こんにちは、理学療法士の今井俊太です。今回は、前回に引き続き、基礎代謝を高めるための筋肉トレーニングメニューをお伝えします。今回お伝えする筋肉は、“第二の心臓”こと、ふくらはぎです。
筋肉の形は大きく4つに分けることができます。紡錘状筋、羽状筋、半羽状筋、鋸筋と呼ばれ、細かく分けると二頭筋や三頭筋、四頭筋、多尾筋などもあります。
なんだか難しい名前を並べてしまいましたが、簡単に説明すると、紡錘状筋は一般的に皆さんが想像するような筋肉で、力こぶの筋肉です。羽状筋は読んで字のごとく、羽の形をしています。半羽状筋も同様ですね。鋸筋が一番分かりにくいですが、脇の下に、ギザギザした形状の筋があり、それが鋸筋です。
この形状で、一番注目すべきは、筋線維の長さです。
筋肉は、筋線維の長さによっても、疲労の度合いが異なります。筋線維が長い力こぶ(紡錘状筋)は、パワーを発揮するにはいいですが、その長さを保っているのが辛くなるため、すぐに疲労します。
一方、羽状筋は筋線維の長さが一つずつ短いため、パワーは出ませんが、持続時間は長くなります。つまり、持久力に強い筋肉ですので、この形状の筋肉を鍛えることも、基礎代謝を高めるために必要となります。今回は、その中でもふくらはぎの筋肉を鍛えていきましょう。
ふくらはぎのことを“第二の心臓”というケースを、一度は耳にしたことがあると思います。この理由は、ふくらはぎの筋肉の筋ポンプ作用にあります。
血管において、動脈の場合は、心臓の力によって全身に運ばれます。静脈の場合は、主に筋肉が収縮することで心臓に血液を戻し、循環します。これを筋ポンプ作用といいます。
静脈の場合、特殊な構造があります。それは、血管内に弁構造がある点です。この弁は、血液の逆流を防ぐためのものです。
心臓に血液が戻る流れでは、血液が逆流すると弁が閉まり、血液が逆流しないようになっています。ウナギ漁で使う、入り口が広く、出口の狭いツボのようなものをイメージしてもらうと分かりやすいと思います。
全身の循環のためには、心臓だけではなく、筋肉が収縮するということが非常に重要になります。
ふくらはぎのトレーニングで有名なものといえば、つま先立ちです。以前の記事から再三お伝えしている通り、つま先で立つシーンは、日常生活の中でほんの少しです。
「ヒールを履けば、爪先立ちになるのでは?」と、思われると思いますが、本来ヒールは、かかとで立たないと身体の故障につながります。以下の運動をする前と後で、ヒールを履いた時の感覚が違うことに気づいてもらえればと思います。
1,まず、立った状態で、両足のつま先と、かかとをくっ付けましょう。
2,その状態から、軽く膝が曲がってもいいので、両足のかかとで、床をトントンと何度か打ち付けましょう。つま先は床に付いたままです。
3,この時、前の太ももに力が入らず、逆に太ももの後ろが働いていることを意識しましょう。
4,回数は特に決めませんが、少しだけふくらはぎに疲労を感じる程度行えばOKです。
※アパートやマンションで2階以上にお住いの方は、下の階に迷惑とならない範囲で行ってください。
今回のトレーニングは立って行いましたが、バランスが取れない、かかとが痛い場合には、座った状態でもOK(厳密には、働いている筋肉は違います)です。
文:リズムアンバサダー 今井俊太
写真提供:今井俊太