こんにちは、理学療法士の今井俊太です。
いよいよ長い長い冬の到来です。個人的には一年のうち、最も嫌いな時期でもあります。暖房もなるべく使用したくない派ですので、毎日アゴをガクガク震わせて過ごしています。
アゴをガクガク震わせるのは、筋肉を収縮させて熱エネルギーを発生させるためである、ということは、周知の事実だと思います。ただし、必要以上にガクガクさせたり、かみしめたりすれば、当然歯や顎関節に悪影響を及ぼします。
最近では、口腔環境が様々な疾患に関連していることがわかっていて、その1つの元凶が歯周病菌です。3ヶ月に一度は口腔内のチェックに、歯医者へ行くことをオススメします。
さて、このように熱を発生する役割や全身の健康状態に関わる口や顎ですが、ずっと前から、下顎の機能が姿勢に及ぼす影響が研究されています。当然否定的な研究も多くあるので、絶対的な話ではないのですが、人によっては影響することも多いのではないかと、個人的な経験から感じています。
本日は、そんなアゴと姿勢の関係を様々な視点から捉え、ご自身でできるアゴトレをお伝えしたいと思います。
大げさに書いていますが、当たり前ですね。大体、身体のことは脳が制御しています。その中でも、アゴは非常に面白い神経支配をしています。ちょっと、専門的になりすぎるので、細かい情報は避けますが、アゴは三叉神経(第Ⅴ脳神経)という神経に支配されています。
この神経は、感覚と運動を制御していて、3本の枝分かれした神経なのですが、下顎の神経のみ運動を司っています。
つまり、咀嚼(噛むこと)運動は基本的に、下顎で起こる(もっと言えば首の運動)運動なのです。特に肩こりで有名な、僧帽筋は下顎の位置に最も敏感な反応を示すことがわかっています(Ceneviz C.2006)
また、左右の正常な噛み合わせによって、胸鎖乳突筋という首の左右にある筋肉(首の回旋などの関与)が働き、身体の揺れを抑える作用があることがわかっています(Sforza C.2006)
このような結果から、厚生労働省が推奨している8020運動(80歳で20本以上の歯を保ちましょうという運動)も頷けますね。
上記では、身体の動きは基本脳でコントロールしているとお話ししました。もう少し、脳がコントロールし、なおかつ無意識的にコントロールされる自律神経について迫ってみたいと思います。
もうだいぶ市民権を得てきました、交感神経と副交感神経ですが、前者は戦闘態勢に働き、後者はリラックス時に働く神経として有名です。基本的には、各器官の中で、どちらかの神経によって働いたり抑制されたりするものですが、唾液に対しては、どちらの神経でも分泌されます。
ちなみに、唾液の分泌が少なければ口腔環境は悪くなると、ここでは簡単に解説しておきます。つまりは、免疫に対する作用があるのですが、交感神経による唾液ではネバネバした唾液が、副交感神経ではサラサラした唾液が出ると言われています。
実はこの2種類の唾液、それぞれ作用する目的が違います。ネバネバした唾液を出す戦闘体制時には、身体のキズなどから侵入する細菌感染を防ぐため、顆粒球が増加すると言われています。
一方、サラサラしたリラックス時の唾液は、食事の時に優位となることから、口から腸にかけてウイルスの侵入を防ぐため、リンパ球を増加させる役割があります。
以上のことから、唾液が身体の免疫機能に与える影響は非常に大きいことがわかると思います。
さぁアゴや口に関して、おしゃべりしてきましたが、正直論文を調べていくとこれだけでは語りきれない量がありますので、またどこかでタイミングがあればお伝えしたいと思います。上記の内容で、なんとなーく口腔環境やアゴが免疫、姿勢、バランスなどに影響していることがご理解いただけたかと思います。
そんな重要なアゴや口腔を守るために、アゴトレにチャレンジしてみましょう!
まず、アゴの下に親指をツッコミ左右の硬さをチェックしてみましょう!大体の方は、左右差があるかと思います。なんとなくでいいので、どちらか硬い方を軽く押した状態で、何回か口を開けてみましょう。すこーしだけ痛みを感じる程度が良いでしょう。3~5回ほど開け閉めしたらもう一度硬さをチェックしてみましょう。なんとなく硬さに変化があれば成功だと思っていただければと思います。これだけで唾液が増えるのを感じる人もいるでしょう。
次に、エラの部分の硬さを左右でチェックしましょう。あまり深く指をさすと「オエっ」となるので、ほどほどに。その状態から同じように、口を開け閉めしましょう。回数は先ほど同様で良いと思います。この運動で、唾液が増えるのを感じる人もいます。
そして最後に、頬のお肉(アゴに近いところ)を指の先を使ってマッサージしてみましょう。コリコリするところを念入りに、痛みのない範囲で行いましょう。先ほど同様、このマッサージで唾液が増えるのを感じる人もいます。
「唾液が少ないなー」「アゴの調子が悪いなー」「姿勢が悪いなー」と感じたら、すぐにお医者さんに行きましょう。それで何も問題がなければ今回のアゴトレを実践してみてください!
<参考文献>
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12231441
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23926657
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9709565
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24486478
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22070442
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・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26017489
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3055938
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10397184
文・写真:リズムアンバサダー 今井俊太
【Rhythmアンバサダー・ツバキアンナの京都マラソン初挑戦プロジェクト】Team AOYAMAのセミナー体験取材!!(後編)