限のインナーマッスルを活用するにも関わらず、体育の授業で呼吸だけを練習したことはないと思います。
それはなぜか?呼吸運動を獲得するのに苦労は必要ないからです。そして普段から無意識に行っているためです。その無意識に行っている呼吸方法が間違ったやり方であればどうでしょう?どんなに優れた運動も、半減ないし逆効果になることもあります。だからこそ、改めていま見直す必要があります。
誰しも母親から生まれ、最初に行う運動が呼吸であるように、母の日のギフトとしてヨガを送り、お母さんたちに新しい健康の“産声”をプレゼントできたらと思います。
さて、実際にヨガを行なっていきましょう。今回お伝えするのは3つだけです。おそらく、私の母も3つくらいだったらやってくれるだろう、という思いを込めました。
1,呼吸を行なっていきましょう。
・ 座り方は自由です。あぐらがやりやすい人は胡座で、脚を組んで坐禅スタイルでもいいです。
・ まずは、体をできるだけ脱力して、前に倒れましょう。床に手をついてもよし、膝に手をついてもよしです。頭を垂れさげ、完全に脱力しながら息をできるだけはきます。
・ これでもかというくらいはいたら、鼻からゆっくり息を吸い込みましょう。この時、息を吸うのと同時に体が少し起き上がるのを感じて、それに合わせて少しだけ体を起こします。
・ この吸って吐いてを繰り返して、徐々に体を起こしていきます。あくまでも、吸った息で起き上がるように、ゆっくりと回数を重ねましょう。
2,呼吸に合わせて少し動いてみましょう。
・ 1,の続きで行いましょう。胸の前で合掌し、手を前に押し出しながら、背骨を丸めて息を吐きます。
・ その手を今度は その手を天井に、向けながら上に伸び、息を吸います。
・ この二つの動作を、繰り返し3回行いましょう。
3,最後に少し捻りを加えます。
・ 2に続けて行いましょう。
・ あぐらを解いて、写真のように足を組みます。足を組み替えるので、どちらからでも大丈夫です。
・ 足が組めたら、合掌してゆっくりと、足を立てた方に息を吐きながら捻っていきます。写真では、手を合掌していませんが、今回は合掌しながら行いましょう。
・ 元に戻るときに、息を吸いながら戻します。これを3回繰り返します。
・ 足を組み替えて、
・ 同じように捻りながら吐いて、吸って戻します。
3までの運動が終わったら、ゆっくりと深呼吸を行い、体の変化に意識を向けましょう。体重のかかる位置、呼吸のしやすさ、開放感などを感じましょう。
この運動を毎日行い、1日1日のスタートに“産声”をあげましょう。
<参考文献>
1)Yoga, Physical Therapy, or Education for Chronic Low Back Pain: A Randomized Noninferiority Trial.Ann Intern Med. 2017 Jul 18;167(2):85-94.
文:リズムアンバサダー 今井俊太
写真提供:今井俊太