皆様こんにちは。アレルギーナビゲーターの細川真奈です。今回は歯医者さんに関してお話ししたいと思います。
食物アレルギーを持つ人の人口が増えてきたこともあり、最近CMやTV番組、広告でも「食物アレルギー」や「特定原材料27品目不使用」なんてフレーズも目にする機会が、数年前に比べたらぐっと増えてきたように思います。
その一方で「食物アレルギー=特定の食べ物を食べるとアレルギー症状が起こる」という認識が強いと思うのですが、食物アレルギーは食べ物だけではなく、生活全てに関わってくるのです。
例えば、歯医者さんへ行った時で考えてみましょう。
まず、初めて診察する場合は問診票にアレルギーの有無や内容について記載する欄が必ずあると思います。これは、薬剤にもアレルゲンが含まれている場合があるからなのです。しかも厄介なのが薬剤になると単純に「卵」や「乳」などの文字表記ではなくなります。
例えば「塩化リゾチーム」や「アミノレバン EN 配合散」、これらには乳成分が含まれています。逆に「乳」の文字がつく「乳糖」には牛乳などに含まれる「カゼイン」や「乳清タンパク」は含まれていない為、乳製品アレルギーの方でも摂取が可能なのです(乳糖不耐症の人は除く)。こういう複雑なことを考えていくと、安易に生活できないのが想像つくかと思います。
また、中にはラテックスアレルギーの方もいます。これは医療現場で先生がよくつけているゴム製の手袋にも反応するアレルギーです。実は、わたしはこのラテックスアレルギーもあり、小さい頃は何に反応しているのかわからず、歯医者さんの治療後、毎回口周りを中心とした顔面が広範囲にミミズ腫れのようになり、氷で冷やしたり、マスクをして帰るのがお決まりでした。
ラテックスアレルギーだと発覚してからは、歯医者さんへ行く際には診察前に必ずその旨をお伝えし、ラテックスフリーの手袋を使用していただいたり、中には素手で診察してくださる歯科医師もいらっしゃいます。
このように「食物アレルギー」と言ってもただ単純に食べ物を気を付けるだけではなく、日常生活に関わる様々な場所で注意する必要があるのです。そして恐ろしいことに、この注意喚起を医師が理解していないケースも多々あります。
テレビやWEBのニュースで取り上げられるアレルギーについての情報は、アレルギー症状により死亡してしまったケースか、学校の給食などが原因で複数の人にアレルギー症状が現れた時のみ。
現実では、歯医者さんでアレルギー症状を引き起こしてしまうケースもあるということを、もっと世の中のメディアが取り上げて認知度を高めてもらいたいと思っています。歯医者さんも、アレルギーに対する意識を今より少しでも高めていただけたらと願っています。
そして、食物アレルギーをもつ当事者や親御さんに関しても、周りに理解してもらうのを待つだけでなく、自分自身が知識をつけてむしろ医師に伝えられるようにしておくことが、アレルギー症状を引き起こすリスク軽減に繋がると思います。
食物アレルギーをもつ人の人口は増えてきているとは言え、全人口に比べたらまだまだ少ない割合なのです。世の中を動かす前に「自分の身は自分で守る」。
この意識を強くもてるようになることが、食物アレルギーをもつ当事者、またその周りの家族における使命なのではないでしょうか。
文:リズムアンバサダー 細川真奈