こんにちは、理学療法士の今井俊太です。突然ですが、皆さん健康診断は定期的に受けていますか?おそらくほとんどの方は、会社で実施される年一回の健康診断のみのことが多いことでしょう。中には、人間ドックを受ける方もいると思います。
最近では、使用される機器も高度化され検査で見つかる病気の精度も高くなってきました。本音を言えば、もっと別の部分の検査も増えて欲しいと願うばかりです。
例えば歯科ドックや次世代シーケンサーによる遺伝子検査や腸内フローラ検査、IgG(遅延型アレルギー)検査などなど、まだ保険適用になっておらず高額な検査ではありますが、より日々の生活に直結した内容がわかる検査が必要です。
正直、健康診断で一体何を見ればいいのかわかりますか?個人的に問題だなと思う部分は、健康診断書に書かれている検査名が医学用語が多用されすぎている点にあります。正直、CRPだのAlb、AST、ALTなんて書かれてもよくわかりませんよね。ほとんどルー語に見えてしまいます。
その問題はさておき、わからないままにせず、調べることもしましょう。
よく、健康診断の前日には、飲食などを制限されることがあります。検査によっては、前日の状態を表さず2週間や1ヶ月前の状況を反映する検査数値もあります。
例えば、γ-GTPと聞くと、お酒を飲む方は毎回肝を冷やしていることでしょう。ただし、肝臓の状態を表すデータはこれだけではありません。総蛋白(トータルプロテイン)やアルブミン(Alb)、AST、ALT、コリンエステラーゼ、もっと言えば赤血球やヘモグロビンの値にも影響を及ぼします。
γ-GTPの数値が問題ないからといって安心するのはまだ早いということです。また、現状では問題のない数字でも、次の日に検査すると異常値をきたすこともあります。
つまり、検査はかなり流動的ですので、年に一回の健康診断ではあまり予防にはなりません。日頃から気をつけていないと意味がないでしょう。ぜひ、健康診断があるからという理由で自制するのではなく、日頃からちょくちょく注意しておきましょう。
結論から言いますと、過度な運動はやめましょう。たまに、1週間後の健康診断に向けて急激に運動を始める方がいますが、むしろこの方が数値を悪くすることがあります。また、1週間程度では何も変わりません。
学生の頃の定期テストと一緒で、一夜漬けで覚えた知識は、すぐに忘れてしまいますよね。たとえ検査の瞬間に結果が良かったとしても、それは瞬間最大風速的な健康ですので、思わぬ病気にかかる原因にもなるでしょう。
ちなみに、過度な運動が影響を受ける血液検査の項目は下記の通りです。
・CK(CPK):クレアチンキナーゼの略ですが、筋肉のエネルギー代謝に関わるものです。男性では40~200IU/l、女性では30〜120IU/lが基準値となります。これが高値を示す場合には、心筋や脳に問題がある可能性があります。ただし、激しい運動を行うと筋の炎症によって高値を示す場合があります。
・AST(GOT)ALT(GPT):どちらも肝臓に含まれる酵素です。肝炎等で細胞が壊れてくると高値を示します。CK同様、筋肉の炎症によって高値を示すことがあるので、激しい運動は要注意です。基準値はどちらも30 IU/L以下。
・ 尿タンパク(尿検査):通常尿の中にはたんぱく質は含まれません。なんでかというと、たんぱく質は体にとって必要ですので、どこかで必ず吸収またはろ過されるべきものです。老廃物として排泄するものではないということですね。ただし、腎臓にあるネフロンという簡単にいうとろ過装置に障害があると、尿タンパク値が増え、異常値を示します。ろ過装置が働かないということは、血液中のタンパクが低下するため、低タンパク血しょうを引き起こします。
主な症状はむくみですが、血栓ができやすくなったり、腎不全を起こすので非常に怖い症状です。激しい運動を行うと、腎臓への血液量は減り、汗によって脱水状態になると尿に蛋白が含まれることがあります。基本的に問題がなければ陰性(−)と書かれ、問題があると陽性(+)と書かれます。
ここまで、激しい運動と半ば抽象的な書き方をしましたが、運動の内容とすると筋肉痛を起こすほどの運動は行うべきではありません。普段運動を行なっている方であれば、普段よりも運動を少なくする、運動習慣がない方は、無理に運動をしない方が良いでしょう。
ぜひ、年一回の健康診断だけでなく、日頃の生活から見直しましょう。また、血液などの検査だけでなく、身体機能の検査、例えば柔軟性や呼吸の検査などを受けてみることをお勧めいたします。
文:リズムアンバサダー 今井俊太
写真提供:今井俊太