こんにちは、理学療法士の今井俊太です。
今年の夏は、例年にも増して異常気象が続いています。ある意味では、異常気象が通例となり、異常の正常化が基本となる昨今、天気が悪いとなんだか、仕事モードになりにくいと個人的には感じています。
仕事モードになるか否かは、天気に限らず朝の状態によってもその日1日を決定づけるほどに重要だと思っています。そんな中、私個人としては「睡眠」に対して、あらゆる方法を試し、ある意味では人体実験のごとく多くのサプリメントも試しました。
しかし、いまだに朝が弱い。どこか「朝が強い=優秀」という、まことしやかに囁かれる都市伝説に支配され、「朝活」にチャレンジし続けているビジネスマン・ビジネスウーマンも少なくないことと思います。
そもそも本当に「朝活」は優秀なビジネスマン・ビジネスウーマンの条件なのか?ある意味では、夜型の自分を肯定するための論文検索をしていく中で、睡眠と遺伝に関する情報が多く散見されたので、皆様にも共有したいと思います。皆様も、様々な言い訳のためにこの記事を使っていただけたらと思います。
体内には、様々なタイミングを計る時計のようなものがあると言われています。ある人は、腹時計という食事のタイミングを計る時計を持っていると形容する人もいます。一方体内時計は、最近の研究で、体内時計遺伝子が351個あることがわかっており、この遺伝子のうち持っている遺伝子の数で朝型なのか夜型なのかが決まるということがわかりました。
よかった。私にとっての1番の言い訳が見つかりました。つまり私は、体内時計遺伝子が少ないのだと思います。きっと少ないはずです。遅刻したら「体内時計遺伝子が人より少ないのでしょうがないです」で決まりですね。
先ほどは冗談交じりに「遺伝子のせい」と言いましたが、現状この朝型夜型は簡易的な検査で分類することができます。あくまでも簡易的で、詳しく遺伝子を調べるためには次世代シーケンサーで調べる必要がありますが、検査には数十万円かかりますのでよっぽどのマニアでない限り難しいでしょう。
そこで、皆さんにオススメなのは、ミュンヘンクロノタイプ質問紙(Munich ChronoType Questionnaire:MCTQ)というものです。この質問票は日本語版があり、その妥当性も研究されています。
早速私も質問票に回答してみましたので、こちらに結果を載せておきます。
ちなみに私の場合は、就寝時間が0時。毎日のドラマ視聴タイムがこの時間なので、どうするべきか、今からスケジュールを考え直したいと思います。
>>こちらから検査できます。(https://mctq.jp/)
永遠のテーマなのかもしれません。睡眠は質なのか量なのか。現状のところ「質」にフォーカスされていますが、経済協力開発機構(OECD)のデータによると先進国の中で日本は最下位だったというデータが出ています。つまり、量も足りていないのですが、ここでは一旦置いておくとして、質を高めるために何をすべきか、これを実体験と研究の両方からご説明したいと思います。
先ほど、体内時計は遺伝子があり、この数によって朝型夜型に分けることができると解説しました。では、それだけで睡眠と覚醒をコントロールしているのかといえば、そうではありません。ここには、ホルモンの影響を強く受けます。ここで覚えておきたいのが、セロトニンとメラトニンというホルモンです。メラトニンはセロトニンの材料にもなりますが、これは夜間に作られます。その理由は、視覚からの光刺激で抑制されるためで、夜長い時間TVやスマホを見ていると、メラトニンの生成は減ります。
一方で、セロトニンは日中生成されます。そしてこの材料にメラトニンが使われますので、夜間のメラトニン生成が日中のセロトニン生成に影響を及ぼします。
夜間のメラトニンの生成には、光刺激を避けるとして、セロトニンの生成には何が効果的なのか?それは、日光を浴びること、リズム運動を行うこと、グルーミングといって、触れ合うことの3つが重要とされています。
リズム運動は、日中散歩するのもよし、エアロバイクを漕ぐのもよしですが、面白いのはガム噛み運動でも効果があるとされています。つまり、ガムを噛みながら、日中、恋人と手を繋いで歩くことは最高の運動となるわけです。
実体験として、日中公園でガムを噛みながら手を繋いで歩いたことはありませんが、日中トレーニングを行った日の2〜3日は入眠が良いと肌で感じていますし、アプリでもそれが読み解けます。理学療法士として、この点に対して何ができるのか、難しいところではありますが、あらゆる問題に対して運動は有効であることがわかってきた昨今。運動習慣がない方に、どうやってその習慣を身につけてもらうのか?この点は我々理学療法士が促していくべきポイントのように思います。
ぜひ、皆さんも朝型夜型をチェックし、日頃の習慣に目を向けてみてはいかがでしょうか?
参考文献:
・https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/48/5/48_5_301/_pdf
・https://www.nature.com/articles/s41467-018-08259-7
・https://www.nature.com/articles/s41386-019-0476-7
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24824747
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24736997
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1201415/
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30952852
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30846698
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30804566
・http://www.oecd.org/els/soc/42707429.pdf
文:リズムアンバサダー 今井俊太
写真提供:今井俊太