こんにちは。「滝ガール」の坂崎絢子です。
大寒を過ぎましたが、しばらくまだまだ寒い日が続きますね。
前回は、「冬は実は滝見シーズン!」というテーマで書かせていただきましたが、冬の滝といえば、凍った滝「氷瀑(ひょうばく)」が人気です。流れている滝とはまた違う、自然が作り出した最上のアート。 滝愛好家たちは厳冬期になると、「今年の氷瀑はどうかな……」と、そわそわし始めるのです(笑)。
以前に比べるとその存在もメジャーになってきているようで、全国各地の氷瀑の名所ではスノーシューなどを使ったガイド付きのツアーも組まれることが増えてきました。より安全に楽しく体験していただくためにも、地元のアウトドア会社が開催しているガイドツアーを利用するのがお薦めです。
まず氷瀑ツアーで多くの場合、必需品となる装備をご紹介しましょう。
こちら、スノーシューです。
スノーシューとはいわゆる「西洋かんじき」のこと。圧雪されていないフカフカの雪のなかも、これを履いていれば沈み込むことなく、雪の深い森のなかでもバフバフと歩いていくことができる優れものです。
圧雪されたゲレンデではなく、フカフカの雪原を進んでいく楽しさは、かなりくせになりますよ。
一歩ずつ踏みしめるたびに、どんどん童心に還っていくような感覚です。道中は、ウサギの足跡を見つけたり、冬の植物について教わったり。大の字になって、新雪にダイブ!……なんていうのも楽しいです。
よほど体力に自信がない方は避けた方がいいかもしれませんが、スキーやスノーボードとは違い、基本的には歩くだけなので日ごろ運動に慣れていない人でも心配いりません(それでもかなりの消費カロリーです)。
ちなみに自前のスノーシューがなくても、ガイドツアーの場合はレンタルすることができます。
滝のまち、飛騨小坂。以前、こちらのコラムでもガイドツアーをご紹介させていただいたことがありました(「安全だし楽しい!ガイドさんと一緒に滝に行こう」)。
小坂の滝めぐりは、冬バージョンもすごいのです。
標高1800mの濁河温泉からスタート。スノーシューで森を抜けていきます。
高所にあるため、気温も相当低く、息も切れてしまいがちですが、雪景色の美しさに見とれながら歩いて行くと……!
どどーん!
高さ約20m、幅約50m、最大規模の氷の宮殿が待ってくれています。もはや建築物のスケールですよ、これは。
各自、思い思いに、氷瀑と向き合って鑑賞タイムです。
(2018/2/11撮影)
氷瀑の前の時間をたっぷり確保している「レギュラーコース」(毎日開催)、そして氷瀑に加えて、秘湯濁河温泉のお宿での昼食&入浴付きの「デラックスコース」(日にち限定開催)の2パターンあるそうです。
ツアーの詳細はこちら↓
○小坂な冬の滝めぐり2019
裏磐梯の氷瀑は少し変わっています。「ブルーフォール」「イエローフォール」と呼ばれている氷瀑ですが、実はその氷の「色」から来ているのです。
どちらもスノーシューのガイドツアーが設定されています。
まずは、ブルーフォールからご紹介しましょう。
ブルーフォールは「小野川不動滝」の冬の期間の別称です。では、なぜブルーかというと……
滝の周囲にできた氷が青く輝いているからなんです!
この滝の美しさは、水が生み出す「静」と「動」のコントラストにあると思います。このブルーの氷が存在感を放ってくれているおかげで、氷の「静」と、豪快に落ち続ける滝の「動」のコントラストが強く感じられるように思います。
そしてこちらが、イエローフォール!
(提供:裏磐梯観光協会)
裏磐梯は300あまりの湖沼群があることで有名ですが、それは明治時代の中ごろ、1888年の磐梯山の火山活動による水蒸気爆発で山自体が崩壊したことで生まれたものだそう。そして、イエローフォールはその山の崩れた部分の「壁」に当たるところにあるのです。
どうして黄色なのかといいますと、この磐梯山の火山活動と密接に関係しています。
噴火口の硫黄分や鉄分を含んだ水が岸壁から染み出てきて、それが凍ると黄色い氷となって、それがジワジワと大きくなっていく。いわゆる普通の流れる滝が凍るタイプの氷瀑ではありません。冬以外の季節は存在しない、それが「幻の滝」とも呼ばれているゆえんです。ここだけ、今だけの絶景なのです。
ちなみにコース途中では、このように山肌から噴煙が上がっているのを見られますよ。まさに今も火山は活動中なんですね。
(2016年1月29日撮影)
上の写真が、私が訪ねた時のもの。2日前にまとまった雪が降ったこともあって、黄色い氷に雪が積もって黄色い部分の露出は減ってしまっているのですが、それでも大迫力でしたよ!
氷瀑は、滝が見せてくれる厳冬期だけの芸術作品。年によって凍り方も変わってきます。今年はどんなアートが待っているでしょうか。アクティブな冬のスノーシュー滝ツアー、ぜひ出かけてみてくださいね。
文・写真:坂崎絢子
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