こんにちは、理学療法士の今井です。
今年の冬も例年通り、急に寒くなったり、暖かくなったり、ワガママな気候変動に頭を悩ませる日々です。
この時期特有ではなく、夏にも感じることがある「冷え」について、皆さんはどの程度理解されていますでしょうか?日本において一般的になった「冷え」という考え方ですが、これは東洋医学的な考えであり、西洋医学的にはまだよくわかっていない現象でもあります。
実際に国際論文を調べると「冷え」に関連する論文はありません。実は2002年Nagashumaら(参考文献)1)によって初めて国際論文に「hi-e-sho」として報告されました。
ただ、一方で「冷え症」の定義はまだ定まっておらず、西川ら(参考文献)2)の報告によると、定義だけでなく、その評価方法、診断基準等も曖昧であることがわかっています。
ということで今回は、そもそも「冷え」についてどれだけわかっているの?という点に加え、冷えに対する研究ではどのような報告があるのか、お伝えしたいと思います。
先ほどの報告(参考文献)2)でも述べられていますが、「冷え」をどのように捉えているのか?という点において、非常に興味深い報告がされています。
冷えに関連する論文100件以上を調べると、冷えに対して、被験者の主観、皮膚表面温度の低下、随伴症状、痛みを伴うのか、どれほど継続するのか?等の違いが見られています。
基本的に、心身のあらゆる症状は、診断基準があり、その基準をもとに効果のある方法を行うのが一般的な西洋医学であると考えられます。ともなれば、この辺りが曖昧な状態で、今ある「温活」がどの状態に、どのような効果をもたらすのか曖昧になってしまうでしょう。この点は、まだまだわからないことだらけです。
先ほど、冷えに関してはわからないことだらけであり、そもそも何を冷えとするのか曖昧であることをお伝えしました。
でも皆さん、ご自身がどのような状態なのか知りたいとお思いのことでしょう。ということで、今回は現在信ぴょう性の調査をされているアンケート調査(参考文献)3)を使って調べてみたいと思います。
今回使用するアンケート調査は10項目の質問に答えるという非常に簡単なものです。10項目は以下になります。
問1:環境温度の低下に敏感か?
問2:他の人よりも寒冷環境でより寒く感じるか?
問3:夏でも寒いと感じることがあるか?
問4:夏でも冷えがあるので素足は苦手か?
問5:夏にはほとんどの人が快適と感じるエアコンの効いた部屋でも寒さを感じるか?
問6:他の人よりも厚着をする方か?
問7:冬には寝るために暖房器具(電気毛布、湯たんぽなど)を使っているか?
問8:冬には靴下を履いて寝るか?
問9:冬に寒さや手足の冷たさで目が覚めることがよくあるか?
問10:寒さで血の巡りが悪くなると手足の指先に痛みを感じたり、血色が悪くなることがあるか?
上記の調査では、358名の女子大学生(18〜22歳)を対象に実施されたもので、今回の調査やこれまで調査された内容を加味すると、5項目以上当てはまる人を冷え症と判定するのが妥当ではないか、と今回の調査で結んでいます。
さぁ皆さんは何項目に当てはまったでしょうか?
先ほどのアンケートで冷え症の可能性が考えられた方は、これからお伝えする方法を実践してみましょう。
今回、お伝えする方法はNakamuraら(参考文献)4)が報告した「妊娠中の女性140名(妊娠28週から33週)」を中心に行われた4週間の調査で使われた方法をご紹介したいと思います。
この調査では、腕の皮膚温度は3.0°C高く、脚の皮膚温度は1.93°C上昇する結果となりました(注:この方法は、冷え症への対応として確立された方法ではありません)
それでは、紹介していきます。まず、行う3つのことを紹介します。
今回の調査では、レッグウォーマーを使用し、ツボ押しとふくらはぎのストレッチが行われました。レッグウォーマーは普段ご使用のものをお使いください。
ストレッチは、上記画像の2種類のストレッチを60秒3セットで行いましょう。可能であれば、4週間毎日行ってください。
ツボ押しですが、湧泉(ゆうせん)というツボを使います。
この部分を両手で痛気持ちいくらいの強さで押します。その際、足の指をグーパー繰り返すと、より効果的です。これは、上記運動後に行い、痛みが和らぐまで行います。
上記運動は、妊娠中の女性を対象に行われた方法であり、今回の調査では胎児への影響がないとされ、調査されました。ただ、運動中痛みや苦痛を伴う場合は、無理して行わないようにしましょう。
2)https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/108552/1/KenkoKagaku_6_57.pdf
3)https://ci.nii.ac.jp/naid/120006000166
・後山尚久、「冷え症の病態の臨床的解析と対応──冷え症はいかなる病態か,そして治療できるのか」 『医学のあゆみ』 Volume 215, Issue 11, 925 – 929 (2005)
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26778227
・https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/toukei.html
文:リズムアンバサダー 今井俊太